- 内容 「子育ての現状から 家庭での影響を受ける子どもについて理解を深め 学校の役割を考える」
- 文献 2010年Ed.ベンチャー教育講演会「家族と教育の関係性の変容」講演録 本田 由紀氏
- 「第3回(2014)子育て世帯全国調査」 労働政策研究・研修機構
- 報告者 吉間 里依(大野原小学校)、村本 綾(つきみ野中学校)
- 日時 2015年 9月13日(日)14:00~16:00
- 場所 富士見文化会館 201
- 参加人数 14名 (内 子ども3人)
今回の学習会では、本田由紀氏の2010年Ed.ベンチャー教育講演会の講演録「家族と教育の関係性の変容」をもとに、戦後の社会状況の変化と「戦後日本型循環モデル」という社会構造の特徴からその破たんに至るまでの経緯、現在の家族の形、そこに内在する問題点をまとめた報告がありました。その上で教育に課せられている課題、教育以外の支援の必要性についての本田氏の提案が話し合いの柱となりました。
次に実際の子育ての現状を知るために、 労働政策研究・研修機構の調査である「第3回(2014)子育て世帯全国調査」を読み解きました。ひとり親世帯の貧困率の悪化、産後の女性の社会復帰の難しさなどの厳しい現状に参加者からは驚きの声があがっていました。また、実際に子育てをしながら働いているお母さんからのアンケートも調査結果と照らし合わせました。
今回の参加者の中には、実際に子育てをしながら働いている方や、育休中の方もいました。子育てをしながら教師をしている方は育児・家庭・仕事をこなしていく大変さ、復帰の難しさを話してくださいました。しかし、参加者のほとんどは教師であり、安定した生活を送ることができる人が多いのが現状です。そのような立場で、子育て世帯調査にあるような貧困に苦しむ母親のために何ができるのか考えることは容易ではありません。実際に学習会でもなかなかその立場での意見が出ず、学校での真の意味での母親支援にはここが大きな壁になっているのではないかと感じました。母親が辛い現状にいるため、これからは母親に何もかも押し付けず、周りが母親の代わりをしなければいけない時代なのでは、という意見と、母親にしかできないことを当たり前に子どもにしてやれない状態を支援し、母親にしかできないことを子どもにすることができる社会にしていくことに力を注ぐべきなのではという意見が出ました。
学校は母親を救うことも追い詰めることもできます。だからこそ、教師は様々な立場の現状を知り、何ができるのか考えていかなければいけないと思いました。
<参加者の感想>
・教員として女性としてどう働き方を考えていくのかという視点と社会におかれている女性たちの厳しさという視点を分けて考えたいです。貧困の中にある家庭もそうですが、外国人の家はそもそもから孤立しているし、何をもって「孤立」と考えるのか深めたかったです。(小学校教諭)
・「親にしかできないこと」にしばられているのではという言葉にハッとしました。たくさんの人に育ててもらいたいという思いはあるものの、母親である私にしかできないことがあるはず…と思うことでがんばれている自分もいるのかなと思います。仕事と家庭をもつようになり自分の中で矛盾や葛藤と戦う毎日です。環境的には恵まれていますが、まだまだ課題を多いと思います。(小学校教諭)
・討論で実体験を聞いて参考になりました。母親を取り巻く社会状況を資料から学ぶことができました。実践事例をふまえた話し合いの方が実際の指導に活かしやすいように感じました。グループ数人で話し合うなど形式を工夫すると発言の数が増え、参加しやすくなると思います。(小学校教諭)
・今回は、一般的に学校の場に行くのが当たり前になっている中で、その当たり前の場に行けないような家庭の子どもや地域のコミュニティなどに出向けないような家庭には目が向けられない、向けられていないと思った。(すたんどばいみー)