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【報告】3/29学習会 学習会報告 日時:2025年3月29日(土) 10:30~12:00 参加者:11名 内容:「参加者それぞれの現場から排除の実態を報告し合い、現状を認識する」 今回の学習会では、小学校、中学校で見られる”インクルーシブでない状態”について語り合いました。 国際級在籍の生徒に対して試験問題にルビを振らない教員がいる。以前ほど教員が家庭訪問を積極的に行わなくなった。我が子の人間関係に過敏な保護者に対して毅然とした態度を示せないなど、様々な苦しさを抱える子どもに対して、出来ないことを学校・教員の責任を子どもに押し付けてしまっている現状。また、教室で子ども同士が多様性を認知し、受け入れるまでにかかる時間を学校が確保しづらくなっている現状が指摘されました。学校に通う子ども以上に、教職員集団や保護者の意識についても話題が及ぶ有意義な時間となりました。 今回確認された現状を踏まえ、参加者各々がどのように子ども、そして職員集団・学校現場の抱える課題と向き合っていくのか。8月の学習会に向けて考えていきたいと思います。 【参加者の感想より】 ・保護者としてと特別支援の方が手厚いからという感覚、すごく分かります。「インクルーシブにするよ」「学級を20人にするよ」が実現したらいいな..と思います。インクルーシブの理念と政策のズレが矛盾がすごく感じられて、意味のないことをどんどん進めているんだなと思いました…。クラス替えが1年ごとなのはリスク回避になるということをはじめて知り、年度替わりに毎年不安定になる子どもたちを考えると、本当に大人のためのクラス替えなんだなと思いました。 ・最近、教育と労働の関りに関する議論をした。剰余価値を増やすためには、2つのパターンがあるという。1つは単純に労働時間を増やすということ、もう1つは短時間でより多くの価値を創出可能な労働者を使役すること。教育は後者に関わっているという。今日の議論をきいていると、現状の教育は効率的な生産者を産み出すことに焦点化した教育の形に近づいているように感じる。その一方で、必ずしも教育現場で行われていることが効率的な生産者の生産に寄与するわけではないだろう。インクルーシブ教育もその一つである。インクルーシブ教育は基本的に生産性を高めることに直結するわけではない。生産性と関連の低い教育活動の価値を再確認するべきだと考える。 ・学校がインクルーシブになることには、教師意識だけでなはなく保護者の意識や制度的なものなど、様々なハードルがあることを理解しました。インクルーシブをすすめることは、とても難しく思うようにいかないのだろうと思います。「(多様性の認知・受容に基づくインクルーシブの実現には)時間とお金がかかる」という言葉が印象的でした。効率を重視する学校の中で、子どもたちがますます生きづらくなっていくのが予想されるだろうなと思うとやりきれないです。 ・東京、日本だとその子に合わせた分離することをインクルーシブと言っている現状がある中で、「インクルーシブ」というものを話すことがまず大事なのだなと思った。 ・自分の学校でいかにインクルーシブの考えが実践されていないかを痛感しました。また、この1年で自分が日本の学校教育の悪いところにとりこまれて、大切な考えが失われていたことにも気付きました。 ・学校現場での「インクルーシブではない実態」が報告され、とても参考になった。学校の教室そのものが持つ理念が、インクルーシブから離れてしまっていることがよくわかった。 ・インクルーシブな社会を目指すには、自分も学校の中で考えを戦わせたり、もっと理解を深める取り組みが必要で、まだまだフォローしきれていない子どもがたくさんいると感じた。 ・何のために学校があるのか、教室をどんな場所として位置づけるのか、改めて、突き詰めて考えていかなければと思いました。担任をしていた頃、学級目標を温かいクラスとして、運動会や合唱コンでは、力を入れずにのんびりと学級経営をしていましたが、今は難しいのですかね。 ・子どもと生活していく中で、自分のした行動、言葉掛けで子ども同士の関係性が分断されたと感じる場面があり、あのときの反省を振り返ることができました。「子ども主体に」と言われ続ける教育現場で、子どもを誘導する教師の責任は問われず、何かあったら子どもの責任、問題を子どもに求めている実態があることを認識して、違和を行動や言語化して伝えていくことを目標に教育に向き合っていきます。 ・子ども、教室のインクルーシブの前に職員間のインクルーシブを実現する必要性を感じる。意見を交換するための時間、また教育観・価値観をすり合わせることにもっと時間をかけたい。特に、若手とベテラン、20代と50・60代の教職員の乖離をつなぎ留めたいと思っています。
