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授業研究会報告:第1回(2月10日)・第2回(4月27日) 2024年度の授業研究会は、「どのような子どもも排除されない教室空間」を目指して、実際の授業実践を振り返ることを目的に実施されることになりました。第1回(2月10日)では、実際担任をしている先生たちを中心に、本事業の趣旨に則して、実際に学校や教室で起きていることを言語化することが試みられました。特に、ディスカッションの中で、観点を変えれば教室の見え方が変わることが明らかになり、どのような観点で教室をみているかを、教員自身が自覚的である必要が確認されました。 第2回(4月27日)は、新規採用として教員になった2人の先生から、勤め始めてから3週間ほどの間に経験したことを報告してもらい、それらについてディスカッションを行いました。発表者はいずれも特別支援担当として配属されたことから、特に、普通学級から取り出されてくる子どもとの関係で、多くの疑問を感じたことがわかるレポートでした。特に印象的だったのは、教員の意識の方に、普通級の子どもと特別支援の子どもという線引きが強いという発言です。具体的には、子どもにかける言葉が「差別的」と感じられるほどに違っているにもかかわらず、それに対して学校の中で問題化されることもないことや、校内で新任教員にかけられる声がけが「特別支援を希望したのか?」という類いのもので、そのニュアンスには「特別支援は特別な理由がない限り担当しない」という意味が含まれていることが感じられたというものです。 他方、地方から参加した教員からは、そもそも人数が多くないので、「分ける」ということそのものが当たり前になっていないという状況も報告され、人口が集中している都市部か、それとも過疎化が進む地方かで、子ども同士を分離するかどうかをめぐる対応にも違いがあることもわかってきました。特別支援をめぐる施策は自治体レベルでかなり異なっていることも確認され、制度そのものが「分離」を促進する場合もあり、「どのような子どもも排除されない教室空間」は、個々の教員の力量によって改善される部分については、制度そのものの方向性がどうなっているかを見極める必要があるという共通理解ができました。 2月10日(ハイブリッド)参加者 6名4月27日(対面のみ)参加者 11名
2024年05月12日 授業研究会 【報告】第1・2回授業研究会
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第3回授業研究会報告 日時:8月15日 20:00~21:45 テーマ:女性の働き方について 参加者:4名 概要 オランダなど北欧諸国の取り組み方は、日本と根本から違っている。 「人権」を基本に据えて考えているか否かの違いなのではないか。 「非正規労働者」が圧倒的に増えていて特に女性が多い。それは、家事、育児、介護は女性の仕事という考えがいまだに残っているから。育児休業制度’をの男性取得率をもっと上げることが必要。 育児などを家庭が担うべきという考え方を変える必要がある。「子どもは社会の子」という考えがあれば、もっと公的機関が担えるようになるはず。 制度があっても一番必要な人達に届いていない。積極的な発信が必要。 色々なサポート機関ができ始めているが、お金がかなりかかる。そうなると結局利用できない。もっと公費負担が必要。 政治が変わらなければならない時、女性議員を増やすことが大事。 長時間労働を変えていかないと、女性が様々な分野の仕事に進出できない。入試差別問題も長時間労働との密接な関係の結果とも言える。 変えなければいけない事が多々あるが、やはり早くから「社会保障」や「働き方の問題」や「考え方」を学習する必要があるのではないか。色々な家庭の事情の子どもたちが集まってくる学校現場の役割は重要。教師はもっと勉強しなければいけない。その上で、こどもたちとともに考える時間を設定していく必要があるのではないか。 次回は最終回、まさに「カリキュラム化」。 以上
2022年09月13日 授業研究会 【報告】8/15 第3回授業研究会
