【報告】第1~3回授業研究会

1月から開催している新年度の授業研究会の報告です。報告が遅れてしまいましたので、第1回から第3回までをまとめて報告します。


 2021年度の授業研究会は、具体的な授業実践を提案してもらい、それについて、石井先生に指導、助言して頂くことにした。そこで、清水先生の助言により、議論のベース作りとして、石井先生の文献購読が必要だということで、各月1回、3回に渡って文献購読会を実施することにした。

第1回 1月26日(火)zoom 20:00~21:45  参加人数13人

石井英真(2020)『授業づくりの深め方-「よい授業」をデザインするための5つのツボ-』ミネルヴァ書房 より「第Ⅰ部 授業の本質とロマンの追求」について、特に

・授業づくりのフレームと5つのツボ

・未来社会をよりよく生きるための新しい学力と学びの形

について報告・提案がなされた。その後、「授業の人間性、授業の芸術性」とは、具体的にどういうことか、「教師の学びは、模倣と省察の過程で理論知と実践知を統一する研究的な学びとして遂行されなければ成らない」とは、具体的にはどういうことか、「ドラマとしての授業」とは、何かといった点について議論・検討が行われた。


第2回 2月26日(金)zoom 20:00~21:45 参加人数12人

提案内容 第Ⅱ部

      第3章 授業づくりのツボ①「目的、目標」を明確化する

      第4章 授業づくりのツボ②「教材、学習課題」をデザインする

      第5章 授業づくりのツボ③「学習の流れと場の構造」を組織化する

      第6章 授業づくりのツボ④「技とテクノロジー」で巧みに働きかける

      第7章 授業づくりのツボ⑤「評価」を指導や学習にいかす

内容の濃い章が多いので2章ずつ質疑をとりながらすすめた。

 第4章で、アドバイザーから章全体を俯瞰して眺めてみる読み方をすることが大事であるという助言がなされ、教科書をどう使うかの前に、まず「教材研究とは、どういうことか、教材解釈と教材開発の方法」等の大事なポイントを読み深める必要を知ることとなった。

 第5章では、参加者から「教科する」とはどういうことか、「真に学びを深めていく民主的な関係」「教師の指導性」について

 第6章では、「本物の問い」とは何か

 第7章では、「パフォーマンス評価」とは何か

 以上の質問を受けてアドバイザーから助言指導があり、それに基づいて話し合われた。

 最後に民主的な関係の中で学び合うということが昨今の学校現場には、失われているという意見が出され、アドバイザーから地域性という観点から、競争をより強化する環境の問題、地方と都会の関係で地方が社会構造の中で従順にならざるをえないという指摘がなされた。社会構造から子どもたちの姿を見ることの大切さを知ることができた。


第3回 3月24日(水)Zoom 20:00~21:45 参加人数 8名

提案内容 第Ⅲ部 5つのツボを生かして授業作りを深める

     第8章 「教科する」授業を創る手立て

     第9章 授業の構想力を磨く構内研修のデザイン

         主な提案内容は、レポート参照

主な質問事項とアドバイザーからの助言は以下のとおり。

 Q:創発的コミュニケーションとは?

 アドバイザー:正しいことを解釈して終わるのではなく、「もやもやして終わる」ような、しりすぼみにならないコミュニケーション。そもそも、コミュニケーションとは、そういうものだが、「あるべきコミュニケーション」が強調されすぎてきたので、あえてこういう言葉を創造したのかもしれない。

そして「もやもやして終わる」授業について以下のような議論があった。

 ・もやもやして終わる授業は、道徳の授業で経験。そのほうが面白かった記憶がある。

 アドバイザー:授業で学習したことをもう1回現実場面にもどすと、現実はそうすっきり説明できるとは限らない。そういう「もやもや感」が大事なのではないか。

Q:もやもやする授業は、学校生活の場面に戻って見つけるのか学校外で見つけるのか?

・理解するだけだと教室内に閉じ込められている。外に出て「あのことはこういうことだったのか」と思えることの学習の意味が大事。外に開いていく学習イメージ。 

Q:実践記録は、主観的でいいのか、客観的なものか?

アドバイザー:記録を書く段階ですでに客観性を帯びる。過去の自分への距離感は、いろいろ。その時の自分に近い位置で書くのか、違う自分として書くこともできる。何を議論してもらいたいかによっても変わる。

Q:単元すべての授業が終わってから提案するのかどうか?

アドバイザー:あまり固く考えずに、「この実践どうですかね。」というスタンスでいいのではないか。

最後に参加者から次のような意見が寄せられた。

・p.273「こんな授業になっていませんか」からp.275「教科する授業」へ、若い人の活力を期待したい。

・現場から離れているけれど、「もやもやさせる英語の授業ができるか」考えてみたい。

・「本質、概念の追求」を意識した授業づくりを今後考えていきたい

・実践記録に基づいて自分の授業を見つめなおすようにしたい。

アドバイザーから「実践記録」を読むことを勧められて、一同やる気が出た研究会になった。