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【報告】7/4学習会 日時:2024年7月4日(木) 19:30~21:00 事例:「意思疎通の難しい子どもへの支援」(事例提供:座間市立中学校教諭) 参加者:4名 今回は、自分の意思・気持ちを言葉で伝えるのが難しい子どもの事例について考えました。これまで学校では、保護者との面談を定期的に行い、様々な会議で支援体制の充実をはかってきました。保健室でのクールダウンや、スクールカウンセラーによるソーシャルスキルトレーニングの実施。主に支援級生徒を見ている支援員についてもらったり、市の教育研究所からの職員派遣など、様々な大人がその生徒にかかわることで、生徒理解は深まってきました。 学習会の中では、対象の生徒に対して、何ができるようになったかばかりに目がいってしまうが、「周りの支援者(子どもたち)が増えたかがすべて」という発言が印象に残りました。2学年に進級し、周りの生徒の理解も深まり、そっとしておく場面や穏やかに声をかける場面が見られます。しかし、リアクションのなさや制止に応じられない状況に対し、どのように声をかければよいか分からず、子どもたちの中の迷いも見られます。 日常の生活、行事などの取り組みを通して、周りの子どもたちがどのように変化していくのか。”その子”の変化を追う視点だけでなく、集団全体の変容に視点を移して子どもの様子をみとりたいと思いました。
学校支援活動
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うれしい出来事 【エステレージャ教室 8~9月報告】 9月、エステレージャにうれしい出来事がありました。 中学生のSさんが書いた平和に関する作文が、学校代表の作文の1つに選ばれ、新聞に掲載されたのです。教室では、帰りの会でSさんに作文を披露してもらい、スタッフも作文を聞いた子どもたちもSさんの努力を讃えました。 Sさんは、小学校2年生からエステレージャに通っている子どもです。作文が苦手で、作文の宿題があると教室に持ってきて、スタッフと一緒に作文に取り組んでいました。小学校2年生の時には、「作文をどうやって書いたらいいか分からない。でも、先生が『1年生の時に教えたから教えません。』と言ったから・・・書けない。どうしよう。」と話していたことがあります。外国人の子どもにとって、作文はとてもハードルが高い学習活動で、日本語を上手に話せていても、作文が書けないことはよくあることなのに、一度教えたから教えないというのは・・・とスタッフの話題になったことが思い出されました。 Sさんの作文が、私たちスタッフに2つのことを教えてくれました。1つは、継続することが力になっていくということです。Sさんは作文を書くときには、いつもスタッフと話をしながら、自分の経験や意見、考えを話し、それを作文に書いていくということを続けてきました。作文は苦手で面倒だけれども、課題にまじめに取り組んできました。あきらめず続けていくことで、力がついてくるということをSさんの作文が教えてくれました。 もう1つは、自分の意見や考えを言葉にする力を育てることの大切さです。Sさんが平和の作文に取り組んでいた時、中学校2年生のKさんも人権作文に取り組んでいました。Sさんと同じように、スタッフはKさんの経験や考えを聞きながら進めていきました。人権という言葉を確認した後、人権が守られているあるいは侵されていると感じることはないか、それに対してどんなことを感じるか、考えているかなど、まずKさんの経験や考えを聞こうとしました。しかし、Kさんからは言葉が出てきませんでした。人権というテーマは難しいテーマで、大人でも作文を書くのが難しいので、どんな言葉でもいいから考えていること、思っていることを自分の言葉で話してほしいと思いました。しかし、Kさんから言葉が出てこなかったため、作文が書けないまま終わってしまったということがありました。