【報告】11月事例研究会

 事例研究会は、外国にルーツを持つ子どもたちの具体的な事例を通して、彼らの背景にある事情や問題を読み解く力をつけていくというねらいで開催しています。

日時:2021年11月27日(土)
事例提供:大和市中学校教諭 平石 孝太先生
参加者:5名

 10月の事例「天真爛漫さと怖がりが同居する子ども~親がいだいた日本への夢と現実から始まった生活~」のその後という内容で、先月の事例のその後の報告を受けての研究会となりました。
 平石先生からは、前回の協議を受けて、1ヶ月間の実践報告がありました。1ヶ月の間に当該生徒や保護者に行った具体的な対応、学校への提案について報告があり、学校への提案や子どもへのアプローチができた1か月間であったという報告がありました。そして、今後の方向性として、当該生徒への支援を絶やさず行いつつ、国際教室や学級、学年に対してのさらなるアプローチの検討をしていく必要があること、国際教室の意義について再確認する時期に来ているのではないかということが検討事項としてあげられました。
 参加者による協議の中では、当該生徒の具体的な支援内容から、学校での学び、教師の姿といったものに話題が広がっていきました。当該生徒への支援については、支援する時間は作れているようであるが子どもの相談相手、居場所となる先生がもっと必要である、外国にルーツを持つ子どもたちについて、学校の受け止め方の見直しが必要な時期ではないかといたことが話題となりました。学校での学び、教師の姿に関しては、学校は学ぶ人を育てる、自分で学ぶ人を育てるというように、教師=教える人というイメージを打ち崩すことが今の学校には必要だといった意見が出されました。
 アドバイザーの先生からは、複数言語環境下にある子どもの支援について①親を知ることは、子どもがうまくいくためのアプローチを間違えないためのものであり、子どもの分析には親の要素が必要である。②当該生徒が少しは豊かに、面白くいられる場所が学校のどこにあるのかを探ることが必要である。③学校の使命は資源の分配を公正に子どもたちにしていくことで、親が与えられない資源を学校が与えることが教育格差を縮めることになる。以上のようなアドバイスをいただきました。そして、一人一台の端末での学習環境が整備されている今の学校での教師の役割は、答えが出ることを教えることよりも答えが一つにならないことを議論させる役割が大きくなっているとのお話がありました。
 今回の研究会を通して、教育環境の変化により教師の役割が「教える人」から「学びを導く人」へと変わっていること、その変化に対応する力が教師に求められていることを痛感しました。