学校支援活動
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うれしい出来事 【エステレージャ教室 8~9月報告】 9月、エステレージャにうれしい出来事がありました。 中学生のSさんが書いた平和に関する作文が、学校代表の作文の1つに選ばれ、新聞に掲載されたのです。教室では、帰りの会でSさんに作文を披露してもらい、スタッフも作文を聞いた子どもたちもSさんの努力を讃えました。 Sさんは、小学校2年生からエステレージャに通っている子どもです。作文が苦手で、作文の宿題があると教室に持ってきて、スタッフと一緒に作文に取り組んでいました。小学校2年生の時には、「作文をどうやって書いたらいいか分からない。でも、先生が『1年生の時に教えたから教えません。』と言ったから・・・書けない。どうしよう。」と話していたことがあります。外国人の子どもにとって、作文はとてもハードルが高い学習活動で、日本語を上手に話せていても、作文が書けないことはよくあることなのに、一度教えたから教えないというのは・・・とスタッフの話題になったことが思い出されました。 Sさんの作文が、私たちスタッフに2つのことを教えてくれました。1つは、継続することが力になっていくということです。Sさんは作文を書くときには、いつもスタッフと話をしながら、自分の経験や意見、考えを話し、それを作文に書いていくということを続けてきました。作文は苦手で面倒だけれども、課題にまじめに取り組んできました。あきらめず続けていくことで、力がついてくるということをSさんの作文が教えてくれました。 もう1つは、自分の意見や考えを言葉にする力を育てることの大切さです。Sさんが平和の作文に取り組んでいた時、中学校2年生のKさんも人権作文に取り組んでいました。Sさんと同じように、スタッフはKさんの経験や考えを聞きながら進めていきました。人権という言葉を確認した後、人権が守られているあるいは侵されていると感じることはないか、それに対してどんなことを感じるか、考えているかなど、まずKさんの経験や考えを聞こうとしました。しかし、Kさんからは言葉が出てきませんでした。人権というテーマは難しいテーマで、大人でも作文を書くのが難しいので、どんな言葉でもいいから考えていること、思っていることを自分の言葉で話してほしいと思いました。しかし、Kさんから言葉が出てこなかったため、作文が書けないまま終わってしまったということがありました。この時、対応していたスタッフはKさんが自分の考えや意見を言葉にできないことを残念に思いました。Kさんも低学年から教室に通ってきている子どもで、小学生の時には不平不満も含めて学校であったことをよく話してくれていました。しかし、自分の言葉で考えや意見を表明することができなかったのです。Kさんの作文を支援している中で、事実を伝えるだけではなく、思いや考え、意見を持つこと、そしてそれを表明する言葉が持てるように支援することが必要だと感じました。 Sさんの作文は、学習を支援することはもちろん必要ですが、自分の意見や考えを持ち、それを表明する言葉が持てるような支援をすることが必要であるということも教えてくれました。Sさんの作文は、エステレージャが目指すべき課題も教えてくれました。
外国人支援・こども支援活動
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No.67総会・講演会報告 Ed.ベンだよりNo.67が発行されました。 今回のEd.ベンだよりのタイトルは「2025年度定期総会と教育講演会の報告」です。 Ed.ベンだよりNo.67ダウンロード 去る2月16日にEd.ベンチャーの定期総会が開催されました。また同日午後には、「核政策を知りたい広島若者有権者の会( カクワカ広島)」の共同代表である田中美穂さんを講師としてお招きし、「今の世界の現実を自分事として未来に向けて受け止める」というテーマで講演会とパネルディスカッションを開催しました。 今回のEd.ベンだよりは新年度にあたっての会長挨拶と教育講演会の要約が掲載されております。 昨年度の総会及び教育講演会の折にも、世界のいたるところで激しい戦争が行われ、多くの人々が傷つき尊い命が失われていました。今年になってもそれらは収まる気配が見えず、益々混沌の度合いを深めているようにも見受けられます。遠くの国の戦争だから関係ない、と思うのではなく、「平和」ということについて、自分のこととして考えていく必要がどんどん重要になってきているように思います。ぜひ今回のEd.ベンだよりをお読みください。 また、5月までのEd.ベンチャーの学習会の案内も掲載しております。みなさまのご参加をお待ちしております。
Ed.ベンだよりPDF