この時、対応していたスタッフはKさんが自分の考えや意見を言葉にできないことを残念に思いました。Kさんも低学年から教室に通ってきている子どもで、小学生の時には不平不満も含めて学校であったことをよく話してくれていました。しかし、自分の言葉で考えや意見を表明することができなかったのです。Kさんの作文を支援している中で、事実を伝えるだけではなく、思いや考え、意見を持つこと、そしてそれを表明する言葉が持てるように支援することが必要だと感じました。 Sさんの作文は、学習を支援することはもちろん必要ですが、自分の意見や考えを持ち、それを表明する言葉が持てるような支援をすることが必要であるということも教えてくれました。Sさんの作文は、エステレージャが目指すべき課題も教えてくれました。
外国人支援・こども支援活動
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No.64追い詰められる子どもたち Ed.ベンだよりNo.64が発行されました。 今回のEd.ベンだよりのタイトルは「追い詰められる子どもたちの背景-先生は勉強だけを教えていればいい?」です。 Ed.ベンだよりNo.64ダウンロード 今の子どもたちにとって、学校とは、先生とは、どのような存在として捉えられているのでしょうか。また、教師の立場に立った時に、子どもたちにとって学校とは、先生とは、どのような場としてあるべきなのでしょうか。 現代社会の様々な歪みが、様々な形で、特に社会的弱者に集中して現れてきます。困難を抱えた子どもたちにとって多難な時代であると言えるのではないでしょうか。そうした子どもたちに、学校や学校の先生は寄り添えているでしょうか。 ぜひ今回のEd.ベン便りをお読みいただき、議論していただければと思います。 また、12月までに開催される予定の学習会等のお知らせも掲載しておりますので、ぜひご参加ください!
Ed.ベンだよりPDF
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日時:2024年7月4日(木) 19:30~21:00 事例:「意思疎通の難しい子どもへの支援」(事例提供:座間市立中学校教諭) 参加者:4名 今回は、自分の意思・気持ちを言葉で伝えるのが難しい子どもの事例について考えました。これまで学校では、保護者との面談を定期的に行い、様々な会議で支援体制の充実をはかってきました。保健室でのクールダウンや、スクールカウンセラーによるソーシャルスキルトレーニングの実施。主に支援級生徒を見ている支援員についてもらったり、市の教育研究所からの職員派遣など、様々な大人がその生徒にかかわることで、生徒理解は深まってきました。 学習会の中では、対象の生徒に対して、何ができるようになったかばかりに目がいってしまうが、「周りの支援者(子どもたち)が増えたかがすべて」という発言が印象に残りました。2学年に進級し、周りの生徒の理解も深まり、そっとしておく場面や穏やかに声をかける場面が見られます。しかし、リアクションのなさや制止に応じられない状況に対し、どのように声をかければよいか分からず、子どもたちの中の迷いも見られます。 日常の生活、行事などの取り組みを通して、周りの子どもたちがどのように変化していくのか。”その子”の変化を追う視点だけでなく、集団全体の変容に視点を移して子どもの様子をみとりたいと思いました。
2024年10月28日 インクルーシブ社会を目指す学習会 【報告】7/4学習会
