「Ed.ベンチャー」は、市民や退職教員・研究者や現職教員が集まって立ち上げた社会教育団体です。目的は、目の前の子どもたちや先生、学校や保護者が直面する問題を共有し、とくに弱い立場に置かれた子どもも含め、すべての子どもや先生(学校)が明るい未来を創造するためのお手伝いをすることです。
主な活動
・学習に遅れる子どもたちの支援 ・学校が必要とする様々な支援
・外国人や弱い立場の子どもたちの支援 ・教職員とともに教育を考える活動
・市民とともに教育課題を考える活動
Ed.ベンチャー 新 行動宣言(PDF)
2024年度事業方針
昨年度の活動方針でふれたように、新型コロナウイルスの地球規模における感染拡大後の世界は、国際的な秩序は崩れ去り、世界の各地域で紛争が泥沼化している。(もちろんその一方では、飢餓問題と地球環境の破壊は置き去りにされているが・・・。)このように世界状況が大きく変化した背景には、膨張を続けてきたグローバル化が、ついにその限界に達し、「うまみのある辺境」を埋め尽くしてしまったことがあり、先進国による資源の奪い合いは、存在を懸けての内側に向かう争奪戦となっていることを意味している。米国の一強を頂点としたグローバル化には様々な亀裂が入り、経済圏を塊とした対立があらわになっている。またこの対立は、地球を超えて、宇宙空間の既得権の争奪戦や、次期エネルギーの開発競争にも発展しており、まさしく未来に向けての陣取り合戦の様相を呈している。
こうしたグローバルな動向は、社会の在り方や教育にダイレクトに影響を与えてきた。膨張するグローバル化の中では、人は経済的存在の側面が極度に強調され、「豊かさ」は金銭的に計ることができるものに変質し、人のつながりも都市型の仮想空間の中に実体のないものへと拡散された。
学校教育もその目的は、いつの間にか経済界がその都度必要とする人材育成へと変貌してきた。唐突にも思える英語教育の小学校からの導入や、ICT教育の推進などは、まさしくこうした流れを具体的に示したものであり、経済効率と世界と闘える新たな技術の開発こそが、小学校低学年から大学教育まで一貫する「教育の目的」と化してきたのではないだろうか。
現代をこのように俯瞰的に見てみると、こうした社会的変化の激流は、個人個人へ非人間的な大きな圧力を与え続け、私たちは大人も子どもも、自己を語る言葉や大事にすべき価値観を獲得できないままで過ごしてきていることに改めて気づかされる。
例えば、「女性の生きづらさ」を自己の問題として語るとき、その言葉は自らの内より様々な葛藤を経て、かろうじて形を与えられ、生きづらさの後景にある社会的なるものにむかって投げつけられる。こうした「もがき」の果てに自らの言葉を獲得し、失われていた「己」と少しだけ向き合えることになる。しかし、この作業は並大抵のことではない。ぶつかり、傷つき、逡巡し、長い時間をかけて言葉が内側で紡がれていく。もちろん、この言葉は聞く側の人間にとっても、重い存在感を持つ言葉だ。
「平和」についても同じことがいえる。誰しもが平和の大切さを口にはすれど、それはどれもこれも似た言葉であって、内面をしっかり潜り抜けてきた言葉ではない。ここでも言葉は奪われ続けてきた。日本軍の加害性には触れることができない教育現場には、やはり政治的な重圧がかかっていることの証であり、それこそ「平和」は奪われてしまっているのだ。「仲間や自分を守るための戦争」はいつの間にか是とされ、武器の輸出までが始まっている。まさしく日本における「平和」は、虫食い状態のスカスカになっているのだ。今こそ私たちは、この問題にそれぞれが向き合い、言葉を内側から紡ぎだして語り合わねばならないし、そのとき、お互いの言葉は共鳴し、新たなステップへと進む可能性が見えてくるのではないだろうか。平和を守ることは、決して人を殺すことではないことを、私たち自身がまずはしっかりと理解しなければならない。
アントニオ・ネグリとマイケル・ハートはその著書「帝国」の中で、グローバル化する「見えない支配装置」への対抗の可能性として「マルチチュード」を提唱した。マルチチュードとは、権力を持たない個々のネットワークの広がりのことである。
私たちが葛藤の果てに言葉を獲得し、その言葉が共鳴する姿は、まさしく「マルチチュード」と重なり合うものではないだろうか。
もちろん「語る場」は「女性の生きづらさ」や「平和」についてだけではない。学校現場や家庭の中でさまざまにぶつかっている課題が、それぞれの事業で取り上げられることを期待する。本年度は、Ed.ベンチャーの存在をかけて、「語る場」を守り育てる年になるのではないだろうか。
設立の趣旨/定款
組織
事業計画/予算
事業報告/収支計算・貸借対照表及び財産目録
