11月, 2019
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11月学習会のお知らせ 講演会 『生活保護から社会保障制度を考える ~今とこれからをどう生きるか~』 講 師: 今井 伸 氏(十文字学園女子大学人間生活学部人間福祉学科教授) 日 時:2019 年11月11日(月)19:00~21:00 場 所:大和市文化創造拠点シリウス 603 号室 資料代:500円(学生無料) 予約不要 11月の学習会では、『社会保障制度』をテーマに学習会を行います。 今回は生活保護に加え、社会保障制度についてもお話いただきます。 皆さんで一緒に考えてみませんか。ぜひ、ご参加ください。 チラシもご覧ください。 11月理論研チラシ
2019年11月02日 理論学習会 11/11社会保障制度学習会
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内容 『奨学金問題からみる子ども達の学びの現状』 講師 田原 恵先生 (神奈川県弁護士会 弁護士) 日時 2019年 10月7日(月) 18:00~20:00 場所 大和文化創造拠点シリウス603号室 参加者 6名 貧困問題と教育を考える上で、奨学金をテーマに弁護士の田原先生にお話をしていただいた。 先生からお話いただいたことから明らかになったのは、いかに日本社会が子ども達に寄り添う姿勢を示していないか、学びの保障がないかということであった。「お金がないなら自力で用意して。」「返すのも自力で何とかして。借りたのは自分でしょ。」とでも言わんばかりの自己責任論の波が子ども達に覆いかぶさる。「勉強したい。」ただそれだけなのに、資源のある家庭は大型客船に乗り、資源のない家庭は丸太にしがみつかなければならない。 なぜそこまで言うのか、それは法的な立場から現状や事例を話してくださったからこそ、学びが多かった様に思う。具体的には、奨学金の返済は、平均で14年、月1.7万円である。大人の平均的な借金返済の基本ラインは5年返済、年収の3分の1を超えてはならないそうだ。月5万円の返済ならば自己破産にも当てはまる。子ども自身が奨学金を借りる時に、返済の見通しと人生設計をどれだけイメージできているだろうか。借りたお金をきちんと使うだけの能力があるのだろうか。奨学金は、本人が担保で取立ても厳しい。自覚のない「厳しい借金」であることの自覚が必要だ。日本学生支援機構の遅延損害金は10%を超えるお金を取る。「そんなに取るの?」と驚くが、これは利子とは異なるので法的にも引っかからないらしい。今や無利子を借りる方が難しいという肌感覚が学生にはあると思うが、利子つきを借りて、返済が滞ったらさらにお金が搾取される。学びを奨励するお金と書いて奨学金であるが、大変な借金と名前を変えた方が、実態が明らかになるだろう。住宅ローンの方がよっぽど安心できる借金だと、先生は言っていた。 非正規雇用が40%を超える社会で、返済義務が大変厳しい奨学金を抱え躓くことは、起き上がることができない状況になるとも言えるだろう。きちんと働ける環境が大切であり、日本の労働構造の問題についてもお話いただいた。 また、困った時は、相談窓口に相談することも大事だと教えてくださった。相談しにくいことを相談するということ自体が大きな第一歩となる、と。神奈川県弁護士会には「子ども相談」があり、3回までは無料である。有料ではあるが安い法テラスの活用や、自治体の無料相談もある。 教員の立場から、全てに踏み込むことはできなくても、少しでも長い見通しをもって、子ども達に語りかけることはできるだろう。その時に、奨学金のメリットデメリットを知識として知っているか知らないかで、かける言葉も変わってくるだろう。「関わる大人で、子どもは変わる。」と先生は最後に言ってくださった。家庭環境によって格差が生じる貧困の連鎖を、教育の現場で、さらに広げるようなことがあってはならないだろうと、強く感じた学習会であった。 参加者の感想 貸与型の奨学金は、学生自身が背負う借金であると、はっきりと説明しなければいけないと思う。中学生向けにも、奨学金の案内が来るが、まず確認するのは、それが貸与型なのか、給付型なのかである。 一方で、返金の難しさから、奨学金、ひいては進学をあきらめてしまうのであれば、それは非常に残念なことである。一概には言えないが、奨学金を受ける子どもの中には、貧困層の家庭の子もいるだろう。そこから抜け出すためにも、学力をつけることは必要なことである。なんとか給付型の奨学金が増えないものですかね。(中学校教員) 奨学金は子どもたちの学びを保障するためにあるもので、必要ならば使うと良い制度だと思っていました。ですが、子どもたちに借金を背負わせるようなもので、今の将来が見えない社会、安定した給料をもらえる職につけるかわからない世の中で、子どもたちに奨学金を勧めるのは本当に良いのだろうかと考えが変わりました。学歴を残すためにも高校や大学に行った方がいいのはわかってはいるけど、奨学金を借りて一生をかけて支払う借金を背負ってまで行った方がいい進学なのか等考えなくてはいけないと思いました。(小学校教員) 先生のお話を聞いて、「貧困家庭に生まれると裕福な家庭と同じように生きていけないのか」と思ってしまいました。でも先生の「関わる大人によって子どもは変わる」という一言から勇気をもらった気がします。貧困の問題に対しても、学校の中で教師がその役割を果たせる可能性もあるのではないかと思いました。奨学金に対して、「支援をしてくれる」というプラスのイメージしかなかったのですが、奨学金を「借金」と捉えることで、教員として、大人としての支援の在り方を改めて考えさせられるお話をきかせていただきました。本日はありがとうございました。(中学校教員) お忙しい中ありがとうございました。貴重なお話を聞けて本当に良かったです。「奨学金は借金である!」ということ、「将来的な現実的なプラン」をこちらがきちんと提示することなど改めて考えさせられました。中学校教員として私ができることは限られていますが、今日勉強したことを生かしていきます。そして私もまた奨学金返済、、、がんばります。(中学校教員) 奨学金といえば大学に行くために利用できる借金制度だと思っていたが、実際は免除、給付や中・高校にもあることを知った。借りる際どのようなリスクがあるのか、何をおさえたら良いのかを借りる前に知ることができて本当に良かったです。(大学生)
2019年11月02日 理論学習会 10月報告 「奨学金問題」