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日時:2024年6月4日(火) 19:30~21:00 参加者:7名 内容:「インクルーシブ教育実践推進校から見るインクルーシブ教育のこれから」 講師:竹本 弥生氏(県立綾瀬高等学校 元校長) 今回は、竹本先生を講師に迎え、大和市シリウスの中会議室にて対面での学習会を開くことができました。 県立高校におけるインクルーシブ教育推進の経緯から現在の状況について知ることができました。現在、特別募集の志願資格では、保護者の送り迎えを認め、学校説明会への参加も必須ではなくなりました。また、県外からの入学も認められています。不本意入学の懸念はあるものの、中学生が希望の進路を選択しやすくなってきたと感じます。 さらに、綾瀬高校の「授業のユニバーサルデザイン化」や「複数の教科での学習支援」など、すべての生徒が学びやすい環境を整える工夫は校種にかかわらず必要な手立てであると、感じることができました。 知的障害を持ち、特別募集により入学をした生徒のためのカリキュラムについては、初めて聞く話ばかりで、非常に学びが多いものになりました。インターンシップの実施や、支援員とのリソースルームの活用が、生徒自身が将来や現在の学習を考える上で大きな助けになると思いました。一般募集で入学した生徒とは違う授業を受けることに抵抗を示す生徒、自己の特性理解に難しさを抱える生徒など、インクルーシブ教育推進校だからこそ生まれる生徒の困り感に寄り添うことの難しさを感じました。また、学びの場を確保するための教室環境や職員の意識など、支援体制を維持するための課題についてもお話を聞けたことがよかったです。 現状、特別募集には「知的障害のある者」という要件が残っており、障害の有無(自認)という要件が外れたとき、インクルーシブな教育の実現に一歩近づくと感じました。様々な課題を抱えながらも、インクルーシブ教育は少しずつ前進を続けていると実感ができた学習会となりました。 【参加者の感想より】 ・中学校でこれまでも3学年を担当することがありました。「特別募集で試験がないから」「手帳を持っているから」と、安易にインクルーシブ推進校を選ぶ生徒を見たことがあった。入学しやすさではなく、「その学校の魅力」や「自分の将来」を考えたうえで高校を選べる生徒に育てたい。学習会で話題にあがった、「部活動の豊富さが養護学校との違い」という言葉が印象に残りました。「障害を持っている生徒の進学先は養護学校しかない」という誤った認識を持っていた過去の自分。そして、進学先決定で悩む生徒に「学校は自分で決めていいんだ」と伝えたいと思いました。 ・高校でのインクルーシブ教育実践校の実態を知ることができてとても勉強になりました。理念を制度として実現させていくことはとても難しいことだと改めて実感する機会になりました。他方で、難しい部分が見えたことで、何を考えていけば変わるかということも考える機会になりました。 ・(中学校で)進路指導をしている中で、インクルーシブ教育推進校ということは知っていたが、実際どのようなことをしているのかまでは知らなかったので、実際の姿を知ることができて大変勉強になりました。もともとのシステムが根本的にインクルーシブにつくられているわけではないため、様々な制度利用に関する制限があるなど、非常に難しいはざまの中で高校の先生方が尽力されていることを実感しました。本日はありがとうございました。 ・本日はありがとうございました。インクルーシブ実践推進校として、生徒のニーズに応えることができるよう様々な取り組みをしていると思いますが、卒業後のフォローなど、課題もあるように感じました。 ・(教育)実習でインクルーシブ教育について少し説明を受けたが、今回の学習会で細かい仕組みや制度などを知ることができた。実際に(綾瀬高校で)授業を教えたときは、特別募集で入学した生徒かどうかは分からなかった。生徒に対してどのような支援を行っているのか、(現在中学校で)特別支援学級をみている立場となって、余計に興味がわきました。
2024年10月28日 インクルーシブ社会を目指す学習会 【報告】6/4学習会
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2024年10月28日 お薦めの書籍・文献 どうして戦争しちゃいけないの?
