内容 『子どもの貧困~からだ・こころ・性~ 』
講師 金子由美子先生 さいたま市生活困窮者学習支援事業代表
日時 2017年 10月2日(月)19:00~21:00
場所 大和文化創造拠点シリウス603号室
参加者 12名
保健室という現場で、性教育や思春期の子ども達への取り組みを実践されてきた金子先生。現在は、さいたま市で生活保護または児童扶養手当を受けている子ども達に無料で学習支援を行う事業の中心で活動され、若者たちの居場所づくりに奔走されている。常に、実践の中にいる先生のお話は、若者たちの生きづらさを語るものだった。
貧困やそれに関わる複合的な困難による子ども・保護者の感情や行動に目を向け、子どもをみる時のまなざし(不登校、基礎学力、体力、塾、友達、学校行事、部活、給食、など)、家庭の問題(身支度、食事、リーガルリテラシー、識字能力、疾病、外国籍、親せき、ネグレクトなど)を、貧困状況にある子ども達への視点のポイントを具体的に挙げてくださった。学校現場で、私たち教師が子どもに出会うときは、何か問題が起こったり、学校から離脱したりと具体的な出来事から、その背景を知ることになる。その時に、複合的な視点から、分析することが具体的な手立てへの一歩になると感じた。
「人生は長い、長いステージ」という金子先生。親の離婚や再婚、シングルマザーの厳しい現実、大変な生活の中に身を置き、自分を表現できず苦しむ子ども達、子ども達との出会いと関わりを具体的な事例から語る中に、おとなになることが困難な子ども達の姿が想像された。「思春期はさなぎ」と言い、「思春期の育ちなおし」ができる社会、大人のサポートが大切だとおっしゃった。自分の力で自分をつくりだすこと、
そのために大人が見守っていくことが大事だというお話が印象的だった。
今回の学習会には、高校生や養護教諭、様々な年齢層と立場の参加があり、それぞれの立場から、どう子どもに寄り添うか、という話も出た。様々な困難を抱える子どもたちを前にしたとき、 自分に何ができるのかと考えてしまうこともあるが、見守れる・寄り添えるだけの知識と言葉を身につけ子どもたちが生きる今に寄り添える教員になりたいと改めて感じた学習会となった。
多くの事例から、子どもたちのおかれている現状の大変さを認識しました。私も一養護教諭として苦しんでいる子を見逃していないか、日々振り返りながら職務にあたっていきたいと思っています。こうして、定期的に学習会を開催している皆様に敬意を表したいです。また、参加させてください。(養護教師)
多くの経験談を聞かせていただきありがとうございました。家庭内のトラブルによって大人への不信、学校不信、人間不信にもつながるのではないかと、先生の話を聞いて思いました。家庭内に「なにか」ある子に気づき、相談できる環境をこれからも整えていきたいです。(小学校教師)
家庭が安心できる場ではない子たちのSOSを周りの大人がキャッチして救ってあげられるようにしなければと思いました。そのために、子どもたちの置かれている状況を知ること、アンテナをはって子どもと関わっていくことが大切だと感じました。貴重なお話をありがとうございました。(小学校教師)
今日はありがとうございました。大人との関係性の再構築という言葉が印象に残りました。家庭や教員と問題が発生し、子どもたちから話を聞く機会があるのですが、子どもたちがどんな風に大人を見ているのか、あまり考えずに来ていたなと思います。明日からこの視点を持って接していきたいと思います。(中学校教師)
大和市内でも性教育についてはずーっと続いていたのに、多忙化や学習内容が増えたことでなおざりにされてきていることにこれではよくないと危機感を持っています。これからの教員一人が命と性に対しての学習を深め子どもたちに生きることの素晴らしさを教えていってほしいと思います。(小学校教師)
日々向かい合っている生徒たち一人1人にできることって何だろうと考えています。『思春期はさなぎ』と伺い、「たしかに自分もそうだったな」と当時を思い出しました。私自身女子校で12年間を過ごし、今思えば、かなり偏った教育を受けてきたかもしれません。でも色々な価値観があることを知り、色々な環境で育った子どもたちがいることを知って、子どもたちと一緒にこれからも学び、成長していきたいと思っています。(中学校教師)
色々な環境で生活をしている子がたくさんいるということ、つらい状況におかれている子の現状を知ることができました。そのような環境におかれている子がどんな場所でもいい、どんな人でもいいので、「話ができる」ということがとても大切だと思いました。話をすることもとても勇気がいることだと思います。少しでもその勇気を出せる、出してもいいかなと思ってもらえる存在になりたいと思いました。ありがとうございました。(中学校教師)
子どもたちを取りまく家庭、学校の様々な問題とそれに関わる先生の実体験などもお話しいただき、とても勉強になりました。最後にお話しいただいた『さなぎ』のお話がとても印象に残りました。思春期のさなぎの子どもたちが自分で自分を見つけ飛び立っていく支えになれる存在でありたいと思いました。本日はありがとうございました。(中学校教師)
今まで自分は不幸な家庭だと思っていました。ですが、今日の金子先生のお話を聞き、自分の家庭は普通幸せなんだと気付くことができました。ボランティアをしていく中で、今日お話ででた子どもと会うかもしれません。どう接したらよいのか分からなかったら、金子先生に相談したいと思いますので、その時はどうかよろしくお願いします。(高校生)
心と体の健康に加えて、セクシャルエルスという側面からのサポートが必要というお話があり、納得しました。性化行動も初めて聞くお話で、分かって生きていることも増えてきていると理解しました。この分野をもう少し追いかけてみたいと思いました。(大学教師)
どの地域でも大なり小なりの子どもの抱えている問題があるのを再確認した次第です。先生がこの世界に踏み込みたいと思うほど、子どもたちが窮地におちいっているのをもっと切実に感じなければと思いました。本日は参加させていただきありがとうございました。(養護教師)