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学習会報告 日時:2025年3月29日(土) 10:30~12:00 参加者:11名 内容:「参加者それぞれの現場から排除の実態を報告し合い、現状を認識する」 今回の学習会では、小学校、中学校で見られる”インクルーシブでない状態”について語り合いました。 国際級在籍の生徒に対して試験問題にルビを振らない教員がいる。以前ほど教員が家庭訪問を積極的に行わなくなった。我が子の人間関係に過敏な保護者に対して毅然とした態度を示せないなど、様々な苦しさを抱える子どもに対して、出来ないことを学校・教員の責任を子どもに押し付けてしまっている現状。また、教室で子ども同士が多様性を認知し、受け入れるまでにかかる時間を学校が確保しづらくなっている現状が指摘されました。学校に通う子ども以上に、教職員集団や保護者の意識についても話題が及ぶ有意義な時間となりました。 今回確認された現状を踏まえ、参加者各々がどのように子ども、そして職員集団・学校現場の抱える課題と向き合っていくのか。8月の学習会に向けて考えていきたいと思います。 【参加者の感想より】 ・保護者としてと特別支援の方が手厚いからという感覚、すごく分かります。「インクルーシブにするよ」「学級を20人にするよ」が実現したらいいな..と思います。インクルーシブの理念と政策のズレが矛盾がすごく感じられて、意味のないことをどんどん進めているんだなと思いました…。クラス替えが1年ごとなのはリスク回避になるということをはじめて知り、年度替わりに毎年不安定になる子どもたちを考えると、本当に大人のためのクラス替えなんだなと思いました。 ・最近、教育と労働の関りに関する議論をした。剰余価値を増やすためには、2つのパターンがあるという。1つは単純に労働時間を増やすということ、もう1つは短時間でより多くの価値を創出可能な労働者を使役すること。教育は後者に関わっているという。今日の議論をきいていると、現状の教育は効率的な生産者を産み出すことに焦点化した教育の形に近づいているように感じる。その一方で、必ずしも教育現場で行われていることが効率的な生産者の生産に寄与するわけではないだろう。インクルーシブ教育もその一つである。インクルーシブ教育は基本的に生産性を高めることに直結するわけではない。生産性と関連の低い教育活動の価値を再確認するべきだと考える。 ・学校がインクルーシブになることには、教師意識だけでなはなく保護者の意識や制度的なものなど、様々なハードルがあることを理解しました。インクルーシブをすすめることは、とても難しく思うようにいかないのだろうと思います。「(多様性の認知・受容に基づくインクルーシブの実現には)時間とお金がかかる」という言葉が印象的でした。効率を重視する学校の中で、子どもたちがますます生きづらくなっていくのが予想されるだろうなと思うとやりきれないです。 ・東京、日本だとその子に合わせた分離することをインクルーシブと言っている現状がある中で、「インクルーシブ」というものを話すことがまず大事なのだなと思った。 ・自分の学校でいかにインクルーシブの考えが実践されていないかを痛感しました。また、この1年で自分が日本の学校教育の悪いところにとりこまれて、大切な考えが失われていたことにも気付きました。 ・学校現場での「インクルーシブではない実態」が報告され、とても参考になった。学校の教室そのものが持つ理念が、インクルーシブから離れてしまっていることがよくわかった。 ・インクルーシブな社会を目指すには、自分も学校の中で考えを戦わせたり、もっと理解を深める取り組みが必要で、まだまだフォローしきれていない子どもがたくさんいると感じた。 ・何のために学校があるのか、教室をどんな場所として位置づけるのか、改めて、突き詰めて考えていかなければと思いました。担任をしていた頃、学級目標を温かいクラスとして、運動会や合唱コンでは、力を入れずにのんびりと学級経営をしていましたが、今は難しいのですかね。 ・子どもと生活していく中で、自分のした行動、言葉掛けで子ども同士の関係性が分断されたと感じる場面があり、あのときの反省を振り返ることができました。「子ども主体に」と言われ続ける教育現場で、子どもを誘導する教師の責任は問われず、何かあったら子どもの責任、問題を子どもに求めている実態があることを認識して、違和を行動や言語化して伝えていくことを目標に教育に向き合っていきます。 ・子ども、教室のインクルーシブの前に職員間のインクルーシブを実現する必要性を感じる。意見を交換するための時間、また教育観・価値観をすり合わせることにもっと時間をかけたい。特に、若手とベテラン、20代と50・60代の教職員の乖離をつなぎ留めたいと思っています。