2023年度 事業報告(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2022年度 事業報告(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2021年度 事業報告(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2020年度 事業報告(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2019年度 事業報告(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2018年度 事業報告(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2017年度 事業報告(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2016年度 事業報告(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2015年度 事業報告(PDF)/収支計算書・賃借対照表・財産目録(PDF)
2014年度 事業報告書(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2013年度 事業報告書(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2012年度 事業報告書(PDF)/一般会計 収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
すたんどばいみー基金 収支決算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
東日本大震災支援事業 会計報告・貸借対照表・財産目録(PDF)
2011年度 事業報告書(PDF)/一般会計 収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
東日本大震災支援事業 会計報告・貸借対照表・財産目録(PDF)
2010年度 事業報告書(PDF)/法人化前 収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
法人化後 収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2009年度 事業報告書(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2008年度 事業報告書(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
2007年度 事業報告書(PDF)/収支計算書・貸借対照表・財産目録(PDF)
沿革
2007年
9月 (非営利)教育支援グループEd.ベンチャー設立総会開催
2008年
1月 「すたんどばいみー基金の会」をEd.ベンチャー組織内に位置付け
2月 設立記念講演会開催。テーマ:「<職業>としての教育―あるいは職業としての教師」 講師:東京大学大学院教育学研究科教授 苅谷剛彦先生
4月 外国人支援活動子ども支援部「エステレージャ・ハッピー」開始
2009年
2月 教育講演会開催。テーマ:「教師であることと、市民であること」 講師:東京大学大学院教育学研究科准教授 小玉重夫先生
3月 外国人支援活動大人支援部「生活相談」において、月1回の日本語教室への出張相談を開始
4月 外国人支援活動子ども支援部「保証人事業」開始
7月 『会報』発行開始
2010年
1月 学校支援活動学校支援部「調査援助」を「研究者による支援」に改め開始
外国人支援活動子ども支援部「エステレージャ・ハッピー」から厚木教室「Kokusai B.G.」立ち上げ
外国人支援活動子ども支援部「すたんどばいみー」を外部関連協力団体として位置付け、「当事者活動支援」開始
2月 教育講演会開催。テーマ「家族と教育の関係性の変容」 講師:東京大学大学院教育学研究科教授 本田由紀先生
3月 国際教室担当マニュアル「はじめての国際教室担当」発行
6月 特定非営利活動法人として神奈川県より認証を受け、NPO法人教育支援グループEd.ベンチャーとなる
9月 緊急ホームレス支援開始、法人の外部組織として「連帯保証人グループ」立ち上げ
10月 八王子国際協会主催「外国につながる児童生徒のための学習支援ボランティア講座」に講師派遣(~12月、全6回)
12月 神奈川県立湘南養護学校の校内研修会に講師派遣
2011年
1月 外国人支援活動大人支援部「生活相談」の出張相談が月1回から毎週となる
2月 教育講演会開催。テーマ:「『貧困』の現実と『教育』~『反貧困』の活動から~」講師:活動家 湯浅 誠 氏
4月 「東日本大震災支援事業」開始、岩手県陸前高田市の学校再開・避難所支援、宮城県石巻市万石浦の子ども支援、福島県富岡町の学校再開支援を行う
「東日本大震災支援事業」において、すたんどばいみーの陸前高田市モビリア避難所子ども支援活動の後方支援開始
7月 外国人支援活動子ども支援部「保証人事業」において、「報告会」を開始、以降年2回報告会を開催
11月「東日本大震災支援事業」において、岩手県陸前高田市の現地市民団体・教育支援チーム「まつ」の支援開始
2012年
1月 学校支援活動教師・保護者支援部「授業研究会」を「小5・6教室」に改める
小学館『小四教育技術』に「東日本大震災支援事業」の記事掲載
2月 教育講演会開催。テーマ:「『親密性』と『排除』~子ども社会・子どもを取り巻く社会~」 講師:筑波大学大学院人文社会系教授 土井隆義先生
3月 『東日本大震災支援活動報告書』発行
