3月卒業お祝い会&お別れ会

卒業お祝い会&お別れ会

 Ed.ベンチャーが厚木保健福祉事務所から委託を受けてFriends☆Star教室を開始したのは、2016年のことでした。それから3年が経過しました。大和市を活動の本拠とするEd.ベンチャーにとって、Friends☆Star教室における活動は、学ぶところも多く、スタッフが成長する上でも貴重な機会となりました。もちろん何よりも子どもたちが大きく変わっていってくれたことがこの活動を続ける上での喜びでした。
 ただいくつかの懸念事項もありました。それは私たちスタッフがすべて子どもたちと同じ地域で生活していない、ということです。
 Friends☆Star教室に通う子どもたちはすべて愛川町で生活しています。今後かれらがどこで生活するのかは分かりませんが、それでもここ数年間は同じ地域に生活の拠点を置くのではないかと考えます。さらに、一時的にどこか離れた場所で生活するとしても、将来的には思春期を送ったこの地に戻ってくる可能性が高いのではないでしょうか。
 そうしたことを考えたとき、かれらの居場所となるような「教室」は、やはりかれらと同じ地域で生活を共にする地元の方々によって営まれた方がよいのではないかと考えるようになったのです。その方がかれらの困りごとや悩みに寄り添うことができ、学校などとの連携もとりやすくなるのではないかと考えたのです。
 私たちは厚木保健事務所の方々とも協議を重ね、地元で教室を引き受けてくださる団体を探し、そして3月いっぱいでFriends☆Star教室を一旦終了させることとしました。4月からは地元の団体が新たな教室を立ち上げ、子どもたちの学習支援に当たってくださることになったのです。
 このことを子どもたちにも伝えました。「どうしてやめちゃうの?」「ぼくたちを見捨てるの?」そんな言葉が子どもたちの間から聞こえてきます。それでも、教室は終わるが、みんなとの関係が終わりになるわけではないこと、助けが必要なときは連絡をくれれば必ず会いに来ることを話し、新しい教室も開かれるのだからそちらに行くように繰り返し説得をしました。子どもたちの何人かはとても落胆した様子でしたが、最終的にはなんとか気持ちの整理をつけてくれた様子でした。

3月の教室はかなりまったりとした雰囲気になることが多かったです

3月に修学旅行に行った中学3年生を囲んで旅行での出来事を聞いています

 そして3月21日、子どもたちの卒業お祝い会とお別れ会を開催する運びとなりました。みんなで集まって料理を作り、昼食を一緒に食べ、これまでの教室を振り返るのです。
 当日は11時に集合の約束でしたが、欠席者は2名だけで、他の子どもたちは時間どおりに集合しました。教室のメンバーで一緒に料理をするのは3度目になります。毎回思うことですが、子どもたちは普段勉強するときよりもずっと落ち着いていて、与えられた役割をテキパキと、しかも和気あいあいとこなしていきます。肉じゃが、豚汁、パスタ、生姜焼き、焼きそばと、かなりしっかりしたメニューを予定の時間通りに作り上げることができたのです。このこと自体が、3年間の子どもたちの成長を示しているように思えます。特に部屋の中に漂う雰囲気の柔らかなこと。子どもたちの誰もが誰をも排除せず、それぞれの存在を認め合っている様子がとても居心地のよい雰囲気を作っています。
 もう一つ印象的だったのは、すべてを終えていよいよ「さようなら」を告げるときのことでした。あれほど教室を終えてしまうことを嫌がっていた子どもたちだったのに、別れ際は実にあっさりと「さようなら」と明るく言い放ち、それぞれの家路についたのです。きっとそれぞれの子どもたちは、今日のイベントに満足し、そして教室が終わることについて気持ちの整理とそれぞれの今後の見通しが立っていたのではないかと考えます。
 Friends☆Star教室は一旦その役割を終えますが、私たちは教室に通っていた子どもたちのFriends☆Starとして、かれらの成長を別の視点から見守り続けていたいと考えています。(TH)

お祝い会&お別れ会ではみんなで作った食事を一緒に食べました