2017年度代表挨拶

過日開催された2017年度総会における、当法人代表からの挨拶を以下に掲載いたします。


ただ今紹介されました代表の浅沼蓉子と申します。
 皆様、春のよき日に、NPO法人教育支援グループEd.ベンチャーの総会に参加くださいまして、有難うございます。昨年11月、活動のひとつである「すたんどばいみー」がNPO法人を立ち上げ独立し、新しい世代の可能性を秘め、Ed.ベンチャーから旅立ちました。皆様、今まで同様、すたんどばいみーに暖かいまなざしを注ぎ続けてください。
 そのすたんどばいみーのメンバーのグェンタンティンさんが、昨年秋、滞在中のベトナムから一時帰国した折に、「社会から外される経験や声を物語にするとはなにか」という演題で話しをしてくださいました。その中で紹介されたアフリカン・アメリカン作家トニー・モリスンの言葉が心に残りました。黒人である私たちの物語を生きた証として書き残して置かなければ、歴史から、人々の記憶から消えてしまう、と。心と体に深い傷を負った人々が、自分達の尊厳を守るために、日々の生活をどう生きたのか、静かに再生と希望の物語を紡ぎます。
 まだ黒人が定められた場所以外、入ることもできず、座ることも許されなかった時代、1950年代に黒人歌手のオデッタが伝統的な曲調にのせて、19世紀に歌われていた「競売はたくさんだ」「私を競売台に立たせないでおくれ、おびただしい数の人が売られていった、これ以上辛い目にあわせないでおくれ、もういい、もうたくさんだ」と歌っていました。
 その曲調に、ボブ・ディランが新しい詩を書きました。

    どれだけ道を歩いたら 一人前の男として認められるのか?
    いくつの海を飛び越したら 白い鳩は砂浜で安らぐことが出来るのか?
    何回弾丸の雨が降ったらなら 武器は永遠に禁止されるのか?
      その答えは 友よ 風に吹かれている 答えは風に舞っている
    何度 見上げたら 青い空が見えるのか?
    いくつの耳をつけたら 為政者は 民衆の叫びが聞こえるのか?
    何人死んだら分かるのか? あまりに多く死にすぎたと
      その答えは 友よ 風に吹かれている 答えは風に舞っている
    幾年月 山は存在し続けるのか? 海に洗い流されてしまうまえに
    幾年月 ある種の人々は存在し続けるのか? 自由を許されるまでに
    何度 人は顔をそむけ 見ない振りをし続けられるのか?
      その答えは 友よ 風に吹かれている 答えは風に舞っている

 50年以上前に作られた歌ですが、その答えはひとりひとりの中にあるのだと思います。
 自由を、平和を、求める困難な道でも一歩ずつ歩んで行きましょう。
 これからも私達の活動に暖かいご支援とご協力をよろしくお願いします。