【報告】11~2月事例研究会

事例研究会は、外国にルーツを持つ子どもたちの具体的な事例を通して、彼らの背景にある事情や問題を読み解く力をつけていくというねらいで開催しています。今回は11月、1月、2月に開催した研究会をまとめて報告をします。

2020 年11月21日(土)13:30~15:30 (オンライン開催) 

参加者13名 事例提供:大野原小学校 宇津 彩加先生 「来日1年経過しても母語中心に話す児童の事例」

 日本語で話しかけられても母語で応対する、国際教室では離席や母語で独り言や奇声をあげ落ち着かない、教室では友達とかかわりがない様子を見せる児童について、国際教室とクラスで支援の仕方を変えることで、児童が次第に落ち着いてきて学習への意欲を持ち始め、クラスの友達とかかわりを持てるようになったという事例が報告されました。協議では、国際教室とクラスで児童への対応が変わったことで、児童に安心感が生まれ「大事にされている」と実感するようになったのが変化につながったのではないか、「今ここに存在していいのだ」という実感を持ち、共同体に参加する意欲があるときに学習に向かうということが共有されました。

2021年1月27日(水)19:00~21:00 (オンライン開催) 参加者11名

事例提供:南林間中学校 鈴木 芳延先生 「家庭への支援が必要な生徒の事例」

 家庭への支援も必要な生徒に対して、Ed.ベンチャーと連携をして、家庭の状況を把握しながら生徒の進路先の選択や生活習慣の改善をしていった事例が報告されました。協議では、支援が必要だという認識は教員によって差があること、丁寧な対応をしたいと思うとジレンマが生じること、教員が子ども本人がやりたいけれども出来ないことをどう支援するかが大切であること、そして本人の意思を尊重して子どもが分からないことを一緒に考えていく姿勢を持つことが大事であるということが共有されました。

2021年2月13日(土)13:30~15:30 (オンライン開催) 参加14名

事例提供:草柳小学校 松田 知也先生 「日本語があまり上達しない児童の事例」

 日本語の上達が遅い児童に対して、国際教室で子どものペースに合わせてゆっくりと支援をし、保護者ともかかわりを持ちながら対応をしてきた結果、児童に少しずつ変化が現れるようになったという事例が報告されました。協議では、周りの大人がレッテルを張っていく傾向があるが周りの大人の見方で児童を振り回すのではなく子どもが安心できるように関わっていくことが必要であること、2つの言語環境の中にいる子どもにはどう思っているのか子どもの言葉で語らせることが必要であること、学校のペースについてくることではなく長い人生の中でベースとなるものを身に付けていくことが大切であるという考えを教員が持って対応することが必要であるということが共有されました。

 3回の研究会では、外国にルーツを持つ子どもたちの教育に様々な立場で関わる方々の参加がありました。今後も、立場の異なる多くの方々と共に学習を進めていきたいと思います。(SH)