【報告】7月6日学習会

日時:2023年7月6日(木) 19:30~21:00(Zoomによる)
参加者:7名

内容:「家出する女の子は何を語るのかー家のこと、学校のこと―」
講師:橘 ジュン氏(NPO法人BONDプロジェクト代表)

 今回の学習会では、10代・20代の女性に寄り添い、精神的・物理的な居場所をつくる活動を続けるBONDプロジェクト代表の橘ジュンさんを講師にお呼びし、家庭や学校が居場所にならない女性たちが直面している苦しさについて学びました。
 BONDプロジェクトに寄せられる悩みは多岐にわたりますが、自身が何に対して困っているか言葉にするのが難しい、どのようにして欲しいかも分からないとったケースも多いそうです。「心の不調」や「自殺念慮」、「自傷行為」などの苦しさを最初に訴えることが多いが、寄り添いやり取りを重ねる中で、その根底に「家族」に関する悩みが、さらにその背景に「貧困」や「性被害」といった深刻な問題があるケースもみられます。
 ゆっくりと関係性を築く中でしか、本当の苦しさを表明することはできないということを改めて実感しました。街頭で声をかけ活動の紹介をしても、友人の手前その場で悩みを打ち明けられない女の子もいるそうです。どのタイミングで相談をするのかも本人にゆだね、居場所があることを伝えてその居場所を維持していくことが何よりの救いになるのだと思いました。

 また、「どのような環境に置かれていても、子どもは親が大好き」であり、家族の悩みを相談することを親に対する裏切りと捉えてしまう心情など、学校で教師に悩みを打ち明けられない子どもたちの素直な気持ちも知ることができました。家族・家庭に対する苦しさを相談することが簡単なことではないということは、今後子どもと関わっていく中で念頭に置かなくてはいけないと感じます。
 学習会の中では、相談に同行していた教員が、その子を保護するにあたり、虐待の状況を家庭に確認しようとしたという事例も紹介されました。保護者の許可よりも大切にすべきことは何か、目の前の子どもの声を受け止め、目の前の子どもの保護を最優先に考えて行動に移すことの難しさについて改めて考えさせられました。
 18歳を過ぎると児童相談所が関与できず、高校を卒業をした女性に対する支援はさらに難しくなるという現実も知ることができました。無自覚な場合も含め、苦しさを抱えながら生きる子どもたちが大勢いるという現状。安心できる大人との出会いは大きな財産となる。そのうえで、教師・学校が子どもたちの”居場所”になるためにできることは何か。子どもたちが長い時間を過ごす学校で働く教師としてできる寄り添い方とは何かと、考えを深める学習会となりました。