保証人支援の経過と成果

保証人支援の経過と成果

 Nは高校入学の際にEd.ベンチャーのメンバーが保証人となり、①社協の高校支度金、②県の奨学金の2種類の借入を行った。2014年3月に学校を終え返済が始まったが、就職はせずアルバイトと趣味で過ごすという非常に不安定な生活が続き、返済が滞るようになった。そこで2015年から保証人事業で月1回の面談を設定し、返済・生活状況の確認とアドバイスを行うようにした。生活が落ち着いてきた2016年からは、1月と7月の年2回報告会を開き、返済・生活状況を確認してきた。その結果①は2017年3月に返済が終了し、②は2019年10月現在で1/3の返済が終わっている。現在も毎月返済しているが滞納はない。保証人事業の終了に伴い、2019年から報告会は教育相談が引き継いでいるが、10月の報告会ではしっかりとした話しぶりで成長が感じ取れた。アルバイトだが2年半同じ職場で働くことで生活のリズムができ、仕事にも慣れて自信がついてきたことが、表情から窺い知れた。今後も年1回の報告会を続けると共に、必要があれば適宜面談も行う予定である。   
 社会人となった当初は、働くイメージがなく漠然とした夢を描くだけで、自立した生活を真剣に考えることはできなかった。しかし、定期的な面談や報告会の中で、多くの大人から生活費のやりくりの仕方、保険・年金・税金といった社会生活上必要な知識、日本で外国人が働く際の厳しい現実等について話をされ、様々な助言を受けたことで、ゆっくりではあるが日本社会で働いて生きていくために今後どうしたらいいかを自分自身で考え始めている。外国人の若者が学校卒業後に日本社会で働いて生きていくには、わからないことが多く、行きづらさが増すであろうと想像される。ある程度生活が軌道に乗るまで、Ed.ベンチャーが相談役として必要に応じて関わることは、大いに意義があることと思う。

2019年秋