内容:「特別支援教育に関する相談会」
日時:2019年5月16日(木) 19時~21時
場所:大和市文化創造拠点シリウス 610会議室
講師:特別支援学校 地域支援担当教諭 木村 訓子氏
社会福祉法人大和しらかし会 児童発達支援事業どんぐり 蓮見 麻衣子氏
今回は、特別支援学校より地域支援担当教諭の木村訓子氏と社会福祉法人大和しらかし会・児童発達支援事業どんぐりより蓮見麻衣子氏をアドバイザーとして講師にお招きし、参加者の特別支援教育に関しての悩みについて、アットホームな雰囲気の座談会形式で相談会を行った。本報告では、中心となった相談について報告することにしたい。
「自閉症児の性の悩みについて」
担当している自閉症児の体の性と心の性の認知の違いによるパニック、その対応について相談がなされた。ジェンダーの問題、LGBTへの社会の認知は広がってきているが、未だ「男らしさ・女らしさ」、社会が決めた「普通」の枠組みからはみ出す者は排除されることが多い。今回の事例では、「自閉症」という特性をがある中で、自分の性や嗜好と周りの環境の反応に悩む児童について、どのように対応していくべきか意見を出し合った。
参加者からは、障害者支援施設の方には二次性徴の体の変化を受け入れず、陰毛を抜いてしまう方もいるという話やアスペルガー症候群の方ひらひらしたものや可愛い物に対する憧れから「男性」が「女性」になりたいという願望を持つことをよく聞くという話も出た。
本事例では、名簿の性別欄では「男女」のどちらも選ぶことができず困ってしまったり、地域のイベントでもらえる景品が「男子は青、女子はピンク」と決められており、社会では「男」となっている本児は「青」をもらうことになるのだが、「ピンク」が欲しい本児は「男」となっている自分は「ピンク」はもらえないということで激しくパニックを起こしてしまったりした。社会の枠組み自体が変わるべきところもあるが、残念ながら、すぐには変わらない現実もある。
そこで、講師の蓮見氏より
① 支援者が本人自身の個性をありのままを受け止め、理解者となること
② 自閉症の特性上、明確であることで安定するため、「手続きの仕方(困った状態の解決方法)を教えてあげる」必要があること
との助言いただいた。また、講師の木村氏からは、特別支援学校では性的な興味による問題はあるものの、男女の区別は薄く、その人個人として付き合っているとの話を伺った。「男女」という枠組みにとらわれず、一人ひとりを「個性ある人間」として受け入れ付き合う環境では本児のような悩みは生まれないのかもしれない。障害者も性的マイノリティーも「社会が決めた普通」には当てはまらないだけである。「差別」は私たち社会が作るもの。社会の一員として、一人の人間として、あるがままを受け入れ付き合っていける社会づくりをしていく必要があると感じた。
他にも、「チーム支援について」の相談もなされた。特別支援は、大抵複数人のチームで支援が行われる。それ故に、情報や対応の仕方の共有は重要である。関わる人数が増えれば増えるほど、共有や連携は取りづらくなるものだ。蓮見氏からは、支援者も一人ひとりバラバラの個性がある人間であるという基本的な認識の上で、一人ひとりの様々な面を見て協働しているという。また、日頃から学習会に参加し、共通した知識を生かして日頃の支援にあたるようにしているという話をいただいた。また、木村氏からは、地域によって学校の支援体制や仕組みが違うという話をいただいた。ある市では管理職も支援学級の児童の保護者と面談をし、より主体的に管理職が支援学級に関わる仕組みがあるそうだ。チームの人数の多さは難しさもあるが、真剣に関わる人が多ければ、児童を支える土台は強固になり、安定した支援も行える。どうしても支援学級の児童を支援学級のみで抱えてしまうことが多いが、校内や校外、周りをどう巻き込んでいくか、まだまだ自分がやらねばならないこと、できることがあると感じた。