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【エステレージャ教室 8~9月報告】 9月、エステレージャにうれしい出来事がありました。 中学生のSさんが書いた平和に関する作文が、学校代表の作文の1つに選ばれ、新聞に掲載されたのです。教室では、帰りの会でSさんに作文を披露してもらい、スタッフも作文を聞いた子どもたちもSさんの努力を讃えました。 Sさんは、小学校2年生からエステレージャに通っている子どもです。作文が苦手で、作文の宿題があると教室に持ってきて、スタッフと一緒に作文に取り組んでいました。小学校2年生の時には、「作文をどうやって書いたらいいか分からない。でも、先生が『1年生の時に教えたから教えません。』と言ったから・・・書けない。どうしよう。」と話していたことがあります。外国人の子どもにとって、作文はとてもハードルが高い学習活動で、日本語を上手に話せていても、作文が書けないことはよくあることなのに、一度教えたから教えないというのは・・・とスタッフの話題になったことが思い出されました。 Sさんの作文が、私たちスタッフに2つのことを教えてくれました。1つは、継続することが力になっていくということです。Sさんは作文を書くときには、いつもスタッフと話をしながら、自分の経験や意見、考えを話し、それを作文に書いていくということを続けてきました。作文は苦手で面倒だけれども、課題にまじめに取り組んできました。あきらめず続けていくことで、力がついてくるということをSさんの作文が教えてくれました。 もう1つは、自分の意見や考えを言葉にする力を育てることの大切さです。Sさんが平和の作文に取り組んでいた時、中学校2年生のKさんも人権作文に取り組んでいました。Sさんと同じように、スタッフはKさんの経験や考えを聞きながら進めていきました。人権という言葉を確認した後、人権が守られているあるいは侵されていると感じることはないか、それに対してどんなことを感じるか、考えているかなど、まずKさんの経験や考えを聞こうとしました。しかし、Kさんからは言葉が出てきませんでした。人権というテーマは難しいテーマで、大人でも作文を書くのが難しいので、どんな言葉でもいいから考えていること、思っていることを自分の言葉で話してほしいと思いました。しかし、Kさんから言葉が出てこなかったため、作文が書けないまま終わってしまったということがありました。この時、対応していたスタッフはKさんが自分の考えや意見を言葉にできないことを残念に思いました。Kさんも低学年から教室に通ってきている子どもで、小学生の時には不平不満も含めて学校であったことをよく話してくれていました。しかし、自分の言葉で考えや意見を表明することができなかったのです。Kさんの作文を支援している中で、事実を伝えるだけではなく、思いや考え、意見を持つこと、そしてそれを表明する言葉が持てるように支援することが必要だと感じました。 Sさんの作文は、学習を支援することはもちろん必要ですが、自分の意見や考えを持ち、それを表明する言葉が持てるような支援をすることが必要であるということも教えてくれました。Sさんの作文は、エステレージャが目指すべき課題も教えてくれました。
2024年10月18日 子どもの居場所・学習教室 うれしい出来事
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2024年10月10日 Ed.ベン便り No.64追い詰められる子どもたち
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事例研究会は、外国にルーツを持つ子どもたちの具体的な事例を通して、かれらの背景にある事情や問題を読み解く力をつけていくというねらいで開催しています。今回は9月25日に開催した事例研究会の報告です。 【9月事例研究会】 日時:2024年9月25日(水) 19:00~21:00(オンライン)事例:「安心できる学校生活を送るための支援」 事例提供:大和市内中学校教諭参加者:4名 9月の事例研究会は、中学校の国際教室担当の先生から、来日して5か月となる中学2年生Aさんの事例を提供していただきました。Aさんは、母国で日本語の学習をしていたため少し日本語が分かる状態で来日しました。学校では、複数の先生方による日本語指導を行い、着実に日本語の力がついてきていましたが、学校生活でうまくいかないことが時間とともに出てきました。