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第2回授業研究会報告 日時:7月25日20:00~21:45 参加者:3名 内容 「ジェンダーについてのカリキュラム化」をテーマに話し合った。 初めて参加してくださった先生が中学校の先生だったので「思春期」の扱い方の大切さを指摘してくださった。 また、少数者の問題であるがゆえに「かわいそう」「守ってあげなくちゃ」というように思われないように気をつけるべきという指摘もあった。 学校では先生方のほうが「ジェンダー」に鈍感であるという。教える前にむしろ教師がきちんと勉強すべきだと言うことがわかった。 すでに調査では、100人に7人位の割合でLGBTの人々がいるとわかっている以上学校教育できちんと正しい知識を発達段階に合わせて教えるべきであるという意見で一致した。 学校のトイレを性別関係なく入れるようにするという養護教諭の提案があった話も聞けて参加者は少なかったが有意義な学習会であった。
2022年09月13日 授業研究会 【報告】7/25 第2回授業研究会
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日時 5月16日(月)20:00〜22:00 参加者 5名 使用した資料 寺町晋哉著『「性別」があふれる学校は変われるのか』 木村涼子著『中等教育におけるジェンダー平等の過去、現在、未来』 討論内容 ①保育園の課題として「性別の認識」は、必要なのか ②水泳指導の際の水着の問題は、検討必要 ③修学旅行の大浴場についても検討必要 ④中学校の制服の選択性 女子の自由選択は大和市でもされてきているが男子は難しい。 ⑤第2次性徴を扱う際に、トランスジェンダーのことも扱う必要がある。その時に対等な存在として認識されるように働きかけることが大事である。今後引き続いての研究が必要と思われる。 ⑥クラスの児童を並べるとき、いまだに女子、男子の列づくりが一般的である。 情報 最近の幼児向けアニメでは、女性、男性、トランスジェンダーが登場している。 英語圏では、He、She、ではない人は、Theyなど使用し始めている。 子どもの性自認は6歳ぐらいで、違和感を感じ始めるきっかけは、「異性を意識するようになる」と教わり始めるときだそうである。 感想 ・教職員の現場も少しづつではあるが変わって来ている。 ・マスコミで有名人がカミングアウトし始めているのは、良いことである。 ・次回に向けて更に、学校教育現場の見直しが必要。 以上
2022年05月08日 授業研究会 【報告】5/16第1回授業研究会
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第7回授業研究会報告 日時:12月13日(月)20:00~22:00 場所:オンライン(Zoomによる) 提案者:馬場 貴司 氏(大和市立小学校教諭4年担任) レポート:「授業づくりの深め方『良い授業をデザインするための5つのツボ』に基づいた実践研究」 教材:国語科「ごんぎつね」 参加者:19名 【内容】 物語を楽しんでほしい、感じ方の違いや自分の主張を根拠をもって話し合ってほしいという願いを持って取り組んだ授業実践報告だった。参加者から、子どもたち一人ひとりが楽しんでいたのがとても良くわかるという感想が多かった。 国語の授業になかなか入っていけない児童の言葉を見逃さず取り上げていく姿勢が感じられた。そのうちの一人である外国籍の児童が積極的に自分の考えを伝えている様子に、その子をかって知っていた参加者からは、喜びの声が寄せられた。 石井先生からは、「力のこもった提案で先生自身が楽しんだことがいい。教師自身が’学ぶことの楽しさを感じたことは、職場環境も変えていく力になるだろう。」という感想が述べられた。 【研究協議】 研究協議では、石井先生からの以下のようなアドバイスを頂いた。 1.目的・目標から評価へ 子どもたちは、楽しんだし、国語の授業が好きになったことは、わかるが、「子どもたちは何が楽しかったのか」をもう少し分析する必要があるだろう。 「子どもたちは、何を学んだのか、子どもたちに何が残ったのか、言語経験は、どうだったのか」という子どもたちへの読み取りが大事。どのような経験をして何を楽しんでいたのか、そこから単元目標は、どうだったのか、この授業の国語の本質にどう迫っていたのか、教科する授業の構築が大事。主題はどこにあったのか、「ごんぎつね」をちゃんと読めたのかという評価の問題も見えてくる。 2.末広がりの授業展開について 「ごんぎつね」の帯を書こうというアイデアもある。 学校外の経験にどう生きていくのかという言語生活を見据えた言語学習を考える。 参加者からは、提案者も抱いていた「ファシリテートの難しさ」が出された。 それについても石井先生から助言が得られた。