6月理事推薦本 友田明美著『子どもの脳を傷つける親たち』(NHK出版新書 2018年)
不適切な養育が子どもの脳を傷つけるということを、医学的なデータから説明している本です。児童虐待は第四の発達障害と書かれた別の書籍も以前読みましたが、ケースから示されたデータが多くて、そんなこと経験的に分かっているよと言いたかった覚えがあります。しかし、本書は、物理的に児童虐待が脳を傷つけていると言う視点に立っているので、唖然としてしまうことが何度もありました。最もデータとしては厚みに薄く、もう少しその積み上げが必要かもしれません。
ただ、家庭という閉ざされた環境の中で、磨けば光るかもしれない才能が、不適切な養育で成長を阻害されていくことは、何としても防ぎたい。相談機関に強い権限を持たせたり、相談機関の定員を増やしていくことは、重篤なケースを増やさないためには必要なことですが、それだけでは児童虐待数が減らないのは、不登校対策と似ていると思います。不登校が自己責任に押しやられ、本人の自主的な選択もあり得ると考えた瞬間から減らなくなったと私は思っているので、それと同じ道を児童虐待も進んでしまうのかと危惧しています。児童虐待を減らすためには・・・とても参考になる本です。(MM)