【報告】3月事例研究会

 事例研究会は、外国にルーツを持つ子どもたちの具体的な事例を通して、彼らの背景にある事情や問題を読み解く力をつけていくというねらいで開催しています。

日時:2022年3月30日

事例提供:「希少言語を母語とする児童」  やまとプレクラス 近藤 菜穂子先生

参加者:11名

 近藤先生からは、希少言語を母語とする小学校1年生の児童の事例について次のような内容が報告されました。児童は、入学前の夏に来日し、入学までを在宅で過ごして日本の小学校に入学したという経緯を持つ小学生。入学後日本語ができないので教室をウロウロしたり、机の下に隠れたり、教室から飛び出してしまったりしていた。友達との意思疎通ができず、一緒に遊びたがらないという様子が5月には見られた。6月からプレクラスに通室し、サバイバル日本語を習得後は、学校でクラスと国際教室での学習を続けた。担任の先生は児童を気に掛ける様子が出てきたが、国際教室の先生と児童の関係は良好とはいえず、授業態度の悪さが指摘されることがあった。保護者がお願いの手紙を国際の先生に書いたこともあった。国際教室の先生がお休みになり、国際教室が開かれない状態が続き、児童への支援はプレクラスの巡回指導と日本語指導員による日本語指導のみという体制になった。加えて3学期にはコロナ不安を理由に児童の登校は週3回になった。学校の受け入れ体制として必要なこと、このような児童を国際教室でどのように受け入れたらいいか、保護者との関係作りや担任の先生の理解をどのように促していったらよいのか。

 協議の中では次のようなことが話題となりました。

・教師が子どもの興味関心を引き出すことが必要で、そのためには教師には想像力が必要である。

・担任の先生一人が抱え込んで悩むのではなく、担任を助けるシステムを構築していくことが必要である。

・保障されない外国人支援の制度があり、どうにもならない中で何ができるのか、体制に対する対応を考える必要がある。それは、学校文化の改変でもある。いろいろな立場の人が集まって、みんなで考える機会を持つことが必要である。

 今回の学習会は、外国人への支援は、担任や国際教室担当だけではなく、学校全体で考え実践していくことが必要であるということを改めて確認した学習会となりました。