ストレスからか、腹痛や蕁麻疹といった身体的な不調や行事へ参加することの不安を訴えたり、定期テストの不安から、国際教室での取り出し指導を拒否したりといった行動が現れるようになり、1学期には友達とのトラブルも引き起こしました。学校では本人の困り感を聞き取り対応しました。Aさんは夏休みに母国へ一時帰国をして2学期を迎えました。行事への不安は抱えているものの、クラスで助けてくれる友達ができ、行事の練習に参加するようになり、Aさんには少しずつ変化が表れています。学校では、1学期に引き続き毎朝国際教室担当の先生が声掛けをしたり、通訳派遣を依頼して母語でAさんの困り感や本音を聞き出したりしています。Aさんとの話から、保護者の勉強に対する厳しさを感じることがあり、Aさんが反抗をしても父親に説き伏せられてしまうという話も出てきているという報告がありました。 報告を受けて、アドバイザーの先生から、Aさんには留学生に似た様子が感じられるというお話がありました。留学生の中には、母国の学歴社会や親の圧を逃れるために留学という道を選ぶ学生がいるが、それに似ている。日本の生活を経験して母国に一時帰国し、日本と母国を比べて違いを感じたのではないか。母国では学歴社会を生き抜いていい会社に入るという親の圧が強い中にいたが疑問を感じることもなかったが、日本の生活を経験し、これまでとは違う価値観、本人の意思を尊重するという経験に出会い、価値観の葛藤の中にいるのではないか。そして、この先、親とうまくいかなくなるということが予想される。支援者は、日本で学んだことが力になる支援を提供する、母国と日本の違いや母国とは違う考え方や価値観があることを提示する、最終的にどちらに居たいのかを自己決定できるように価値観の多様性があることを伝えることが必要である。その際、本人の問題を社会と結びつけて話すということが大事であるというアドバイスがありました。 今回の研究会では、事例を通して、アドバイザーの先生から「留学生に似た気質」というものについて教えていただきました。母国の習慣や文化と違う日本社会の中で生きている中で、外国ルーツの子どもたちは葛藤を抱えていきます。Aさんのように小学校高学年や中学生で来日した子どもたちは、その葛藤を感じやすいのではないかと思います。葛藤がどこから来るのか、そういった状況にある子どもたちに支援者がどう向き合ったらよいのかを学ぶ機会となりました。価値の多様性を伝えるという向き合い方があるということ、子どもが自己決定するための知識を提示するという支援の視点を持つことの必要性を知ることができました。外国ルーツの子どもの支援というと、日本語や教科学習の支援をすることと考えがちで、多様な価値観や自己決定する際の資源を提示するという支援者の役割を意識しないことが多いのではないかと感じます。支援の在り方を見直すきっかけとなる研究会となりました。
2024年10月09日 外国人の子ども理解の学習会 【報告】9月事例研究会
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外国人の子ども理解のための学習会活動報告 日時:8月6日(火)13:00~16:00 場所:大和市シリウス612(文化創造室)及びオンライン(Zoom)テーマ:「外国人の子どもの対話による自己形成~国際教室の実践を通して~」講師:大和市立下福田小学校 小林加奈氏、 座間市立東中学校 藤木仁美氏参加者:17 人 2023 年度は国際教室や家庭での対話が言語形成や人格形成だけでなく、記憶の結びつきに大きく関わっていることを学習した。 今年度は国際教室を担当した経験者に当時の実践経験を振り返ってもらいながら、改めて国際教室 での対話が 自己形成にどうつながっていくのか を講演してもらった。 小林氏からは、小学生の事例が挙がった。日本語とスペイン語のダブル言語である I 君の事例ではクラスの 3/4 から I 君の苦情を受ける日々はあるが、本人に話を聞くと問題行動の前には I 君自身が 100 %嫌な経験をしていたことが分かった。最初は「どうせ話したってわかんないでしょ」とネガティブだった I 君が身近な大人である担任と対話を続ける中で、突拍子もない夢や 思い付きの話が聞いてくれる他者のおかげで、夢に向けた計画を自分で軌道修正できるようになっていき、ポジティブな会話になっていった。対話によって経験が整理され、その経験が価値づけられていく。言葉を獲得していくことによって、より深く考えることができるようになる。