9月 漢字と空腹と新しい風

 小学生の学習でまず気になるのは、日本語クラスで宿題として出されている漢字練習です。その様子は、漢字を書くだけにとどまっていて、意味を知り使えるようになることが想像されて、練習しているとは思えない状況です。「漢字練習の方法を、もう少し先生方が工夫してくれると、子ども達の様子も変わるのに」と思ってしまいます。
 このような「意味もわからず書く」という学習は当然のことながら「おしゃべり」を生み出します。その中身を聞いていると「国に帰る」という外国人ならではの話題が出てきます。これは「一時帰国」を意味しているのですが、外国人の生活状況を知らない日本人が聞いたら「帰国」としか理解されないだろうとも思いました。子どもの生活に即して話を聞くということは、単なる態度ではなく、知識も必要だと思いながら聞いていました。
 他方、中学生男子は相変わらず「お腹が空く」という姿が目立ちます。「何か食べるものを持ってくるように」と前日の参加確認で促すのですが、そうするとコンビニでお弁当を買うことになってしまうようで、家からおにぎりを持参するというような工夫も教えていく必要があるなあと思っています。
 9月の教室には、新しい風が入ってきました。新しい生徒の参加者3名と、新しいスタッフ2名です。中2のカンボジア国籍の男子は、すでに参加している友達に連れられてきたので、参加初日から違和感なく教室に参加できました。一方、小6と中1の日本人のきょうだい2名は、なかなか教室に入れず、参加初日は見学のみとなりました。しかし、教室に同じ学校の友達がいることが安心につながったようで、次回以降からはきょうだい2人で来て教室に入ることができました。子どもにとって「ともだち」は、本当に大事な大事な「資源」なのだと思います。子どもどうしのつながりを大事にしていきたいとあらためて感じているところです。それから、新しいスタッフ2名は、ペルー国籍の高校生と日本人大学生です。教室がさらに賑やかとなり、受付の人からは「うるさい」と注意を受けることもあるのですが、そのあたりは気をつけながら運営していきたいと思います。
 もうひとつの風は、9月28日に購入した自転車です。自転車は、中学生の勉強時間を21時まで確保するため、20時に帰る小学生を効率よく送るためです。スタッフの自転車に乗る姿は子ども達から珍しく思えるようで、「先生が自転車乗ってるの、なんだか変~」と笑われながら家路を急いでいます。