2025年04月15日 インクルーシブ社会を目指す学習会 【報告】3/29学習会
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外国人の子ども理解のための学習会では、4月22日(火)に下記要領にて学習会を開催いたします。ぜひご参加ください。 日時:4月22日(火)19:00~21:00 場所:大和市シリウス612(文化創造室) 内容:「国際教室のコーディネーターとしての役割~国際教室担当の実践を通して~」 講師:菊池 一輝 氏(大和市内中学校教諭) 大和市には、数多くの外国にルーツを持つ子どもたちが暮らしています。来日経緯や家庭の状況など、普段子どもたちが置かれている状況や課題を理解することで支援が充実したものとなります。 国際教室は、教室(在籍学級)に早く戻すための機能として認識されてしまうことが多くありますが、国際教室の果たす役割はそれで十分でしょうか。国際教室の支援にはどのようなことがあるのか、子どもたちを支援するための資源にはどのようなものがあるのか、また国際教室担当者はそれらの資源にどう子どもたちをつなげていくのかをといったことを知ると、支援の幅が広がり、より充実した支援を提供できるようになります。 学習会では、国際教室担当の経験を持つ講師の先生の実体験に基づいた講義をもとに、子どもたちの支援について考えます。 参加ご希望の方は、会場参加かオンライン参加を明記の上、下記担当者までメールでお申し込み下さい。後日担当者より、ミーティングIDとパスコードをお知らせいたします。 申し込み先:ayumin31@gmail.com(外国人の子ども理解のための学習会担当 西岡) 4/22外国人理解学習会チラシダウンロード
2025年04月11日 外国人の子ども理解の学習会 4/22学習会を開催します
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Ed.ベンだよりNo.67が発行されました。 今回のEd.ベンだよりのタイトルは「2025年度定期総会と教育講演会の報告」です。 Ed.ベンだよりNo.67ダウンロード 去る2月16日にEd.ベンチャーの定期総会が開催されました。また同日午後には、「核政策を知りたい広島若者有権者の会( カクワカ広島)」の共同代表である田中美穂さんを講師としてお招きし、「今の世界の現実を自分事として未来に向けて受け止める」というテーマで講演会とパネルディスカッションを開催しました。 今回のEd.ベンだよりは新年度にあたっての会長挨拶と教育講演会の要約が掲載されております。 昨年度の総会及び教育講演会の折にも、世界のいたるところで激しい戦争が行われ、多くの人々が傷つき尊い命が失われていました。今年になってもそれらは収まる気配が見えず、益々混沌の度合いを深めているようにも見受けられます。遠くの国の戦争だから関係ない、と思うのではなく、「平和」ということについて、自分のこととして考えていく必要がどんどん重要になってきているように思います。ぜひ今回のEd.ベンだよりをお読みください。 また、5月までのEd.ベンチャーの学習会の案内も掲載しております。みなさまのご参加をお待ちしております。
2025年03月18日 Ed.ベン便り No.67総会・講演会報告
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Ed.ベンだよりNo.66が発行されました。 今回のEd.ベンだよりのタイトルは「若い先生方に是非とも考えてもらいたい問題」です。 Ed.ベンだよりNo.66ダウンロード 早くも新しい大統領の言動に世界が振り回されています。太平洋を渡ったはるかかなたの国のことだから、私たちには関係ないと思いがちですが、グローバルな時代ですから、やはりいろいろなこと、とりわけ政治経済面では大きな影響が出てきそうです。学校や教育のことは、政治や経済のこととはちょっと距離がある、と思われるかもしれませんが、決してそんなことはないと思います。 直接すぐに影響があることではないとしても、やはりこのところの世の中の動きには注意して目を配っておく必要があると思います。今回のEd.ベンだよりの内容を手掛かりとしていただければと思います。 また、2月16日に開催予定の2025年度教育講演会についてもお知らせが掲載されています。今回は「核政策を知りたい広島若者有権者の会 共同代表の田中美穂氏においでいただき「平和」について議論を交わしたいと思います。こちらにもぜひご参加ください。 さらに3月29日開催される予定の総合学習会に関するお知らせも掲載されています。午前中はインクルーシブな社会を目指す学習会、午後には外国人の子ども理解のための学習会、そして夕方からは授業研究会が行われます。関心のある学習会だけの参加でも結構ですし、一日中の参加でも結構です。ぜひご参加ください。
