エステレージャ教室は、毎週土曜日の開催を継続しております。
毎年、2月から3月のエステレージャ教室の報告は、毎年受験が中心のものになりがちです。今回は受験ではなく、学校の卒業式に関係して、教室で垣間見られた子どもたちの様子について報告します。
小学生のMさんに今日の教室で何をやりたいのか尋ねると、「卒業式のコール」、「卒業式の歌」、「社会の調べ学習」とのことでした。
Mさんは、卒業式のコールについて、日本語が上手く言えないこと、人が多いところでは緊張して大きな声が出せないことに困っていたようです。「体育館の中でも聞こえる大きな声を出したい」とのことだったので、廊下でコールの練習をしました。KさんやEくんからもアドバイスをしてもらいました。練習をする中で、Mさんには、人それぞれ声量が違うので、自分の中での100点が出せれば十分ということを伝えておきました。
卒業式の歌は、なかなか覚えられないということで、家のパソコンから曲を聞きながら練習してみてはどうかとアドバイスをしました。また、持っていた歌の歌詞は漢字が混ざっていましたので、ルビを振りました。
社会の歴史の調べ学習は、スタッフと一緒に行いました。途中、生徒のHさんに教科書の内容を通訳してもらいながら、太平洋戦争についてまとめました。Hさんやスタッフは日本語では難しいから、(母国語に当たる)スペイン語でまとめて先生に渡す方が良いのではないかと提案しましたが、日本語で書かないとダメだということで一緒に日本語でまとめました。
Mさんは終始緊張していた様子でしたが、Hさんとスペイン語で話している時は表情が柔らかくなっていることに気が付きました。律儀で頑張り屋で、わかるまで粘り強く勉強するMさん。学校で頑張り過ぎている分、エステレージャがガス抜きできる場所になればと思いました。
日本人には当たり前の日本語のコール、日本語の歌、日本語による宿題、そのすべてが日本語の習得が不十分な子どもたちにとっては大きな壁になり、プレッシャーになります。だからすべてを母国語でOKに、ということではなく、子どもたちが感じている言葉の壁やそれを乗り越えるための努力を、少しでも理解し、そっと手助けができる意識が大事ではないかと考えています。(BT)