6月 梅原氏による講演会

  • 内容 講演会「主人公としてともに生きる実力とはー国家からのプランと市民の願いー
  • 講師 梅原利夫氏(和光大学教授)
  • 日時 6月1日 19:15~
  • 参加者 17名(講師含む)

6月の理論学習会は梅原利夫氏(和光大学)による講演会を行いました。学習指導要領の改訂が迫る中、国が求める子ども像とは何か、今後の社会に生きていくための子ども像との比較をしたいという点を出発点に講演を行うことになりました。

講演会では、学習指導要領の本来的な役割から危険性を知ることで背景にあるものについて触れました。そこを基本としながら、本当に子どもたちに身に着けさせたい学力とは何か、その先には実力があるということ、人間らしさという言葉の意味(自己意識・類的本質)についてお話がありました。また、5月の文献講読会でも話題にあがった、社会諸活動と教育活動との密接だが、従属するものではない関係の中で揺れ動く2つの人間像(人間復興・いびつなグローバル化受容人間)についても比較することができました。

講演会の後には、梅原先生自身による、参加者の質問・意見を反映させた課題整理があり、その後さらに意見を話し合うという2段階形式の学習会になりました。一度課題を整理し、さらに考えることができました。

話し合いでは、人間らしさを構築するのは関係性の中でこそだということは、そこには場合によって権力が左右してしまうのではないか、という意見が出ました。教師が無意識に行っている序列化・排除が子どもたちの関係を築いているのではないかと懸念される声が上がりました。また、教師も子どもも親も矛盾した中で生きていかなければならないという現実があること、”そこにとりこまれながらもそれをよしとしない自分がいること”が教育の希望であるというお話がありました。社会に疑問を抱きながらも、そこで生活し、生きているという現実が常に私たちを取り巻いている中で、自分がしていることにじつは矛盾が存在することにも気づかないときに更なる矛盾が生まれるという危険性。どこか原点に帰るような、新しい視点を頂いたようなお話でした。最後には、この矛盾についてマジョリティ側の視点ではなく、マイノリティ側の視点で考えたとき、その矛盾に気づくこともできない現実があること、権力の中で立ち上がることもその方法さえも知らずに生きている人たちがいることについて話題にあがりました。マイノリティ側の現実と講演会のお話を照らし合わせて、目指す教育を考えていく必要を感じました。

様々な視点をいただけた講演会でした。梅原先生の前向きで真摯なお人柄により、より深い話し合いになったと思います。

 

★参加者の感想★

・教育における抽象的な概念と現場の苦しみや子どもたちのおかれている大変さと位置づけることが、なかなか難しかったです。でも、やはりできることは何か?できないことは何か?の中でできることを探していきたいです。(小学校教諭)

・教師として授業をしたり、子どもたちと接したりする中で、“2つの人間像”を意識したい、考えたいと思いました。学習指導要領をもっと勉強してすり抜けながらも授業(固有の教育活動)ができるようにしなければならないと思いました。学習指導要領の内容をもう一度見てみようと思います。ありがとうございました。(中学校教諭)

・子どもと大人/生徒と先生/の構造を考えた際に後者には権力があると思う。その中で、子どもや生徒は声を発したり行動したりするのは、知識や仲間がいなければならないと思う。そのために知識や仲間をどのように、だれのために子どもたちにつけるのか考えて伝えていかないといけないと思った。(すたんどばいみー)

・批判的競争⇔固有の教育活動

親も先生も子どももそれぞれの中で2つにひきさかれていると思う。何をどこにとるのか、最終的には子どもが議論できるようにしないといけないのかなと思った。(Ed.ベンチャー事務局)

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