安心できる対話相手がいることで、自分の気持ちを言葉にすることで整理ができ、自分の気持ちを分析できるようになる。よりよいものを目指す土台ができていくことで自己形成の確立へ向かっていくのではないかとまとめた。 藤木氏からは、中学生の事例が挙がった。座間市では国際教室の実践前例や市からのサポートが乏しく、振り返ると藤木氏本人も担当者として自身の在り方を模索していた。自分についてもっと知りたい中学生にとって 、 表面的な体裁だけ でなく 他愛のない会話から自分のことを語ることができる必要であり、その機会が中学校はとても少ないと振り返った。中国語を母語とする N さんは、クラスになじみたいが、場違いな発言からトラブルも多かった。もっと自分を見てほしい、友達が欲しいと国際教室ではひたすらおしゃべりをすることもしばしばあった。言いたいことがうまく伝わらない葛藤もありクラスで空回りすることも多かったが、 N さんの面白さを認めてくれる人も出始め、居場所ができていった。小3でアメリカから日本へ来た J さんは、 母は教育熱心だが、自分から交友関係を広げること が苦手で静かに過ごすことが多かった。中学 3 年の人権作文で「日本での暮らしにくさ」について語り、受賞したが、全校朝会での発表は拒んだ。堂々と発表してほしかったが安心できる環境ではなかったのだろうと当時を振り返った。特に中学校ではクラスや家庭の中では目立たないように、怒られないようにと必死で身を潜めていることも多い。「ここは自分を出してもいいんだよ、リラックスしていいんだよ」と安心できる環境が必要だとまとめた。 参加者からの感想・国際教室の担任の良さは「その生徒の話をじっくり聞いてあげられること」だ と再認識しました。聞いてみたい、知ってみたいとその生徒に興味を持つことが大切ですね。国際級の生徒のケース会議が今後あったら、かれらの保護者の文化的背景を話せる場面が作れる といいなと思いました。 ・子どもと向き合って会話を紡ぎだしている様子がうかがえてとても勉強になりました。外国ルーツの子どもたちもこんな感じの先生に出会えたら幸せだろうなと思いました。 ・国際教室での担当の経験を経て市にももっと要望を言ったり、よりよい座間市にしていきたいという思いが強まりました。もっと国際教室でこんなことできるよと勉強面だけでないと ころも生徒や保護者にも伝えていけたらよいと思いました。 ・国際教室を運営するうえでの障壁がどんなものなのか鮮烈に伝わってきました。パッケージ教育と揶揄されることもある学校教育ですが、そこから「外れた」ニーズを持つ子どもに対してどれだけの支援を、対話を通じて行えるかという問題は、看過できないものだと感じました。まだ体系化されていない教育を行う上で大切なのは自己表現などのコミュニケーションであり、発表者の 方が述べられていた「取り出されると習熟度に差が生まれて困る」といった発言のような知識詰め込み教育で授業を行っ ていると、そういった柔軟性が生まれないのかもしれないと思いました。
2024年10月05日 外国人の子ども理解の学習会 【報告】8月6日学習会
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2024年08月29日 Ed.ベン便り No.63 選択肢がない!
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6・15日時:2024年6月15日(土) 13:30~15:30 場所:シリウス607 テーマ:「子どもが戦争と平和への理解を深めるためには」 参加者:10名(うちオンライン1名) 今回は、「子どもが戦争と平和への理解を深めるためには」というテーマで、学校での平和教育の現状を振り返り、課題や改善策について、参加者のみなさんと意見を出し合いましたした。 現状では、児童・生徒の発達段階に応じて、小学校3年生から国語科や社会科、道徳、総合、学校行事などで、中学校ではこれに加えて英語などでも、平和に関する教材が扱われています。しかし、子どもたちが今の自分たちとつなげて、自ら平和を考えるところまで、十分に教えられていません。 課題としては、日本の教育では主に太平洋戦争しか教えておらず、今の子どもたちがイメージする戦争とギャップがあるのではないか、教材で扱う前に、日頃から社会問題について話す雰囲気づくりが必要なのではないか、各教科で扱う教材には、教科としての狙いが別にあるため、教科の中で平和を十分に扱おうとすると苦しいのではないか、自分の身の回りがどうあるべきか、自分の生活に戻して考えることが必要なのではないか、などの意見が出されました。 