4月 「東日本大震災支援事業」万石浦子ども支援を学生主体に立ち上げた「ライオン学校」が引き継ぎ、以降法人が後方支援を行う
8月 「東日本大震災支援事業」において、神戸定住外国人支援センターと共催で「ライオン学校伊豆学習旅行」開催
陸前高田市立小友中学校・大和市立下福田中学校・すたんどばいみー共催の三者交流会を支援
11月 神奈川新聞「心豊かな街へ」欄に当法人紹介記事掲載
12月 神奈川新聞社・神奈川新聞厚生文化事業団より第25回神奈川地域社会事業賞受賞
2013年
1月 『小友中学校×すたんどばいみー×下福田中学校 交流会報告書』発行
学校支援活動教師・保護者支援部「小5・6教室」を「授業研究会(小5・6)」教室に改める
「エステレージャ・ハッピー」「Kokusai B.G.」を外国人支援活動子ども支援部「子どもの居場所・学習教室」として位置づけ
2月 教育講演会開催。テーマ:「つなぐ力・のりこえる力・・・被災地の実践から、教育の可能性を学ぶ」 講師:岩手県陸前高田市立小友中学校校長 加藤 清 先生、福島県南相馬市立原町第一小学校教諭・日本作文の会副会長 白木次男先生
5月 「子どもの居場所・学習教室」「お父さんとお母さんのための日本語教室」「生活相談」を県中央地域労働者福祉協議会との共催で開始
2014年
1月 学校支援活動を再編、「教師相談」「研究者による支援」「教育ボランティア」を統合し「学校相談・教師相談」として開始
2月 定期総会にて「Ed.ベンチャー行動宣言」採択
教育講演会開催。テーマ:「『語るべき未来』を探る~原発事故が意味するものと『里』の思想」 講師:立教大学大学院教授 内山 節 先生
4月 『会報』に代わり広報紙『Ed.ベン便り』発行開始
12月 「生活相談」終了
2015年
2月 教育講演会開催。テーマ:「しんどい子を支えることはしんどい子のためだけじゃない」 講師:大阪大学大学院教授 志水宏吉先生
10月 合同理論学習会「第1回 学校教育につなげる労働をめぐるルール」開催。
11月 合同理論学習会「第2回 ブラック企業の実態と対処法」開催。
12月 授業研究会<小5・6教室>終了。
お父さんとお母さんのための日本語教室終了。「すたんどばいみー」の日本語事業に移管。
学校相談・教師相談終了。
2016年
1月 かながわボランタリー活動推進基金21ボランタリー活動奨励賞 受賞
2月 教育講演会開催。テーマ:「グローバリズムの果てを問う-新自由主義への決別と創造の意志-」 講師:文筆家・実業家 平川克美先生
3月 厚木在住の外国児童生徒を対象とした学習支援教室「Kokusai B.G」を終了。「エステレージャ・ハッピー教室」に統合。
合同理論学習会を「授業研究会(労働教育)」として継承。
第1回「外国人子ども支援ボランティア養成講座」開催。
4月 「産休・育休ママのための学習会」を開始
6月 神奈川県厚木保健福祉事務所委託事業として学習支援教室「Friends☆Star」開始
8月 第2回「外国人子ども支援ボランティア養成講座」開催。
11月 スタディーツアー実施。
2017年
2月 定期総会にて「新 行動宣言」採択
教育講演会開催。テーマ:「シフトダウンへの冒険 -「弱さ」の思想と生き方-」 講師:ナマケモノ教授・文化人類学者・環境活動家・明治学院大学 教授 辻 信一 先生
2018年
2月 教育講演会開催。テーマ「(この時代のわたしたちの)未来への責任-憲法論議の先に見えるもの-」講師:憲法学者・学習院大学法科大学院 教授 青井未帆 先生
2019年
2月 教育講演会開催。テーマ「原発労働と私たち・・・そして教育 知るべきこと伝えるべきこと」講師:ピアノ弾き語り音楽家・エッセイスト 寺尾紗穂 氏
2020年
2月 教育講演会開催。テーマ「ヤングケアラーを考える-子どもの視点から学校教育を問い直す-」講師:成蹊大学文学部 准教授 澁谷智子 先生
10月 教育講演会連続講座第1回(座談会)開催。テーマ「教育の不平等と学校の役割」話題提供:日本女子大学人間社会学部 教授 清水睦美 先生
11月 教育講演会連続講座第2回(講演会)開催。テーマ「教育においてICTを飼いならすために」講師:京都大学大学院教育学研究科 教授 石井英真 先生
12月 教育講演会連続講座第3回(講演会)開催。テーマ「なぜ、少人数教育が必要なのか」講師:東京大学大学院教育学研究科 教授 本田由紀 先生
2021年
1月 教育講演会連続講座第4回(座談会)開催。テーマ「偏見・差別・自粛警察を考える」話題提供:帝京大学文学部 准教授 山口 毅 先生
2月 教育講演会連続講座第5回(講演会)開催。テーマ「コロナ禍で考える未来の社会と教育」講師:同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科 教授 岡野八代 先生
2022年
2月 教育講演会開催。テーマ「児童虐待から家族・貧困・社会を考える-コロナ禍で置かれた女性の位置」講師:日本女子大学人間社会学部 教授 周燕飛 先生
2023年
2月 教育講演会開催 テーマ「逃れられない問題としての『女性の生きづらさ』」講師:東京大学大学院教育学研究科 教授 本田由紀 先生
2024年
2月 教育講演会開催 テーマ「未来への責任-平和教育を考える-」講師:東京女子大学 准教授 竹内久顕 先生