内容 『学級づくりの基本―子どもたちをどう捉えるか―』
講師 日本女子大学 清水睦美先生
日時 2018年 4月16日(月)19:00~21:00
場所 大和文化創造拠点シリウス603号室
参加者 19名
4月、5月の理論学習会では「学級経営」をテーマにした学習会を企画しました。新学期が始まり、新しいクラスの子どもたちとの出会いとともに、どう学級をつくるか、どう子どもたちと向き合っていくのかを多くの教師が考えることだと思います。
4月の学習会では、「学級づくりの基本かー子どもたちをどう捉えるかー」というテーマで日本女子大学の清水睦美先生に講演をしていただきました。講演は、「そもそも『学級』とは…」という内容で始まり、「学級」という集団を歴史の流れとともに話をしていただきました。そこからわかったことは、現代社会の中では「消費社会や情報化社会の浸透が生活の質を変え、生活の速度を早め、子どもたちの発達に大きな影響を及ぼしている」ということ、学級人数の多い現代の日本の学校での多様化する子どもたちのニーズに応えるためには、「民主主義的な社会形成のために学級での集団作りを民主的な集団づくりの経験の場としていく」ということでした。
そして、そのためには、①教室は民主的な「集団」づくりを学ぶ場、②人数の多い子どもの集まりを「集団」としてみる、③既存の集団を民主的な集団にする、という視点を教師が持つことが必要であるということでした。「学級」に存在する異なる価値観をどれだけ大事にできるのかということ、子どもたちの集団での位置取りや「いじめ」の構造から集団を分析すること、そして、教室を多様な価値を学ぶ場として雰囲気の一元化を避けることが「学級づくり」には大切であることを教えていただきました。
参加者からは、「いじめ」に関する知識を持てたことや、すべての子どもの個人としての意思決定を大事にすること、「クラスでまとまろう」という雰囲気の一元化を助長しないよう気を付けることなど、さまざまな視点からの感想があげられ、それぞれの課題に対する答えをもらったようでした。
また、清水先生が話されていた「教師は個人としての価値観を磨くこと」、「アンテナを高くもつこと」をこれからの学級経営の軸として、必要なことであるということも再確認することができました。「学級」づくりにおいて、教師のもつその価値観がいかに学級集団に影響を与えるのかを考え、これからの一年をどう過ごすのかということを考える学習会となりました。
≪参加者の感想:一部≫
学級で起こりうる「あるある話」をたくさん聞くことができ、思わず頷いてしまうお話ばかりでした。集団の人数によっていじめが発生する仕組みやカーストのことなど学級担任として知っておくべき知識だと感じました。私自身、効率化を図ってしまい、どうしてもよい学級=まとまりのある学級(?)=「民主主義」ということになりがちだった今までをかえりみて、価値観の多様性を大切に、明日からの学級づくりに生かしたいと思います。(小学校教員)
「いじめ」の仕組みや特性について改めて理解することができた。学級のまとまりをどうしても大切にしがちだが、一人ひとりの違いを認め合い、共存していくことが必要であるのだと気がつくことができた。子どもたちの位置取りについて、納得できる学級での情景が浮かんできた。
「いじめ」がひどくなるにつれて見えなくなるのはとても怖いと感じた。情報化社会が進んでいる今、発達が早い子どもたちが「いじめ」をはじめたら、その「いじめ」が進んでいくスピードも早まるのではないかと感じた。(小学校教員)
例え話が多く、とても分かりやすかったです。自分なりに考えて学級経営しているつもりだったが、もっと考えたり、学んだり、磨いたりしなければいけないと感じました。今日は参加できて本当に良かったです。(中学校教員)
今年度、初めての3年生担任になりました。ある程度の人間関係が築けている子どもたちですが、見えない部分でのトラブルも多分たくさんあるのだろうと思っています。教員がそのクラスの雰囲気の一元化を助長しないように気をつけるアンテナを持ちたいと改めて実感しました。一昨年度から参加させていただいて「クラスでまとまろう」「俺についてこい」「優勝を目指せ!」と大声で言う担任の多さにも気づけるようになりました。今回もありがとうございました。毎回、多くの学びを得られ、嬉しいです。(中学校教員)
2018年04月20日
理論学習会
4月報告 民主的な集団作り