6月 学校のお便り
学校では多くのお便りが配られます。学年(学校)だより、保健関係のお便り、家庭訪問のお便り、保護者会のお便り、集金のお便り等学校生活に関するお便りのほか、地域の行事などに関するお便り等、お便りが配られない週はないといってもいいほど数多くのお便りを子どもは家に持ち帰ります。日本の学校のお便りの多さを「お便り攻撃」と表現する大学の先生もいるほどです。
外国人の保護者の人にとって、これらのお便りを一つひとつ読むことはとても大変なことです。時候の挨拶から始まるお便りの言葉は、普段の生活で使い慣れている日本語とは違い、形式ばった難しい文体で書かれていて、内容を読みとるのが難しいからです。学校によってはひらがなでルビがふってあることもありますが、それでも内容を理解するのは難しいというのが実際です。
エステレージャに子どもを送って来るお母さんの中に、よく学校のお便りを持ってきて確認していくお母さんがいます。エステレージャのスタッフがお便りを見て、お母さんが知っていなくては困ることがどれ(何)なのか確認をして必要なことだけを伝えています。お母さんは、お知らせの内容が分かると安心した表情になります。たくさんの日本語が書かれているからきっと大切なことが書かれているのだろう、でも何が書かれているのか分からないから自分が何をしたらいいのか分からない。自分が分からないと子どもが学校で困るのではないか・・・そんな不安でいっぱいになってお便りを持ってくるのだと思います。
学校のお便りが外国人の保護者に分かりやすくなるよう工夫している学校や先生もいます。東京都港区立六本木中学校では、お知らせをやさしい日本語で作り始めた。やさしい日本語で書いたお知らせは外国人の保護者たちに好評で、日本人の保護者からは苦情のたぐいが今のところきてはいないという新聞記事がありました。小学校の先生をしているスタッフは、外国人の子どもにお便りを渡す時には必要なお便りだけを、内容を子どもと確認して渡しているというそうです。
外国人の子どもを担任する先生方が、外国人家庭の困り感を理解して対応することが、外国人の保護者にとっては大きな助けとなり、不安を解消してくれることになります。学校全体で、保護者への支援として何をすべきかを考えていくことが求められていると思います。(SH)