次に、小学校6年生の総合の時間に、子どもたちが戦争について調べ学習をした実践報告を聞きました。もっと戦争について知ってもらおうと、友だちに働きかけるなど、自分たちで学んだことを広げる姿が見られた一方で、歴史について教える時に、教科書には被害の部分が書かれていることが多く、加害についてどこまで触れたらよいのか、また、意識の高い一部の児童だけではなく、全ての児童が考えられるような手立てが必要だという課題も挙げられました。 学習会を通して、平和は遠いものではなく身近なもので、日常で語られるべきものだという言葉が印象に残りました。大人がまずは知ること、語ることをして、日頃からもっと子どもと一緒に平和について考えていきたいと思いました。
2024年08月16日 理論学習会 【報告】6/15学習会
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2024年08月14日 お薦めの書籍・文献 いま平和とは
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【エステレージャ教室 4~7月報告】 4月から7月まで、1学期間のエステレージャの様子を報告します。 1学期の間に、新たな子ども4名とスタッフ1名が加わりました。子どもは2組のきょうだいです。ペルー国籍の兄妹とアルゼンチン国籍の兄弟です。2組の新たな友達を迎え、教室は賑やかになりました。初めて教室に来た子どもたちは少し緊張気味の様子ですが、かれらを迎え入れる子どもたちは、休み時間に一緒に遊んだりかれらの勉強に興味を持ったりと、とてもフレンドリーに受け入れていました。新たなスタッフはガーナ出身の方で、子どもたちの英語の勉強のサポートをしてくれています。日本語を学習中のため、子どもたちのサポートをしながら、日本語の学習で分からないところがあると日本人スタッフに教えてもらいながら学習をしています。大人の学ぶ姿が、子どもたちの学びの手本になっていってくれるのではないかと思います。 子どもとスタッフの数の変化だけではなく、4月に進学・進級して変化の見られる子どもたちもいました。中学生になったSさんは、部活に入りました。部活の活動日を検討して、活動日が毎日ではない部活に入り、勉強と部活動の両立を図っています。Sさんは、保護者の送り迎えで教室に来ていたので、保護者の送り迎えができない時は教室をお休みしていましたが、6年生の途中からは「エステレージャは楽しいから来たい」と言って、一人で教室に通うようになりました。Sさんは、少しずつ行動範囲を広げている感じがします。同じく中学生になったK君は、部活動をしないという選択をして、勉強を頑張っています。難しそうで面倒な国語の課題が何回か出されて取り組んでいました。毎回投げ出さずに取り組むうちに、やり方のコツをつかんできたようで、次第に短時間で課題を終わせられるようになりました。K君からは、「継続は力」であることを感じました。 もう一人、変化の見られる子どもがいました。中学2年生になったE君です。1年生の時には、課題や宿題を出さないことが多く、学校生活全般にあまり意欲的ではありませんでした。ところが、2年生の夏休みには、7月に開催された学校のチャレンジルームに参加して宿題に取り組み、「宿題が終わらなかったから8月のチャレンジルームにも参加したい」と言い、宿題を終わらせたいという思いを持つようになりました。E君は「今まで宿題を出してこなかったから、今度は出したい。」と話していました。前向きになったE君の変化に驚きました。以前E君は「2年生の成績は受験に関係するから2年生になったら勉強する。」と言ったことがありましたが、E君は有言実行しているようでした。 嬉しい変化の見られた子どもがいる一方で、良い方向への変化を待ちながらスタッフが心配をしている子どももいます。2年生途中から体調不良を訴え、学校生活が不安定になっている中学3年生のNさんです。Nさんは教室に来ても学習には取り組みません。気持ちが安定しなければ学習には向かえない、強制しても学習内容は身に付かない、気持ちが学習に向かうようになるまではNさんがしたいことさせて見守っていこうとスタッフは考え、Nさんを見守ってきました。Nさんはスタッフからギターを習ったり手芸をしたり、本を読んだりとその時したいものを教室に持ってきて取り組んでいます。