外国人の子ども理解のための学習会(事例研究会)報告
日時:2020年5月20日(水)19:00~21:00(Zoomによる)
参加人数:21名
事例提供者:今村弦太先生(大和中学校)
「事例研究会」は、外国につながる子どもたちの具体的な事例を通して、彼らの背景にある事情や問題を読み解く力をつけていこう、というねらいで開催しています。
前半は今村さんから事例発表をしていただき、その後、質疑応答と意見交換を行いました。事例生徒は「一見うまくいっているようで実はうまくいっていないのではないか。」「取り出しを拒むのは、同調圧力がかかっているせいではないか。」といった意見が出され、学級集団全体とその中での子どもの立ち位置をより深く読み取ることの重要性に気づかされました。後半は4人ずつのグループ討議を行いました。前半を受けての意見、自分が日頃疑問に思ったり悩んでいることについて、様々な意見が出されました。特に話題になったことは次の通りです。
➀外国人の子どもたちは、表面的にはうまくいっているように見えても、本当はうまくいっていないのではないか?ということを教員が見極める力をつけていかないといけない。外国人の子どもたちは、語彙力が少なく、自分の気持ちをうまく伝えることができないということを教員が理解し、彼らの話をよく聞くこと、そして時に彼らの代弁者になることが必要になってくる。
②国際教室での取り出しに行きたがらない子(必要とわかっていても)に関しては、学級内の同調圧力が強いのではという意識を持って学級を振り返ってみることも必要。取り出しを嫌がる子どもについて、学級全体に問いかけ、みんなで考え選択させるやり方も考えてみてはどうだろうか。
③日頃から子どもの気持ち、家族の事情をゆっくり細かに聞き取っていかなければならない。さらに周りの子どもたちとの関係性を丁寧に見取ることも行っていかないといけない。
今回の研究会には、たくさんの若い先生方に参加していただき、考える材料を提供できたのではないかと思います。学習会で話題になったことが子どもたちに返っていくよう、今後の学習会も参加者を募っていきたいと思います。
<参加者からの感想>
◆生徒の情報を知り、職員間で共有することの大切さと難しさを考えた時間となりました。できる限り情報を掴んで、その子のためになるようにサポートしていきたいと思いました。また、本来家庭で話し合われるようなことを、こちらがサポートしておこなうことも大切だと学びました。どう生きていくのかが見えずフラストレーションがあるということを知り、なかなかそういった困り感はわたし自身の中に無かったものなので、このような学習会で学べることがとてもありがたいです。そして、わからないことをうまく代弁できるようなサポートをしていけるようになりたいと思いました。学校再開後、勉強ばかりに走るのではなく、子どもたちの心の声を引き出しつつ、少しずつ学習もスタートしていけたらと思います。周りの先生と連携しながらできるとこをやっていこうと思います。
◆子どもの本当の気持ちを理解することが大事で、表情や態度の裏側にどんな気持ちを隠しているのかを考えてみることが必要だと改めて思いました。特に外国にルーツのある子どもは語彙が少なく、言葉でうまく気持ちを表すことが苦手で、その場をやり過ごすために「うまくいっている」と見えるように振るまっていることがあります。本当に「うまくいっている」のか、そう見えるようにふるまっているのかを見極める感性を持つことが教師には必要で、その感性を養うことが必要だと感じました。また、担任と国際担当だけが子どもの情報を共有するのではなく、子どもに関わる全教員で情報を共有することが必要ですが、それがまだ課題として残っていることを感じました。
◆グループディスカッションがあり他の学校の国際教室の役割などをたくさん聞けて勉強になりました。