【報告】10/28事例研究会

外国人の子ども理解のための学習会(事例研究会)報告

日時: 2020 年10月28日(水)19:00~21:00(オンライン)
参加者:10名
事例提供: 引地台中学校 池田 喬先生

 事例研究会は、外国にルーツを持つ子どもたちの具体的な事例を通して、彼らの背景にある事情や問題を読み解く力をつけていくというねらいで開催しています。
 今回は池田先生より、母語が母親はタガログ語、子どもは日本語という親子の事例の報告がありました。入学時の確認では母親は英語での対応を希望していたが、面談を繰り返す中で母親への対応は英語よりもタガログ語のほうが理解しやすいことを学校が気付いたこと、母親の言語状況も把握していったこと、さらに親子の母語が異なるために親子間でのコミュニケーションがうまくいっていないという事例が報告されました。そして、今後の親子間をつなぐ手立ては何か、家庭環境を把握するための学校の体制や教員の立ち入る姿勢はどうあるべきか、日本の高校受験制度を経験していない親を持つ子どもへの進路指導はどうすべきかといった3つの課題が提供されました。
 協議の中では、子どもの声を聞く場所を学校体制の中で作る必要があること、子どもが立ち寄りリラックスする空間として国際教室の存在が必要であるということが話題として挙がりました。そして子どもの声を聞く時間を作り出した他校の例も紹介されました。さらに、アドバイザーの先生からは、子どもが親の言語を拒否することがあり、両親の権力関係が影響をする。両親が国際結婚のフィリピンの子どもの場合は、母を毛嫌いして自分は日本人とする場合と、葛藤の末に日本は嫌、フィリピンがいいとする場合の二極化になることが特徴的であるということ、外国にルーツを持つ子どもたちには「問う」ことが必要であること。「問う」ことは日本人の子どもにも必要であるというお話を伺いました。また、進路指導については、早めに将来の話をして取り出し指導の際に話をする、保護者には2年の終わりから大まかな話をしていくといった事例の紹介があり、子どもの「どうしたい」を聞いていくことが必要だという
ことが話題として挙がりました。新たな情報として、アースプラザに外国人相談室という母語で相談できる場所があるとの紹介もありました。

【参加者の感想】
◆改めて「子どもに問いかけること」「一緒に考える事」の重要性を感じました。ついつい答えを提示しがちで、腰を据えて子どもたちに向かい合うことを意識しないといけないと思いました。このことは外国人の子どもに限らず、すべての子どもたちに当てはまることだと思います。また、国際教室に固執せず、外国人の子どもたちがふらっと入って語り合える場が学校の中につくられることが大事だということも痛感しました。できることを考え工夫して実行していくことで、学校内の空気が変わっていくと信じて動くしかないなと思います。また、「家庭での教育力がない子どもを学校で面倒を見ること」が当たり前だった学校が、現在は「家庭に介入しすぎない」という言葉に押さえられ、特に若い教員の意識が学校内だけにとどまってしまいがちだと感じています。経験のある教員がやるべきことをしっかりと伝えていく必要があると思います。この学習会のような話が学校内で頻繁に語られることを願います。そのためには、この学習会への教員の参加をもっと促していかないといけないと感じました。今回は参加した方から県内の外国人支援団体の情報を提供していただき参考になりました。

◆外国人の子どもにとって進路の問題は大きなど問題だということを改めて実感しました。母子ともに日本の受験システムを理解しているなら問題は無いかと思いますが、むしろ理解している方がごくひと握りだと思います。『学校がそこまでする必要はあるか?』と思ってしまうかもしれませんが、日本で生活するのであればやはり進学するための支援を学校は行うべきなんだと思いました。今回は、大和市内の先生方を中心としたお話だと思いますが、同じ問題を抱えている子供たちは全国にいると思います。校種関係なく全国全ての教員がこの問題を早急に認識して、組織的に対応していくことが必要なんだろうなと思いました。

◆難しい問題…と思いながら、先生方のお話や意見を聞きながら、ずっと頷いてばかりいました。
その中でも、「問うこと」を、私は実践し始めています。何に困っているのか?必要なことはなにか?どうしたいのか?など、問うことを始めました。
現在、女性学年職員が3名のため、女子生徒が私の元に来ることが多く、昼休みや放課後を、使って面談することがここ最近は、より多くなってきました。そこで、その子が何を求めているのか?解決なのか、たまに話をすることで解消されるのか、問うことによって判断できました。まだまだ不足していることが、多いので、生徒のためにできることは何か?自分でも考えていきたいと思っています。

◆短い時間となってしまいましたが、とても有意義な時間でした。進路に向けての準備についてなど、今後に生かしていきたいと思います。