子どもに寄り添う学級経営

5月報告
内 容:『学級経営と子どもとの関わり』
報告者:後藤利恵先生(小学校) 富岡昌世先生(中学校)
日 時:2018年5月14日 シリウス19:00~21:00
参加者22名
新学期が始まり一か月、子ども達の様子や、人間関係が見え始め、これからの学級経営を見つめ直す時期でもあります。
今回は、現場の先生からの報告です。4月の学習会でお話いただいた、学級における集団構造の視点を受け、周辺化されがちな子どもの姿と、そこに関わる先生の実践を聞かせていただきました。
後藤先生(小)の報告には、子どもが置かれている家庭的背景、クラスでの立ち位置、その子自身の思いなど、多面的かつ丁寧に子どもを理解することを通して、子どもと出会っていく先生の姿がありました。離席を繰り返す児童の本音に寄り添いながら、一方でクラスの子どもたちの気持ちを汲み取り、多様な個性をもつ子ども達が集う「学級」をどうつくるかと悩み、様々な手を打つ先生。例えば、発想を転換させ、机といすを取り払って、座らなくてもいい授業をしてみる。計算の単元が続くときはその児童がきつくなるため、単元計画を入れ替えて図形やコンパスを交互にいれてみる。その子が得意なことでみんなとつながれるときは、全力で応援してみる。お母さんと必ず一日一トークしてみる。これらのことは、クラスの他の児童も抱え、ほとんどすべての授業を担任一人がこなす小学校の先生としては、覚悟とエネルギーがなければできないことです。それでも、弱い立場にある子も、そうでない子も含めてみんなで「学級」をつくるんだという先生の信念を強く感じました。他の先生を巻き込みヘルプを出すこと、担任としての思いを子どもたちに伝えること、多様な考えを知りそこから学び自分の意見を持てる子を育てること、日記(あのね帳)で子どもの心を垣間見る事、担任は一人三つ以上子どものいいところを言えること、リーダーの固定化を防ぎみんなが輝く手立てをとること、など。先生のお話から本が一冊かけるんじゃないかというくらい、困難を抱える子どもの見とり方と、手立てをお話していただきました。
富岡先生(中)の報告からは、みんなが安心できるクラスをめざし、みんなが平等であること、正義が通ること、お互いの存在を認め合うことを軸に、生徒との具体的な関わりの中でお話していただきました。周りと上手に関われない、授業についていけない、多動など、学校文化の中で困難を抱える生徒を丁寧に見とり、個に応じた配慮をするとともに、とにかくその生徒と積極的に関わりや会話の機会をつくる先生を見て、周りの生徒たちの関わり方が変容していきます。例えば、体育祭や音楽祭など、イベントの度に、そこにのっかることができずに壁にぶつかる生徒、困っているその生徒を気にかけ、様々な場面で、クラスの話題として、その生徒の名前が挙がるようになっていきます。音楽祭のクラス目標に、その生徒のアイディアが採用され、確実に集団の質が変わっていきました。子ども達が自分の持っている良いところに気づき、イキイキ生活するために目の前の生徒を丁寧に見とることが大切であるというお話が印象的でした。
参加者の多くが若手の教員であり、明日からの子どもとの関わりを今一度立ち止まって振り返る機会となり、今後の教員としての視点を提示していただいた学習会となりました。

(参加者の感想・一部)

子どもに合わせて、柔軟に対応されてきた後藤先生の実践を聞く機会を今回得ることができてよかったです。尊敬できる先生が近くにいて、共に働ける現場に感謝し、改めて後藤先生から「たくさんのことを吸収しなければいけない」と思いました。冨岡先生の実践からも、小学校と中学校という違いはあるが、子どもの気持ちに寄り添うという点では一緒だと感じました。二人の先生方のお話を聞いて、私も子どものことを第一に考えられる先生でありたいと改めて強く思いました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

 子ども一人ひとりの特性や個性を理解することはとてもむずかしく、その子に合った学習方法を探求しなければならないと痛感しました。教師の自己満足を押し付けるのではなく、色々な手立てを試して実践して、その成果を子どもにつなげて、子どもに返していくべきだと思いました。家庭の様子を把握しておかなければ命に関わってくると改めて思いました。全てをひっくるめても子どもに寄り添うことがやっぱり大切!

子どもたちを色々な場面でしっかりつかみ、その実態に応じて、後藤先生の「ひらめき、引き出し」から次々に楽しい取り組みをされているところがスゴイと思います。それは先生の子ども観、教育観がブレずに貫かれているからだと思いました。これまでいろいろな実践を聞いたり読んだりしてきましたが、後藤先生のパワーはすごいですね。

 今回の学習会を受けさせていただいて、問題があると思われる子は、不安や悩みがあり、それを言葉にしたり上手く表現ができないだけであることを改めて考えました。なのでその子に寄り添ってあげるのは担任かもしれないが、最終的にはクラスの子どもと関わりを持たせてあげることも大事であると思いました。「あのね帳」は実際にやってみたいと思います。本日は貴重なお話ありがとうございました。

 お二人の先生の取り組みを聞いて、クラスの一人ひとりがとても大切にされていると感じました。また、丁寧に分析をしているという点も共通していて、私もとても勉強になりました。いろいろな支援を必要としている現場に、いろいろな支援の手も増えていますが、「やっぱり担任の先生」なんだとつくづく思います。特別なことをしなくても「担任としてできること」ってたくさんたくさんあるなと改めて思いました