頭の中に補助線を引いておくこと、すなわち、「こんなことが話題になるであろう」と考えておくことが大事。また、子どもたちの発言を整理しながら聞くためには、「核になる言葉」を逃さないことなどである。 【感想】 最後に参加者からの感想をいくつか紹介する。 ・教材と子どもたちの実態を見て読み方をルーティン化していないところが良かった。 ・子どもが言葉を獲得するのは、自分の中で自分の言葉をさがす、友達との会話で言語を通じ合わせる。教材のテーマ性を獲得する中で成長するが、きっかけになったのが、本当に自分の周りにいる子どもたちだったことだ。 ・このような授業研を大和市の若者たちの間で続け広げてほしい。 ・授業者の成長が感じられてとても嬉しかった。 ・大学でゼミなどで学生と向き合っているが、自分の核を持ちつつ、学生の核の端緒を捉え自分の核を変えないとゼミが成り立たないということがしばしばある。「核の作り方」の重要性を感じた。 以上、全7回の授業研究会が終わった。 石井先生や清水先生のお力をお借りし充実した学習会ができたこと、多くの若い先生が、地域を超えて交流できたことは、とても良かった。
2021年12月30日 授業研究会 【報告】12/13第7回授業研究会
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第6回授業研究会報告 日時 10月4日(月) 提案者 松本翼 提案:「オンラインを活用した授業について」 参加者 16名(石井先生も含む) 松本先生の実践報告を受けて下記のような質疑と意見交換が行われた。 【質疑と意見交換】 Q1.クロームを使う授業と使わない授業の「楽しさ」とは? →A.単純に、一人1台ある、目の前で見れる、すぐ見れるなど Q2.「ロイロノート」の使いやすさや辛さとは? →A.自己表現の広がりが使いやすさ。電波の通信状況の悪さや、画面がどんどん変わってしまうことが辛い Q3.各学校や個人のPC利用は? →大野原小学校:一人ひとりが模索中。全体の発表がしやすい →柳橋小学校:シンキングツールと板書の違いは? A.「クラスルーム」の画面共有は意見集約が便利。 ・情報モラルの問題、グーグルミートでYou Tubeをやってしまう子がいるが、それは、監視することではなく、授業の質の問題。 【石井先生のお話】 1.見えるけど見ていない。つまり、教師の見る目が問われる。PCで可視化されるが、量的ではなく質的にどう学習が深まっているのか。ベン図もフラットに見えてしまうので、きっちりみとるためには便利ではない。子どもが、データ化されてしまう 2.したがって先生の教材観が大事である。国語であったら、どういうことが想定され風景がどう変わって行くのかがポイント。 3.先生の教材観が重要である 4.情報モラルの問題→子どもたちにどこまで委ねるのか。道具箱を自己管理していくアカウント管理の 重要性。外部とつながっていくと、教師の「学び超え」が起きるので、教師と子どもが切磋琢磨することになる。 5.一人一台端末は、いろいろなものを可視化していく 6.要は、「学び」があるかないかである 7.「ごん狐」を読むのか、「文学作品の読み方」なのかが問われる。 8.「ロイロノート」の授業になっちゃう。ロイロノートは、大人では使わないので、アプリではなく大人につながる「機能」に 注目すべき(プラットホーム、Google Map、Zoom、 mentime-ta-,共同編集など) 9,学びやすさの落とし穴は、「快適」だから、自分にとって良いものしか見なくなる、 よって、。視野が狭くなる 【石井先生のお話への質問】 1.ロイロノートは、大人のツールにもつながるのではないか? →パワーポイントと相性が良い。 →しかし、足場掛けであって、記録が残っていかないので横に板書するのと違って今の自分の立ち位置がわからなくなってしまう。また、パワーポイントは、立派なプレゼンに見えるが、「論理がない」ので詰めていかないとだめ。 2.簡単に調べられることでよいのか? →調べて出てくるのは、あくまで情報だから、「問い直し」がなければ意味がない、つまりわかってはいないのである。 【終了】 この後、参加者の簡単な感想で終了した。今回は、2時間半近くまで石井先生にには、講義していただいた。
2021年10月07日 授業研究会 【報告】10/4第6回 授業研究会