2025年02月05日 Ed.ベン便り No.66若い人たちに考えてほしいこと
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日時:2024年12月6日(金) 19:30~21:00 内容:「子どもアドボカシーを知っていますか~子どもの声を聴く意味 そして私たち一人ひとりができること~」実践報告 講師:相澤京美氏(NPO法人子どもアドボカシーを進める会 TOKYO) 参加者:4名 今回は、5月に行った子どもアドボカシーについての学習会で、講師の相澤氏からのお話を伺ってそれぞれの場所と立場で実践したことの報告を行いました。そして、実践報告に対して改めて相澤氏からもお話を伺いました。 中学校での実践では、中学2年の道徳の授業で「子どもの権利条約」を題材とした実践が報告されました。人権という言葉自体が子どもにとってなじみの薄いものであることもあり、「虐待」や「戦争」といった状況に置かれた子どもを守るための限定的なものとして理解されている様子が見られました。ただ、「子どもの権利条約」の条文を見る中で、家族との関係や日々の生活の中で疑問に思っていることを話題に挙げる生徒もおり、「人権」という言葉を身近なものと捉え直す様子も見られました。一度きりの授業であったため、生徒はアドボカシーにおいて重要な「意思表明権」、そして「子ども自身に権利がある」ということを知るだけで終わってしまいましたが、3年では公民の授業も始まるため、今回1回の授業で終わることなく、次の授業に繋げていきたいと思いました。授業でできることには限界があることも共有し、日常の中で「これがあなたの権利だよ」と伝えて浸透させていくことが大事と、相澤氏からお話をいただきました。 児童養護施設での実践では、県のアドボカシー事業の方々が来園したときの子どもたちの反応や、「まず子どもの考えを聴くこと」を意識した中で、できたこととできなかったことについての報告となりました。これまで分からなかった子どもの考えを知ることができたこと、子どもが話せば話すほど混乱していったり、できない現実にぶつかったりと、そのフォローの難しさや時間の足りなさ、その中での変化も感じたこと、などの話が挙がりました。相澤氏からは、施設が子どもアドボカシーを実践していくことが一番難しいこと、施設で「助けて」と言える関係性が作れると良いこと、などのお話をいただきました。 相澤氏からは、歴史的な観点からも権利は圧に対するものとして生まれた概念で、大人への抵抗ということ、それを現在の学校現場でフォーマルアドボカシーという立場で実践していくことには限界があるが、意見をいつでも聞くよという姿勢を見せておくことが大事とのお話、学校でアドボカシー事業を取り入れている事例も増えているとのお話もありました。今も、これからも、子どもたちと接しているすべての大人が、子どもの権利について考えていくこと、権利を尊重していくことを怠らないこと、そしてその考えを浸透させていくことが必要で、わたしたちに与えられている課題であると感じました。
2025年01月05日 インクルーシブ社会を目指す学習会 【報告】12/6学習会
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この度、兵庫県神戸市を中心に外国人支援の活動を行っている神戸定住外国人支援センター様より、定住外国人の子どもたちを支援するための奨学金クラウドファンディングに関するお知らせをいただきました。 このクラウドファンディングを行っている「定住外国人子ども奨学金実行委員会」は、外国にルーツを持ち、兵庫県に住む、経済的に困難な環境にある子どもたちの高校入学・高校生活を支援しています。 また、奨学金の支給にとどまらず、奨学生との対話を通じて3年間の高校生活を見守り、卒業できるように、また卒業後のさらなる飛躍を見越して、必要な伴走支援を行っています。 今回のクラウドファンディングを機に、財政を改善するとともに、 さらに多くの方々に外国人生徒の現状と奨学金について広く知っていただきたいとのことです。 このクラウドファンディングの詳細や寄付の方法については、下記のリンクをご覧ください。 https://congrant.com/project/kfcscholarship/13731 ご興味のおありの方は、是非ご覧いただき、参加等についてご検討いただければ幸いです。 よろしくお願いいたします。
2024年12月20日 お知らせ KFCのクラウドファンディングについて
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2024年12月12日 お薦めの書籍・文献 ドイツは過去とどう向き合ってきたか
