【報告】11/17読書会

日時:2021年11月17日(水) 19:00~21:00(Zoomによる)
参加者:3名

内容:読書会 西郷孝彦著 『校則なくした中学校 たった一つの校長ルール』 小学館

 今回は、「学校の”きまり”について考える」をテーマに学習会を設けました、世田谷区立桜丘中学校で校長を務められた西郷孝彦先生の著書『校則なくした中学校 たった一つの校長ルール』を資料に意見交換を交えながら、どのように学校の”きまり”がなくなっていったのか。校則のない学校で子どもたはどのように生活しているのか、「子どものため」とは何なのか考える学習会となりました。

 制服やテスト、チャイムなど、様々なきまりやルールの「ない」桜丘中学校。そんな学校の実現は、「その校則は本当に必要なの?」という疑問から始まりました。理屈の説明できないきまりを守らなくてはいけない生徒。そして、守らせなくてはいけない教師・・。
 「制服では登校できない」「教室に入って過ごすことはできない」「タブレットを使って学習したい」・・。生徒一人ひとりの声をすくい、「どうやればその子が学校で生活できるのか」と考える。「みんなに合わせるのが当たり前」「中学生とはこういうものだ」という、存在しない「生徒像」からはなれた時、当たり前に存在していた”きまり”の必要性が揺らぎます。
 「その子だけを許可する特別なルールをつくる」のではなく、「その子に認めたルールは全員にとっても必要なもの」という、発想がとてもユニークに映りました。制服を着なくてよいというルールの中で、授業中に廊下で過ごしてよいという環境の中で、自身の学習を助けるIT機器を使えることで、子どもたちは自分に合った過ごし方を身に付けていきます。

 『子どもたち自身が生まれながらに持っている「よく生きよう」というプログラムが発動するのを待っている』と、子どもたち自身の力を信じる西郷先生の信念が印象に残っています。

 『桜丘中学校545人の子どもたちが、幸せな3年間を送ることができたら――それが私の唯一の願いであり、そうすることが私にとって唯一のルールです。』
 
 「こうあるべき」「こうしなくてはいけない」という、根拠のない決めつけが、子どもだけでなく教師も息苦しい学校をつくっているのではないか。一人ひとりの子どもに目を向け、何を求めているのか、何が必要なのか、教師として何ができるのかを一つひとつ考えること。それが、多様性を認めるインクルーシブな学校づくりの出発点であると感じる学習会になりました。(MH)