石田雄 『ふたたびの<戦前> 軍隊体験者の反省とこれから』(青灯社2015年)
2011年8月に開催された理論学習会で講師をしていただいた石田雄先生の新刊本を寄贈していただきましたのでご紹介します。
石田先生の著作の出版をお手伝いしている菊地原博さんから以下のような推薦文をいただきましたので、あわせてご紹介します(菊地原さんご自身のフェイスブックに書き込まれた文章です。今回、菊地原さんご自身の許可をいただき掲載しています)。
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今年92歳になる政治学研究者の石田雄さんとの行き来は今年で14年になる。最初は古くからの友人に石田夫妻を囲む読書会に誘われたのがきっかけだった。その友人は「むずかしい本ばっかり」と次第に意欲をなくし、「面白いよ」と私の方が入れ込むことになった。
2年ほど前から、「(社会)運動の力でどうしたら社会を変えていくことができるのか」というテーマで、現場で奮闘する友人・知人を招いた対話の場を開くようになり、読書会は終わりにした。
その間、旧知の編集者とも議論しながら、石田さんの2冊の本の出版をサポートしたが、来週(20日)に3冊目『ふたたびの戦前ーー軍隊体験者の反省とこれから』(青灯社)が刊行される。
今回はテーマが非常にはっきりしているため、前の2冊より分かりやすい内容になったと思う。それだけ政治・社会の状況が危機的になっていることの証しでもあるが、対話の場での議論も様々な形で反映されている。
本作りの過程で意識したことは、次の5点だ。
1.軍隊体験をもとに、戦争の被害ではなく、加害面を明らかにする
2.危機ばかりを叫ぶ、狼少年にならない
3.悲憤慷慨(ひどい世の中になったものだ)で終わりにしない
4.文化決定論(日本だから)ではなく、普遍論で考える
5.情勢分析で終わりにせず、具体的な踏み出し方の例を示す
石田さんは私のことを「友人」と呼ぶが、石田さんのご長男と同い年の私の方からは「友人」とはいいにくい。同い年の直木賞作家・松井今朝子に武智鉄二のことを書いた『師父の遺言』という本があるが、私にとってはもう少し複雑で、「先達」と「師」と「父」と「友人」が入り交じっているという感じだろうか。
ひとりでも多くの人に読んでもらえるとありがたいと思っている。