【報告】4/27学習会

理論学習会報告

日時:2024年4月27日(土) 13:30~15:30
場所:シリウス603
テーマ:「戦後の学力観における学校現場の限界」
参加者:8名

 今回は、戦後から現在までの「学力」の変遷に焦点をあて、時代ごとにどのような「学力」が求められてきたのかについて、整理しました。経済界が要求する人材育成と学校で子どもたちに求める学力観がつながっていて、時代と共にどんどん色濃くなってきていることが分かります。
 戦後すぐ1947年には、経験主義の考え方に影響を受けた児童中心の教育観があり、まだ教科書がなく、教師が自分たちの裁量で教材を見つけてくるなど、各地域ならではの教育実践が数多くある時代でした。
 その後、1958年以降、知識や技能の系統を重視する系統主義に変わっていきます。高度経済成長期の日本では、程度良質で均質な労働力の育成が求められ、経済成長を支える人材育成が進められます。
 1980年以降はゆとり教育、1989年以降は個性重視と生きる力がキーワードとなり、社会の変化に対応していける「自己教育力の育成」への転換が謳われました。この頃、高度経済成長期が終わり、日本と同じ製品を外国でも作れるようになった結果、新しく高度で付加価値のある製品を生み出す必要が出てきました。
 1998年ゆとり教育の拡大によって学力低下や学力格差の拡大が課題となり、脱ゆとり教育へ転換していきます。確かな学力や豊かな人間性、健康・体力を柱とする「生きる力」の育成に重点が置かれます。
 現在は、予測困難な時代の中でも、自ら課題を見つけ、自ら学び、考え、判断して行動していく力が求められています。変化の激しい社会で生き抜く力を子どもたちに身につけようと、プログラミングや外国語など、さまざまなことを教えようしています。しかし、一方で不登校児童数は増加しており、その中でも無気力や不安から学校に来れない児童が半数以上いることが分かります。
 また、都市部の学校に行くほど、クレーム対策としてクラス間の格差を減らそうと、教材や指導の仕方をそろえようという動きがあり、教師の裁量でのびのびと指導できる幅が狭くなっているところにも、学校の窮屈さを感じます。
 子どもたちが安心して学べる学校をつくるにはどうすればよいのか、引き続き、次回以降の学習会でも考えていきたいと思います。