7月 子どもが減ってきている!?
今年度になって、教室に参加する子どもたちの数が減ってきています。これは、外国人の子どもたちが減ってきているのか、それとも国や自治体の支援体制が整ってきたからでしょうか。
その原因はともかく、子どもが来ないということは、子どもたちがこの教室を必要としてないのではないかと考えることもできます。しかし、本当は、違うようです。子どもたちは「教室に来ない」のではなく、「教室に来られない」理由があるのです。例えば「親が週7日仕事をしているため教室まで送り迎えができなくなったから」、例えば「教室に行くまでの交通費がないから」、例えば「親が夜中仕事をしているため夜遅くまでゲームをしてしまい、昼間まで寝てしまったから」、あるいは「きょうだいの面倒を見なくてはならないから」等、外国人の子どもたちそれぞれに、それぞれ抱えている事情があるようです。私たちはこのような、子どもたちの教室に来られない背景や理由を知らないと、かれらが抱える困難や問題が見えてきません。したがって、「教室に来る子どもたちが減ってきている」で終わらせるのではなく、では、どうすれば子どもたちが教室に来られるようになるか、その具体的な方法を考える必要があります。また、このことがこの教室と私たちスタッフ自身の課題でもあると感じています。
そのために、子どもたちへの呼びかけを毎週したり、教室が始まる前に家庭訪問をしたり、子どもが来るようにレクリエーションをしたりということを行い始めました。こうした取り組みがどのような結果につながるかは分かりませんが、まずは組織として考え行動していくことが大切だと考えています。「親が毎日仕事で家におらず、きょうだいの世話もしなければならず、思うように勉強も捗っていない、そんな○○くんには来てほしい」と思ったところから、教室の支援体制の方向性が決まっていくのだと考えます。
前述したように、今後の教室の方向性についても、もう一度スタッフ全員で共有することが必要だと考えています。子どもたちが教室に来て、わからない問題を解くことだけが大切ではありません。勉強に向かう前に、外国人だからこそ抱える問題があり、そこでつまずいてしまう子が多くいます。勉強をして成績が上がれば良いかもしれませんが、そうではなく、なぜ勉強ができないのか、社会的要因や家庭環境を見据えて子どもたちと関わる必要があります。学力を上げるのではなく、子どもたちが抱える問題をともに考えていくのがエステレージャ教室だと考えます。最近の子どもたちが教室に来ない課題から、エステレージャ教室が在る意味を考えながら、日々活動していきたいと改めて思いました。(T.B)