進路選択
何回か振りに教室にやってきた中学3年生のH君が、高校受験の際に提出する面接シートを持参してきました。志望校の決定はもう少し先だと思うので、今回はその準備に宿題として記入してくるよう、学校で言われたようです。
面接シートには、どうしてこの高校を志願したのか、中学校ではどのような生活を送ってきたのか、高校入学後は何を目標にどのような生活を送るつもりなのかといったことを合計400字程度の日本語で書くことが求められています。H君は面接シートを目の前に何を書けばいいのか固まってしまいました。私たちはそんなH君に対して自分の将来像を言葉に出してもらうことから始め、それらを文字として書き留めてもらうことにしました。とても時間のかかる作業ですがこうした時間がH君にとっては自分自身の将来を見つめる貴重な時間であるはずだと考えています。
日本人の子ども以上に、外国人の子どもたちにとって高校進学はその後の生活を左右する重要な分岐点となります。しかし、将来自分がどのような仕事に就きたいのか、どのような生活を送りたいのか具体的なイメージを描きづらい場合、進学先としてどの高校を選択すればよいのかといったことも非常に難しくなります。特に外国人の子どもにとっては、中学3年生になってから進路を考え始めるのでは手遅れなのではないかと私たちは思うようになりました。そして中学1年生あるいは小学校高学年の段階から、外国人としての自分が日本社会の中でどのように生き抜いていくかということを問い掛けていく必要があると痛感しています。