3/27 インクルーシブ学習会報告
日時:2021年3月27日(土) 15:30~17:30(Zoomによる)
参加者:14名
報告者:横山 青空氏(日本女子大学卒業生)
内容:卒業論文「小学校現場で障がい児が被る差別・偏見の姿」の報告と意見交換
今回の学習会は、日本女子大学を卒業された横山さんの卒業論文『障害児の被る偏見と差別 ー「処方箋的知識」を得るためにー』を題材に、障がい者に対する差別と偏見がどのように発生するのかを考える学習会となりました。
学校現場で働く教師も“差別”が生み出される場面にいること。そして、ときにその“差別”を助長してしまうということを、小学校でのフィールドワークを細かく分析した22の事例から学ぶことができました。
①学習会のキーワード「処方箋的知識」とは...
・他者との交流の中で日常的な自然さを作り上げるための知識を「処方箋的知識」と呼ぶ。
・障がい者に対する「処方箋的知識」の欠落が、差別や排除を生み出している。
・障がい者に対する嫌悪感・恐怖心が発生する“瞬間”を分析し、「処方箋的知識」を得ることで、差別や・排除をなくすことにつながる。
②「処方箋的知識」獲得のために学校に求められること
・「障がい児たちとのかかわりを増やすこと」:障がい児とのかかわりのが増える分だけ、処方箋的知識は獲得しやすくなる。
・「教師が児童間のかかわりの仲介をすること」:かかわりを増やすだけでは、差別が起きる瞬間が増えるだけである。互いの交流の中で生まれる戸惑いに気を配り声をかけ、障がい児の行動を肯定的に捉えなおす作業が大切である。
・「教師の理解を深める」:障がい児や障がいの特性についての理解はもちろんのこと、教師自身の行動や立ち振る舞いが、子どもたちの戸惑いを嫌悪感や恐怖心に変えてしまう(差別を生み出す)可能性があることを理解しなくてはならない。
【学習会での発言・感想より】
・障がいを持っている子もそうでない子も同じ空間でどう生活できるかを考えていく必要がある。
・普段の教室内がどんなことでも言える環境であることが大切。
・例えば学校における「教える」と「教わる」といった仕組みを変えていくことが、差別をなくしていくのではないだろうか。
・保護者のニーズとして「支援級に在籍させたい」というものがある。「通常級よりも我が子を手厚く見てもらえる」というイメージを持っている。同じ空間で学ぼうとする上での障がいとなる・・?
・小さなころは「変わった子」ですんでいたものが、年齢を重ねるうちにそうではなくなってしまう気がします。
・“生活の中で一緒に過ごしていると意外とお互いに受け入れていることがある”とお伝えしましたが、それは横山さんのおっしゃっていた「処方箋的知識」があるからだと思います。きっと、初めから偏見がないわけではなく、処方箋的知識が積み重なった結果なのだと思いました。
また、子どもたちにとっては「社会」である学校の中で、差別や偏見がなくなったら理想かもしれないけれど、なかなか難しいのも現実で…。ただ、そのネガティブな偏見や差別的見方があった時に、それをしっかりと拾って「これでいいのかな」「相手はどう思うかな」と考えられる、どうしたら良いかと話ができる、ということを積み重ねていくことで「処方箋的知識」が増えていくのではと、思うと、学校はそのような機会のある貴重な場であって、この積み重ねがインクルーシブに繋がっていくのではと思いました。
(MH)