2月:入学手続きの難しさ

 2月は、公立高校、私立高校の受験、発表が続き、中学3年生にとって、緊張の連続の月です。エステレージャで勉強している中学年生の子どもたち2人は無事合格をしました。   
 ところが、外国人の子どもにとって、高校に合格したから安心できるかとういと、必ずしもそうではありません。入学までに、合格手続きや合格者説明会などがあり、やらなければいけない手続きがあります。日本人の家庭ならば、子どもが合格したらその後の手続きは親の仕事、子どもは親に任せておけば良いのですが、外国人の子どもたちの家庭の場合、それを親に代わって子ども自身がしなければならないことが多いからです。外国人の子どもの親は、日常会話はできても、難しい日本語を読んだり書いたりできないことがほとんどです。ですから、子どもは、誰かに頼りながら自分で書類を記入して準備しなければなりません。誓約書、健康カード、生徒カード、就学支援金など、数多くの種類の用紙を記入しなければなりません。日本語で書かれた記入例や説明を見て、合格から2~3日のうちに準備をしなければなりません。全てをじっくり読んで記入をしたら少なくとも2時間はかかる、とても面倒な作業です。しかも、普段使いなれない難しい言葉が沢山でてくる書類なのです。
 合格が決まったA君は、昨年お姉さんが受験を経験しているので、お姉さんが手続きの書類を親代わりに記入して準備をしてくれました。ところが就学支援金制度の申し込み書類を見ると、支援金の申請をしないという欄にチェックが付いていました。申請したら支援金が受けられるかもしれないのですが、「申請しない」をチェックしていたのです。確認してみると、この支援金の制度を奨学金だと思い、お金を借りる必要はないと判断してチェックしたそうです。支援金制度がどういうもので、奨学金とどう違うのかが分かっていませんでした。合格手続きに行く前にエステレージャにその書類を持ってきていたので、スタッフが申請をするように話し、どういう制度なのか、どんな書類を用意して申請するのかを説明しました。
 入学に関する書類の文章を大人に代わって読みこなすのは、日本人の子どもでも難しいと思います。その難しく面倒なことを外国人の子どもはやらなければなりません。とても大きな負担です。日本人の大人が一緒に手続きの準備をしてあげることが必要となります。学校の先生や学校外で外国人の子どもと関わる大人が援助をしてあげることが必要です。
 2人の中学3年生の入学手続きは無事に済みました。4月から高校生になり、勉強を頑張り、3年あるいは4年後に卒業してくれることをスタッフ一同心から願っています。そして、教室に通っている子どもたちに、自分達が目標とする姿を示してほしいと思います。(SH)