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2024年12月06日 Ed.ベン便り No.65私たちの問題として
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日時:2024年7月4日(木) 19:30~21:00 事例:「意思疎通の難しい子どもへの支援」(事例提供:座間市立中学校教諭) 参加者:4名 今回は、自分の意思・気持ちを言葉で伝えるのが難しい子どもの事例について考えました。これまで学校では、保護者との面談を定期的に行い、様々な会議で支援体制の充実をはかってきました。保健室でのクールダウンや、スクールカウンセラーによるソーシャルスキルトレーニングの実施。主に支援級生徒を見ている支援員についてもらったり、市の教育研究所からの職員派遣など、様々な大人がその生徒にかかわることで、生徒理解は深まってきました。 学習会の中では、対象の生徒に対して、何ができるようになったかばかりに目がいってしまうが、「周りの支援者(子どもたち)が増えたかがすべて」という発言が印象に残りました。2学年に進級し、周りの生徒の理解も深まり、そっとしておく場面や穏やかに声をかける場面が見られます。しかし、リアクションのなさや制止に応じられない状況に対し、どのように声をかければよいか分からず、子どもたちの中の迷いも見られます。 日常の生活、行事などの取り組みを通して、周りの子どもたちがどのように変化していくのか。”その子”の変化を追う視点だけでなく、集団全体の変容に視点を移して子どもの様子をみとりたいと思いました。
2024年10月28日 インクルーシブ社会を目指す学習会 【報告】7/4学習会
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日時:2024年6月4日(火) 19:30~21:00 参加者:7名 内容:「インクルーシブ教育実践推進校から見るインクルーシブ教育のこれから」 講師:竹本 弥生氏(県立綾瀬高等学校 元校長) 今回は、竹本先生を講師に迎え、大和市シリウスの中会議室にて対面での学習会を開くことができました。 県立高校におけるインクルーシブ教育推進の経緯から現在の状況について知ることができました。現在、特別募集の志願資格では、保護者の送り迎えを認め、学校説明会への参加も必須ではなくなりました。また、県外からの入学も認められています。不本意入学の懸念はあるものの、中学生が希望の進路を選択しやすくなってきたと感じます。 さらに、綾瀬高校の「授業のユニバーサルデザイン化」や「複数の教科での学習支援」など、すべての生徒が学びやすい環境を整える工夫は校種にかかわらず必要な手立てであると、感じることができました。 知的障害を持ち、特別募集により入学をした生徒のためのカリキュラムについては、初めて聞く話ばかりで、非常に学びが多いものになりました。インターンシップの実施や、支援員とのリソースルームの活用が、生徒自身が将来や現在の学習を考える上で大きな助けになると思いました。一般募集で入学した生徒とは違う授業を受けることに抵抗を示す生徒、自己の特性理解に難しさを抱える生徒など、インクルーシブ教育推進校だからこそ生まれる生徒の困り感に寄り添うことの難しさを感じました。また、学びの場を確保するための教室環境や職員の意識など、支援体制を維持するための課題についてもお話を聞けたことがよかったです。 現状、特別募集には「知的障害のある者」という要件が残っており、障害の有無(自認)という要件が外れたとき、インクルーシブな教育の実現に一歩近づくと感じました。様々な課題を抱えながらも、インクルーシブ教育は少しずつ前進を続けていると実感ができた学習会となりました。 【参加者の感想より】 ・中学校でこれまでも3学年を担当することがありました。「特別募集で試験がないから」「手帳を持っているから」と、安易にインクルーシブ推進校を選ぶ生徒を見たことがあった。入学しやすさではなく、「その学校の魅力」や「自分の将来」を考えたうえで高校を選べる生徒に育てたい。学習会で話題にあがった、「部活動の豊富さが養護学校との違い」という言葉が印象に残りました。「障害を持っている生徒の進学先は養護学校しかない」という誤った認識を持っていた過去の自分。そして、進学先決定で悩む生徒に「学校は自分で決めていいんだ」と伝えたいと思いました。 ・高校でのインクルーシブ教育実践校の実態を知ることができてとても勉強になりました。理念を制度として実現させていくことはとても難しいことだと改めて実感する機会になりました。