インクルーシブな社会を目指す学習会報告
日時:2020年5月27日(水)19:00~21:00(Zoomによる)
参加人数:4名
参考文献:横田 弘 著『障害者殺しの思想(増補新装版)』現代書館
横塚晃一 著『『母よ!殺すな』生活書院
立岩真也 著『『青い芝 横塚晃一 横田弘:1970年へ/から』Kyoto Books
今回、インクルーシブな社会を目指すための学習会では、「障がいを取り巻く社会の歴史を知る」~「青い芝」の運動に学ぶ~と題して学習会を行いました。
「青い芝の会」とは、1957年に東京在住の3人の脳性マヒ者によって結成された、脳性マヒ者の当事者団体です。1970年代に入り、「重症児殺しに対しての告発運動」や「優生保護法改定の反対運動」といった、社会に対する差別告発運動を展開しました。
前半は、「青い芝の会」の中心人物であった、横田 弘氏と横塚 晃一氏の著作物である2つの文献から、「青い芝の会」の運動の歴史。そして、社会学者であり、両氏の著作物で解説を担当していた立岩 真也氏と横田氏との対談の文章から、「差別とは何なのか」「当たり前に生きる」ことについて考えました。
後半は、参加者の疑問を掘り下げながら、優れたものと劣ったものを分け、序列を作り出す優生思想の興りや、「インクルーシブな社会は実現可能か」という大きなテーマについての意見交換を行いました。
学習会を通して、「脳性マヒ」というアイデンティティーのもと、「障害があって何が悪い。」「我々が不幸であると決めつけないでくれ。」という当事者の主張の力強さを感じました。「障がい者への配慮」が時として排除につながり、ありのままを受け入れて分断を作らずに共に生きようとする“インクルーシブ”とは逆行する可能性があると感じました。
参加者からは、「コロナ過の今、いろいろなタイプの人間がいないと(社会の変化に)対応できない(と改めて感じた)。」「インクルーシブな社会が実現できるかどうかではなく、それを目指して行動し続けることが大切。」といった意見が挙がり、今後どういった学習会を開催していくのか考えるきっかけにもなりました。(M.H)