Nさんが先生になって、手芸教室を開いたときには、生き生きと友達やスタッフに教えてくれていました。スタッフや友達との会話も次第に増えてきて、子どもたちの遊びの輪に入るようになってきました。しかし、依然として勉強には興味を示しません。学校の課題を持ってくることもたまにありますが、課題を開いていても進まず、「やりたくない」感を出しています。そんなNさんですが、「8月に説明会に行く。」「A高校かB高校に行きたい。」と高校受験の話をしはじめました。高校に行きたいという気持ちが出てきていることにほっとしましたが、まだ勉強に気持ちが向かっていないNさんの希望通りになるのだろうかという心配があります。Nさんが学習に向かうのはいつになるのだろうかというもどかしさも感じますが、「Nさんが勉強したいと思ったときに対応する」という心構えで、今はNさんを見守るしかありません。
2024年08月14日 子どもの居場所・学習教室 2024年1学期の様子
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事例研究会は、外国にルーツを持つ子どもたちの具体的な事例を通して、かれらの背景にある事情や問題を読み解く力をつけていくというねらいで開催しています。今回は7月13日に開催した事例研究会の報告です。 【7月事例研究会】 日時:2024年7月13日(土) 13:30~15:30事例:「問題行動が心配される子ども」 事例提供:大和市内小学校教諭参加者:6名 保護者が日本生まれの外国籍児童として国際教室に通室した経験のある小学生A君の事例が紹介されました。家庭では母語、学校では日本語という二重言語環境にいて、日本語での日常会話はできるように見えているけれども語彙は少なく、ひらがなカタカナがかろうじて読み書きできるといった状態で、学校の授業はほとんど分からず、勉強に興味を示さない。保護者も子どもが学校の勉強が分かっていないことについて無関心である。昨年度3学期になり、少しずつ勉強に取り組めるようになり、今は国際教室での勉強に意欲的に取り組むようになってきている。しかし、学校をさぼる、大人に暴言を吐くなど様々な問題行動があり、友達はほぼいない状態で、問題のある子と位置付けられてしまっている子どもの事例でした。事例とともに、A君に対する国際教室での取り組みも紹介されました。 協議では、まずA君の保護者への対応が話題となりました。A君の祖父母の来日の経緯を考えると、生活する(お金を稼ぐ)ことができればいいということが第一であるため、日本の学校で重視される読み・書きといったことが後回しとされる。そういった環境の中で育ったA君の保護者は学校の勉強ができなくても何とかなるという経験を持っている。保護者には日本の子育ての情報がないのかもしれないので、学校が子育てのやり方を保護者と一緒に考えるということが必要であるといったことが参加者から出てきました。 次に国際教室の役割が話題となりました。A君が国際教室で母語を話す姿を見ていて、母語を話す子どもが出てきたという報告がありました。アドバイザーの先生から、マイノリティの子どもたちは将来つながることがあるので、未来を想定して今の出会いを作っておくことが大切であるというアドバイスがありました。そして、外国人=日本語通じないというレッテルを貼られるということが話題となりました。このレッテルは社会の中だけではなく学校の中にもあり、「日本語が通じないから分からないでしょ」という理解をしたり、分からないから支援や指導をしなかったりということがある、ということが話題にのぼりました。アドバイザーの先生からは、言葉を通訳するのには時間がかかる、うまくいかなくてもいいと考えるおおらかな雰囲気が学校には必要で、先生が違いを面白がってくれるといいというアドバイスがありました。 今回の研究会では、ルーツを知ることで子どもの家族の考え方を理解することにつながることや子ども同士の将来のつながりを作るという役割が国際教室にあることを再確認することができました。そして、学校や先生が外国にルーツのあること、違いのあることについて、寛容であることが必要だと感じました。今、社会全体に寛容さがなくなっていると感じます。学校が寛容な場、多様性が認められている場であることが、外国ルーツの子どもたちが居やすい、居心地のよい学校になるのだと思います。
2024年08月10日 外国人の子ども理解の学習会 【報告】7月事例研究会