事例研究会は、外国にルーツを持つ子どもたちの具体的な事例を通して、彼らの背景にある事情や問題を読み解く力をつけていくというねらいで開催しています。
日時:2022年5月24日
事例:「保護者との連携が難しい子ども」
参加者:6名
今回の研究会では、中学校の先生から、友達が多く楽しく学校生活を送っているが、学習面や家庭生活での心配がある生徒の事例が報告されました。
協議では、勉強が分からないという当該生徒に学校はどのような手立てをしているのかということから、学校や国際教室の支援体制について話題が広がりました。アドバイザーの先生からは、国際教室のありようは、自治体や学校によって異なっていて、学校文化の違いによるところが大きく、一般論では語れないというお話がありました。さらに、当該生徒の親への不満についても話題になり、親への不満として話すことは学校への不満ということもあるかもしれない、保護者と連携が取りづらいのは、外国人の保護者自身が日本の学校で不適応を経験している可能性があるのではないかという見方も紹介されました。さらに、今後学校に来なくなることがあったとき、「さぼっている」という見方を学校がしないだろうか、生徒が学校に来てから支援が始まるという姿勢にならないといいがという心配も出されました。そして、アドバイザーの先生からは、違いを生かすのではなく、コントロールして、統制して違いをなくすことが学校文化となっているが、違いを尊重する学校文化を作り上げていかなければならないとアドバイスをいただきました。
今回の研究会は、国際教室のあり方や学校文化について改めて考える機会となりました。そして、親世代の不適応が子世代の不適応へと負の連鎖をしていくことに気づくことができ、その連鎖を断ち切る役目を学校が担っているということを痛感しました。