4月「全部助けろ!」

「全部助けろ!」

 3月21日、卒業のお祝いとお別れの会を開いて、支援はひと段落したものの、後を引き継ぐ団体の都合により、教室の開催が5月の連休明けになるとのことで、ひと月のブランク(?)が心配になりました。なにせ4月は子どもたちにとっては進学と進級の季節です。昨年のことですが、4月の初めの教室が中学校の入学式の二日前だったにもかかわらず、「まだ制服は持ってないよ。半分しかお金払ってないから、あとの半分を入学式の日の朝に払って制服をもらうことになっているの。」とあっけらかんと語る子どもたちに随分とびっくりしたことを思い出しました。新しい学校や新しいクラスになって、子どもたちは上手に新しい生活や人間関係に入っていけるでしょうか?そんな心配から、5月からの新教室に引き継ぐまでの「おまけの教室」を開催することにしました。4月3日、10日、17日の3回の開催でした。
 子どもたちはいつものように「やわらかく」参加してくれました。いや、学校が始まってからはいつもより「聞いてほしいこと」があるような表情で大人を見てきます。学校が始まり、進級や進学で新しい環境がそれぞれ結構新鮮なようで、今のところどの子もうまくいっているようです。
 しかし、もうさっそく壁にぶつかっている子どももいました。それは高校生。希望の高校にめでたく入学できたけれど、新入生ともなるといろいろ提出しなければいけない書類も煩雑。母親は日本語が読めない。入学した本人も、これが何の書類でどこに何を書けばいいのかよくわからない。スタッフの一人につきっきりで丁寧に教えてもらい、やっとめどが立ちました。困った顔だった本人も、やっと笑顔が戻りました。そういえば、入学前の3月にも、合格後の手続きについて、時間をかけて教えてもらっていた姿を思い出しました。このことだけでも、4月の「おまけ教室」をやった意味があったと思いました。そして、そんな支援の様子を見ていて、私たちが行う「支援」とはいったい何を目指すべきものなのか、考えさせられました。「おまけの教室」が終わるといよいよ子どもたちともお別れだという、名残惜しい気持ちがあったからかもしれません。
 子どもたちへの支援は、「学習」をメインとして行われることが一般的であるように思われます。それは、「学校で学習に少しでもついていける」ことを目標にしますし、支援対象が中学生の場合、「進学対策」も視野に入れることになります。この愛川町での子ども支援も「学習」を中心として、居場所づくりや体験活動が行われました。県からの依頼も「貧困家庭の子どもたちの学習支援」が主の依頼内容でした。その意味では、私たち「Ed、ベンチャー」も様々な実績と経験を積み、期待に応えられるだけの力があると自負しています。しかし、愛川町の子どもたちと付き合っていると、子どもたちが求めているものは、学習だけではないし、生活上の支援だけでもない、・・・なんかうまく言葉にならないのですが、あえていえば、「ぜんぶ助けろ!!」と言われているような気がするのです。本当は弱気だし、自信もないし、どうしていいかわからないことだらけで、強い口調では言えないけれど、それでもこの大人たちにははっきりとぶつけてみたい・・・「ぜんぶ助けろ!!」と。
 そんな大人として「選んでくれた」ことに、スタッフー同、こころから感謝とありがたさを感じています。愛川町の子どもたちの成長を離れたところから祈りたいと思います。

p.s.1 5月からの新団体の教室に、みんなしっかり通って勉強しているとのこと!
p.s.2 たまに意味もなく着信があります。まだ覚えてくれているんだなと思っています。