「思い」が作る子ども食堂

スタディツアー事前学習会報告

 今年度スタディツアーで訪問する子ども食堂「はぐく」について、食堂を主催するNPO法人「地域家族しんちゃんハウス」代表の館合みち子さんをお迎えして、お話を聞きました。重度障がい児童受け入れ施設「地域家族しんちゃんハウス」としてスタート。その後、学童保育、NPO法人として、形を変えながら地域の家族支援を行われてきました。
 支援を続ける中で、19時、20時までおなかを空かせて、子どもたちが親の帰りを待つ今の子ども事情に対し、「おかしい」と思うようになったそうです。その背景にあるのは、国が掲げた一億総活躍プラン。ニッポン一億総活躍社会のもと、働く親は家で料理を作って待っててはくれなくなった。ともに、打ち出されたはずの地域共生社会は置き去りにされ、大人が作った社会構図の中で、貧困格差が子どもたちを振り回し始めている。食に関しては、バランスの取れた食卓が用意されず、ただ空腹を満たすため、コンビニ弁当やカップラーメンなど同じものばかりを食べ、孤食・個食の問題が増えている、この状況を危惧し、今年1月子ども食堂「はぐく」を立ち上げられました。

 子ども食堂には、毎回15名ほどの子どもたちが利用しています。それぞれ様々な背景があります。利用する子どもたちの多くは小学校低学年です。ここで過ごし、中学高校へ進み悩んだ時には立ち戻れる居場所となってほしい、状況を共有できる友だち関係を築いてほしいということです。
 野菜を提供してくださる方の菜園を訪れ、野菜スケッチをしたときのこと。初めは野菜の実の部分しか描かなかった子が、葉や茎まで描き、普段スーパーに並んでいて、口にする野菜がどのように育っているのかを知ったそうです。別の日には、老人会の方がハーモニカ演奏に訪れ、童謡を聞かせてくれました。様々な形で支援をしてくれる人の存在が、生きた学習を提供しています。おなかを空かした子どもたちに対する館合さんの「思い」が子ども食堂を立ち上げ、その「思い」に呼応した方々の「思い」が、子ども食堂に深まりを生んでいます。

 大きな木の絵を見せながら、土に埋まっている根の部分のように、「目に観えないものの大切さ」を伝えていきたい、それは、地域で言えば、団欒であり、目指していきたいと館合さんはおっしゃていました。しんちゃんハウスでは今後、認知症カフェを開始するそうです。子ども支援だけでなく、高齢者の方も含めた地域環境作りを目指すとのことです。

 子ども食堂について知るだけでなく、教えるということは、どういうことなのか、子どもたちに何を教えなければならないのかということを、改めて考えさせられ、また子どもたちに向きあう元気をもらえた、館合さんの熱いお話でした。

開 催 日 9月21日(木)
場  所 大和市文化創造拠点シリウス 603会議室
参加人数 10名