【2019年度授業研究会 総括】
【事業総括】
2019年度は、子どもたちが授業の中で知識を得るだけでなく、自分の考えをもち「思考する」とはどのようなことかを追求するために研究を行った。そして、「思考」というものが他者との関わりの中で深められるのではないかと考え上記目標を設定した。そこで前半は、授業の中で子どもたち同士の関わり合いを取り入れながら「思考させる」ことを意識した授業実践を行っている小学校・中学校教諭から手法や考え方について学んだ。
中学校教諭による国語の実践からは、教材の工夫について学んだ。苦手意識を持っている子でも興味を持てる教材を発掘することで学習意欲を引き出すことができることがわかった。
小学校教諭からは、外国にルーツがある児童と他の児童とのつながりを意識した学級経営について学んだ。教師による言葉がけなどの仕掛けが子ども同士の関係作りを行う一助となることが分かった。
学級会の実践からは、子どもが主体的に活動できる手立てについて学んだ。子どもが主体となって考えることで、自身で学級を運営する意識を持たせることができることが分かった。
中学校教師による数学の実践からは、課題をもとに子どもたち同士で意見交換をしながら解決していく方法を学んだ。子どもたちの課題解決能力を信じ、子ども同士が教え合うことで、学習を通して互いを知る機会が生まれることが分かった。
後半は、学んだことを生かし「道徳」授業を行った。道徳は昨年度から教科化され、評価も必要とされている。授業検討を通して、題材の選び方に難しさを感じた。教科書の中には児童の実体験や経験からは意見を言いにくいものもある。今回そういった題材を選んだことによって意見を引き出すために様々な知識を伝える時間が必要になり、結果として子どもたちによって互いの意見を深められるような場面を十分に作り出すことができなかったように感じた。
子どもたちが社会の中にある課題に対して思考したり、自分事と捉えたりする力をつけるために、関わり合いを取り入れた授業を目指し、前半と後半の研究に取り組んだ。しかし、学習会の回を追うごとに、私たち自身関わり合いの方法や環境づくりの方法論に意識が偏ってしまったことや、子どもたちにつけたい力について十分な議論ができなかったことが原因で、結果として授業実践では表面的な意見交換の場を設定しただけの授業になってしまった。
2019年度は、目標に沿った研究に至ることができなかったが、子どもたちにどのような力をつけることが大切なのか、そのためにはどのような環境設定、発問、教材が考えられるのか、十分に検討していく必要があると考える。
【活動代表】下新原なつみ・三澤律子
【日時・内容・場所】
第1回:5月13日(月)19:00~21:00
内容:「クラスづくりと国語」実践報告(理論学習会との共同開催)
報告者:山崎 正氏(小学校教諭)/ 飯田 里沙氏(中学校教諭)
場所:大和市シリウス603中会議室
第2回:6月18日(火)19:00~21:00
内容:「学級会」実践報告/授業案検討
講師:内藤順子氏(元小学校教諭)
場所:大和市シリウス603中会議室
第3回:7月 1日(月)19:00~21:00
内容:「題材から授業をつくる」実践報告/授業案検討(理論学習会との共同開催)
報告者:馬場有希氏(小学校教諭)
場所:大和市シリウス608和室
第4回:8月27日(火)19:00~21:00
内容:「『学びあい』の考え方をもとにした授業」実践報告
講師:加藤綾氏(中学校教諭)
場所:大和市シリウス605小会議室
第5回:9月17日(火)19:00~21:00
内容:小学校「道徳」授業案検討
場所:大和市シリウス605小会議室
第6回:10月10日(木)
内容:授業実践
授業者:三澤律子(小学校教諭)
場所:大和市立福田小学校
第7回:11月19日(火)19:00~21:00
内容:授業実践報告
場所:大和市シリウス606小会議室
第8回:12月10日(火)19:00~21:00
内容:意見交換会「かかわり合いのなかで思考が見える授業とは」
場所:大和市シリウス605小会議室
(のべ参加者数27名)