2024年1学期の様子

【エステレージャ教室 4~7月報告】

 4月から7月まで、1学期間のエステレージャの様子を報告します。

 1学期の間に、新たな子ども4名とスタッフ1名が加わりました。子どもは2組のきょうだいです。ペルー国籍の兄妹とアルゼンチン国籍の兄弟です。2組の新たな友達を迎え、教室は賑やかになりました。初めて教室に来た子どもたちは少し緊張気味の様子ですが、かれらを迎え入れる子どもたちは、休み時間に一緒に遊んだりかれらの勉強に興味を持ったりと、とてもフレンドリーに受け入れていました。新たなスタッフはガーナ出身の方で、子どもたちの英語の勉強のサポートをしてくれています。日本語を学習中のため、子どもたちのサポートをしながら、日本語の学習で分からないところがあると日本人スタッフに教えてもらいながら学習をしています。大人の学ぶ姿が、子どもたちの学びの手本になっていってくれるのではないかと思います。

 子どもとスタッフの数の変化だけではなく、4月に進学・進級して変化の見られる子どもたちもいました。中学生になったSさんは、部活に入りました。部活の活動日を検討して、活動日が毎日ではない部活に入り、勉強と部活動の両立を図っています。Sさんは、保護者の送り迎えで教室に来ていたので、保護者の送り迎えができない時は教室をお休みしていましたが、6年生の途中からは「エステレージャは楽しいから来たい」と言って、一人で教室に通うようになりました。Sさんは、少しずつ行動範囲を広げている感じがします。同じく中学生になったK君は、部活動をしないという選択をして、勉強を頑張っています。難しそうで面倒な国語の課題が何回か出されて取り組んでいました。毎回投げ出さずに取り組むうちに、やり方のコツをつかんできたようで、次第に短時間で課題を終わせられるようになりました。K君からは、「継続は力」であることを感じました。

 もう一人、変化の見られる子どもがいました。中学2年生になったE君です。1年生の時には、課題や宿題を出さないことが多く、学校生活全般にあまり意欲的ではありませんでした。ところが、2年生の夏休みには、7月に開催された学校のチャレンジルームに参加して宿題に取り組み、「宿題が終わらなかったから8月のチャレンジルームにも参加したい」と言い、宿題を終わらせたいという思いを持つようになりました。E君は「今まで宿題を出してこなかったから、今度は出したい。」と話していました。前向きになったE君の変化に驚きました。以前E君は「2年生の成績は受験に関係するから2年生になったら勉強する。」と言ったことがありましたが、E君は有言実行しているようでした。

 嬉しい変化の見られた子どもがいる一方で、良い方向への変化を待ちながらスタッフが心配をしている子どももいます。2年生途中から体調不良を訴え、学校生活が不安定になっている中学3年生のNさんです。Nさんは教室に来ても学習には取り組みません。気持ちが安定しなければ学習には向かえない、強制しても学習内容は身に付かない、気持ちが学習に向かうようになるまではNさんがしたいことさせて見守っていこうとスタッフは考え、Nさんを見守ってきました。Nさんはスタッフからギターを習ったり手芸をしたり、本を読んだりとその時したいものを教室に持ってきて取り組んでいます。Nさんが先生になって、手芸教室を開いたときには、生き生きと友達やスタッフに教えてくれていました。スタッフや友達との会話も次第に増えてきて、子どもたちの遊びの輪に入るようになってきました。しかし、依然として勉強には興味を示しません。学校の課題を持ってくることもたまにありますが、課題を開いていても進まず、「やりたくない」感を出しています。そんなNさんですが、「8月に説明会に行く。」「A高校かB高校に行きたい。」と高校受験の話をしはじめました。高校に行きたいという気持ちが出てきていることにほっとしましたが、まだ勉強に気持ちが向かっていないNさんの希望通りになるのだろうかという心配があります。Nさんが学習に向かうのはいつになるのだろうかというもどかしさも感じますが、「Nさんが勉強したいと思ったときに対応する」という心構えで、今はNさんを見守るしかありません。