見波利幸『心が折れる職場』(日経プレミアシリーズ 2016)
パワハラ、過重労働などによりメンタル不調になり休職してしまうような「心が折れる職場」とは何なのか、メンタル不調になる本当の理由について、実例をあげながら解説されている著本である。
構成は以下の通りとなっている。
第1章 飲み会が少ない職場は危ない
第2章「アドバイス上手」な上司が部下の心を折る
第3章 なぜ運動部を経験してないと、心が折れやすいのか
第4章 90分のメンタルヘルス研修で、不調者が増える理由
第5章 心が折れない職場とは?
本書では、長時間労働だからメンタル不調の原因となるというわけではない、仕事に対する適切な=当該社員に寄り添ったアドバイスができていないこと、仕事の目的/意義を話せていて、成長を促すようなモチベーションをあげられていないこと、雑談を適宜行える関係を構築し、叱責ではなく指導ができてないことなど、職場の雰囲気・上司の振る舞いがもっとも起因していると問題定義している。
人をただの”労力”、”労働者”と扱いトップダウンでやる「ブラック企業」の内部を紐解き、どのように改善できるのかの施策も提示している。
メンタル不調の加害者・被害者どちらにもなり得る昨今の労働事情では一度このような内容を”当事者”として理解し、被害者にも加害者にもならないよう(改善する方向で)いけるようにしていきたい。また、周りの働く人の状況を聞くことがあった際にこの「心が折れる職場」の要素がないのかをぜひ照らしわせながら聞けるとよいかと思う。