他方で、難しい部分が見えたことで、何を考えていけば変わるかということも考える機会になりました。 ・(中学校で)進路指導をしている中で、インクルーシブ教育推進校ということは知っていたが、実際どのようなことをしているのかまでは知らなかったので、実際の姿を知ることができて大変勉強になりました。もともとのシステムが根本的にインクルーシブにつくられているわけではないため、様々な制度利用に関する制限があるなど、非常に難しいはざまの中で高校の先生方が尽力されていることを実感しました。本日はありがとうございました。 ・本日はありがとうございました。インクルーシブ実践推進校として、生徒のニーズに応えることができるよう様々な取り組みをしていると思いますが、卒業後のフォローなど、課題もあるように感じました。 ・(教育)実習でインクルーシブ教育について少し説明を受けたが、今回の学習会で細かい仕組みや制度などを知ることができた。実際に(綾瀬高校で)授業を教えたときは、特別募集で入学した生徒かどうかは分からなかった。生徒に対してどのような支援を行っているのか、(現在中学校で)特別支援学級をみている立場となって、余計に興味がわきました。
2024年10月28日 インクルーシブ社会を目指す学習会 【報告】6/4学習会
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2024年10月28日 お薦めの書籍・文献 どうして戦争しちゃいけないの?
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【エステレージャ教室 8~9月報告】 9月、エステレージャにうれしい出来事がありました。 中学生のSさんが書いた平和に関する作文が、学校代表の作文の1つに選ばれ、新聞に掲載されたのです。教室では、帰りの会でSさんに作文を披露してもらい、スタッフも作文を聞いた子どもたちもSさんの努力を讃えました。 Sさんは、小学校2年生からエステレージャに通っている子どもです。作文が苦手で、作文の宿題があると教室に持ってきて、スタッフと一緒に作文に取り組んでいました。小学校2年生の時には、「作文をどうやって書いたらいいか分からない。でも、先生が『1年生の時に教えたから教えません。』と言ったから・・・書けない。どうしよう。」と話していたことがあります。外国人の子どもにとって、作文はとてもハードルが高い学習活動で、日本語を上手に話せていても、作文が書けないことはよくあることなのに、一度教えたから教えないというのは・・・とスタッフの話題になったことが思い出されました。 Sさんの作文が、私たちスタッフに2つのことを教えてくれました。1つは、継続することが力になっていくということです。Sさんは作文を書くときには、いつもスタッフと話をしながら、自分の経験や意見、考えを話し、それを作文に書いていくということを続けてきました。作文は苦手で面倒だけれども、課題にまじめに取り組んできました。あきらめず続けていくことで、力がついてくるということをSさんの作文が教えてくれました。 もう1つは、自分の意見や考えを言葉にする力を育てることの大切さです。Sさんが平和の作文に取り組んでいた時、中学校2年生のKさんも人権作文に取り組んでいました。Sさんと同じように、スタッフはKさんの経験や考えを聞きながら進めていきました。人権という言葉を確認した後、人権が守られているあるいは侵されていると感じることはないか、それに対してどんなことを感じるか、考えているかなど、まずKさんの経験や考えを聞こうとしました。しかし、Kさんからは言葉が出てきませんでした。人権というテーマは難しいテーマで、大人でも作文を書くのが難しいので、どんな言葉でもいいから考えていること、思っていることを自分の言葉で話してほしいと思いました。しかし、Kさんから言葉が出てこなかったため、作文が書けないまま終わってしまったということがありました。この時、対応していたスタッフはKさんが自分の考えや意見を言葉にできないことを残念に思いました。Kさんも低学年から教室に通ってきている子どもで、小学生の時には不平不満も含めて学校であったことをよく話してくれていました。しかし、自分の言葉で考えや意見を表明することができなかったのです。Kさんの作文を支援している中で、事実を伝えるだけではなく、思いや考え、意見を持つこと、そしてそれを表明する言葉が持てるように支援することが必要だと感じました。 Sさんの作文は、学習を支援することはもちろん必要ですが、自分の意見や考えを持ち、それを表明する言葉が持てるような支援をすることが必要であるということも教えてくれました。Sさんの作文は、エステレージャが目指すべき課題も教えてくれました。
2024年10月18日 子どもの居場所・学習教室 うれしい出来事