4月 お母さんたちの新学期

 エステレージャの子どもたちも中学校や高校に進学して、新しい生活環境に適応しようとそれぞれに頑張っている様子が伺い知れます。憧れのスポーツのクラブに入部した人、新しい教科書に少し不安を感じている人、高校生になってアルバイトを始めた人、就職で他県に移動した人など様々です。
 そんな子どもたちと同様にお母さんたちも子どもたちの学校生活を支えるために多大なる努力をしています。その一つが、新学期になって学校や役所に提出しなければならない多くの書類の作成です。子どもが学校からもらってくる保護者に向けての書類は、言葉も難しく漢字も多用されていてルビなどありません。外国人のお母さんは、その書類に何が書かれているのか、何を書いたり、何を提出すればいいのか、あるいは何もしなくてもいいのか困っています。
 今年の3月に行った保護者会で、「学校からもらった書類で分からないことがあったら、スタッフがお手伝いします」とお知らせをしたこともあってか、何人かのお母さんが書類を持って教室に来るようになりました。中には市役所から送付された年金や健康保険などの書類も持って来るお母さんもいます。エステレージャにはこのような使命もあったのだと再認識すると同時に、子どもたちの学習や生活環境を安定させるためには、この子どもたちを支える親御さんを支援することも重要な活動だと考えています。
 外国人の親御さんの多くは、来日以来仕事に多くの時間を費やし、日本語を勉強する機会を持てずにいます。そういう人たちにとって保護者向けの日本語書類は理解するのが困難です。それと同時に日本の学校や役所の制度に馴染んでいないために、どう対処したらいいのか戸惑うこともあります。そんな時、ちょっとしたお手伝いで解決することが少なくありません。
 エステレージャでは高校生スタッフがバイリンガルなので、かれらがお母さんの母語で通訳することができます。その様子を見ていると、お母さんの不安な様子が払しょくされるのが手に取るようにわかります。“お母さん、これからも遠慮なく学校からの手紙を持って来て下さいね” (FK)