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第5回授業研究会報告 日時:8月4日(水)20:00~22:15(Zoomによるオンライン)提案者:はたのまどか氏(大田区立南蒲小学校1年担任)教科:国語テーマ:[良い授業]のデザインに向けた実践・研究題材:大きなかぶ 講師:石井英真先生(京都大学大学院教育学研究科准教授)参加者:13名 【研究内容】 はじめに、物語の背景(民話への関心の深まり)、繰り返しやその部分の言葉という2つの視点から、子どもたちの想像が広がるように目指した授業についての実践を報告してもらった。子どもたちに、民話の楽しさに触れてほしいという願いを授業に生かした実践だった。 参加者からは、「子どもたちがとても楽しそうに授業に取り組んでいた様子がわかった。」という感想が多かった。また、ロシアの民話の翻訳の違いや「ロシア」という国の民話であることを切り口にした発想も興味深かったという意見も出された。 石井先生からは、以下のような助言を頂いた。1.1年間を見通した計画の意識化 「大きなかぶ」は、はじめての長文の物語で、「物語」の導入に位置する。 ならば、「ものがたりとはなにか」「どこを楽しませるのか」そして、1年間の最後の出口の姿をどう描いて授業に望むのかが大事である。 2.国語科への長い見通しを持ったカリキュラムの構築 子どもたちの言語生活が豊かになっていくために何に出会わせるのか、1年間のカリキュラムの見通しが大事である。 質疑討論では、1.「民話」をどう読ませるのか 民話って何?民話というジャンルをどこにつなげていくのか? 庶民の話し言葉による伝承の「言葉遣い」の面白さなど2.「音読」のための「音読」ではなく、読みを深めるための「音読」 動作化を伴う生きた言葉の獲得の大切さ などについて意見交換された。(NJ)
2021年09月27日 授業研究会 【報告】8/4第5回授業研究会
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第4回授業研究会報告 日時:6月15日(火)20:00~22:10(Zoom利用によるオンライン)発表者:林みなみ氏(大和市立小学校教諭 第3学年担当)教科:社会科 単元名「大和市はかせになろう」(わたしたちのまち みんなのまち)講師:石井英真先生(京都大学大学院教育学研究科准教授)参加者:24名 石井先生からの助言は、多岐にわたり、大変充実した学習会だった。 石井先生からいただいたご指摘の要点は以下のとおり。 1.目的・目標を明確化する。 ここが一番大事。学習が終わったときに、どんなこどものすがたをイメージするのか。 子どもたちの認識がどう組み変わったのかが問われる。 授業者の願いがわかるような自分の言葉で目標を書くべき2.学力保証とは、認識の保証であり、世界への広がりをもたらすことである3.授業における型作りについて 話型ごっこにはしらないようにすべき。 グループ学習の良さは、インフォーマルコミュニケーションにある。 話し方の指針がどこにつながるのかを意識する必要がある。意味のある補助が必要。 4.タブレット端末の活用について あくまでも道具として使う。囚われすぎないようにすべき。5.評価については、石井先生が「授業づくりの深め方」というレポートを用意 してくださったので、話だけでは難しかったのを各自がふかめることとなった。 当初の予定を大幅に過ぎてしまったにも関わらず、石井先生には快く付き合っていただき、とてもありがたかった。また、初めての参加者も多かったが、時間の関係で自己紹介もままならず、また、感想を寄せてもらうことを言い忘れてしまった。次回は、気をつけたい。(NJ)
2021年07月14日 授業研究会 【報告】6/15第4回授業研究会
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1月から開催している新年度の授業研究会の報告です。報告が遅れてしまいましたので、第1回から第3回までをまとめて報告します。 2021年度の授業研究会は、具体的な授業実践を提案してもらい、それについて、石井先生に指導、助言して頂くことにした。そこで、清水先生の助言により、議論のベース作りとして、石井先生の文献購読が必要だということで、各月1回、3回に渡って文献購読会を実施することにした。 第1回 1月26日(火)zoom 20:00~21:45 参加人数13人 石井英真(2020)『授業づくりの深め方-「よい授業」をデザインするための5つのツボ-』ミネルヴァ書房 より「第Ⅰ部 授業の本質とロマンの追求」について、特に ・授業づくりのフレームと5つのツボ ・未来社会をよりよく生きるための新しい学力と学びの形 について報告・提案がなされた。その後、「授業の人間性、授業の芸術性」とは、具体的にどういうことか、「教師の学びは、模倣と省察の過程で理論知と実践知を統一する研究的な学びとして遂行されなければ成らない」とは、具体的にはどういうことか、「ドラマとしての授業」とは、何かといった点について議論・検討が行われた。 第2回 2月26日(金)zoom 20:00~21:45 参加人数12人 提案内容 第Ⅱ部 第3章 授業づくりのツボ①「目的、目標」を明確化する 第4章 授業づくりのツボ②「教材、学習課題」をデザインする 第5章 授業づくりのツボ③「学習の流れと場の構造」を組織化する 第6章 授業づくりのツボ④「技とテクノロジー」で巧みに働きかける 第7章 授業づくりのツボ⑤「評価」を指導や学習にいかす 内容の濃い章が多いので2章ずつ質疑をとりながらすすめた。 第4章で、アドバイザーから章全体を俯瞰して眺めてみる読み方をすることが大事であるという助言がなされ、教科書をどう使うかの前に、まず「教材研究とは、どういうことか、教材解釈と教材開発の方法」等の大事なポイントを読み深める必要を知ることとなった。 第5章では、参加者から「教科する」とはどういうことか、「真に学びを深めていく民主的な関係」「教師の指導性」について 第6章では、「本物の問い」とは何か 第7章では、「パフォーマンス評価」とは何か 以上の質問を受けてアドバイザーから助言指導があり、それに基づいて話し合われた。 最後に民主的な関係の中で学び合うということが昨今の学校現場には、失われているという意見が出され、アドバイザーから地域性という観点から、競争をより強化する環境の問題、地方と都会の関係で地方が社会構造の中で従順にならざるをえないという指摘がなされた。社会構造から子どもたちの姿を見ることの大切さを知ることができた。 第3回 3月24日(水)Zoom 20:00~21:45 参加人数 8名 提案内容 第Ⅲ部 5つのツボを生かして授業作りを深める 第8章 「教科する」授業を創る手立て 第9章 授業の構想力を磨く構内研修のデザイン 主な提案内容は、レポート参照 主な質問事項とアドバイザーからの助言は以下のとおり。 Q:創発的コミュニケーションとは? アドバイザー:正しいことを解釈して終わるのではなく、「もやもやして終わる」ような、しりすぼみにならないコミュニケーション。そもそも、コミュニケーションとは、そういうものだが、「あるべきコミュニケーション」が強調されすぎてきたので、あえてこういう言葉を創造したのかもしれない。 そして「もやもやして終わる」授業について以下のような議論があった。 ・もやもやして終わる授業は、道徳の授業で経験。そのほうが面白かった記憶がある。 アドバイザー:授業で学習したことをもう1回現実場面にもどすと、現実はそうすっきり説明できるとは限らない。そういう「もやもや感」が大事なのではないか。 Q:もやもやする授業は、学校生活の場面に戻って見つけるのか学校外で見つけるのか? ・理解するだけだと教室内に閉じ込められている。外に出て「あのことはこういうことだったのか」と思えることの学習の意味が大事。外に開いていく学習イメージ。 Q:実践記録は、主観的でいいのか、客観的なものか? アドバイザー:記録を書く段階ですでに客観性を帯びる。過去の自分への距離感は、いろいろ。その時の自分に近い位置で書くのか、違う自分として書くこともできる。何を議論してもらいたいかによっても変わる。 Q:単元すべての授業が終わってから提案するのかどうか? アドバイザー:あまり固く考えずに、「この実践どうですかね。」というスタンスでいいのではないか。 最後に参加者から次のような意見が寄せられた。 ・p.273「こんな授業になっていませんか」からp.275「教科する授業」へ、若い人の活力を期待したい。 ・現場から離れているけれど、「もやもやさせる英語の授業ができるか」考えてみたい。 ・「本質、概念の追求」を意識した授業づくりを今後考えていきたい ・実践記録に基づいて自分の授業を見つめなおすようにしたい。 アドバイザーから「実践記録」を読むことを勧められて、一同やる気が出た研究会になった。
2021年04月07日 授業研究会 【報告】第1~3回授業研究会
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【2020年度授業研究会 総括】 【事業総括】 2020年度は、「ひとりひとりが位置づく学習空間と時間の創出をめざす」という目標を掲げ取り組んできた。当初5回計画していたが、コロナで3回しかできなかった。 しかし、①教師自身が自分中心の授業ではなく、児童との対話や児童同士の交流が生み出されるような授業づくりが必要だということ。②同一教材でも児童の学習到達度や興味関心を勘案して教材を用意することが大切だということを共通理解できたと思う。 第1回は、「教師は伝達者ではなくいかにして媒介者たりうるか」というテーマで行った。長い自粛期間、学校は休校措置になった。勉強が遅れるのではないかというあせりから、学校現場では、今まで以上に教師が一方的に進める授業になりかねない恐れがあった。だが、学校生活が突然になくなった、しかも長い間。だからこそ「子どもたちは、自分にとって学校って何だろうか。」という問いが自覚するしないにかかわらず生起したのではないか。そのことを教師たちは、自分たちの問いにできたのか。 そこで、「久しぶりに学校で会った子どもたちから何を受け止め、何を語りあったのか。」をメインに意見交換した。子どもたちは一様に「友だちに会いたかった。」と語ったという。また、不登校気味だった児童が学校に来たという。分散登校という期間だったことから40人近い数の学級集団がいかに彼にとって息苦しいものだったのかが想像できた。すなわち、子どもたちにとって学校は「学習の場」より「友だちと一緒に過ごす場」としてかけがえのない場所であると意識されたことが分かった。教室の中に掲示板を設置してその日会えない友達に思い思いにメッセージを綴ることで全員登校日を不安なく迎えるようにしたというアイデアも紹介され、「生活の場」としての意味の大切さを再認識する話し合いになった。だが、自粛期間中にでた膨大なプリントに圧迫された子、家や塾でリモート学習に取り組んだ子など学力格差がついたことも明らかになった。だからこそ、教師は、「学校」が、「友だちの存在を意識できるような学習の場」になるように取り組むべきだということが改めて確認された。 第2回は、「同一空間の中で発達に応じた課題と自発的な学習の組織化は、可能か」というテーマで行った。これは、とりもなおさず、教室の中で、一人ひとりがきちんと位置付けられるために教師が工夫しなければならない課題であると思ったからである。 具体的には、大村はま先生の説明文の読みとりの実践と提案者の算数の時間の実践を紹介して話し合われた。黒板の前で教科書を見ながら1問1答をくりかえす平板な授業が多い。これでは、「学習に食らいつきにくい子」は救われないし、すでに塾などで教科書の内容を分かっている子にとっても魅力あるものではない。もっと、自分の目の前にいる児童の声を聴きとり、想像して「学びのおもしろさ」「知的探求の面白さ」を創出していかなければいけないということが自覚化される話し合いになった。 第3回は、「子どもたちは、発見すること、考えることが大好き!」を掘り起こす教材の工夫 ~教科書を生かしつつ教科書を乗り越えて~というテーマで行った。 かねてから、「教科書を教える教師の急増」に危惧してきた。教科書は今目の前にいる児童のために作られてはいない一般的な教材。目の前の児童を想定し、目の前の児童と対話しながら、補足したり、作り変えたり、組み替えたりしながら教材化しないかぎり子どもたちにとっては、無味乾燥な教材でしかないのではないか。教師たちの多くの授業に「子どもたちが存在していない。」そこで、子どもたちは「発見が好き、考えることがきらいではない」ということが垣間見える実践を紹介しながら議論した。 だが、話し合いの中で中心を絞り切れず深めきれなかったのも事実である。 2021年度は、1時間の授業づくりに的をしぼり、より具体的な研究会にしたい。 【活動代表】内藤順子 【日時・内容・場所】 第1回:6月18日(木) 内容:「教師は伝達者ではなくいかにして媒介者たりうるか」 場所:オンライン(Zoom) 参加者7人 第2回:8月20日(木) 内容:「同一空間の中で、発達に応じた課題と自発的な学習の組織化は可能か」 場所:オンライン(Zoom) 参加者5人 第3回:12月17日(木) 内容:「子どもたちは、発見すること、考えることが大好き!」を掘り起こす教材の工夫 ~教科書を生かしつつ教科書を乗り越えて~ 場所:オンライン(Zoom) (全3回。のべ参加人数15名)
2021年03月02日 授業研究会 2020年度授業研究会総括