「きらり」訪問の報告

スタディツアー報告

8月9日に、今年度のスタディツアーを開催しました。今年度は、平塚市にある県立子ども自立生活支援センター「きらり」を訪問しました。まずは、センター職員の方から「きらり」について説明を受けました。きらりは、2017年4月に、乳児院「みらい」、福祉型障害児入所施設「ひばり」、児童心理治療施設「ぎんが」の3つが一体となった複合施設として開所されました。その背景には、児童虐待相談件数の増加とその後の子どもへの心のケアの必要性、知的障がいや発達障がいなどを有する子どもたちとその家族への専門的ケアの必要性、児童福祉施設に入所する情緒・行動上に著しい問題がある子どもたちへの専門的な支援の必要性が高まるなど、既存の児童福祉施設の枠組みでは対応が困難な状況がありました。それに対し、3施設が一体的に運営し、切れ目のない支援を行うこと目的がありました。また、それぞれの施設内の様子、子どもたちの生活の様子などについても、お話しいただきました。

各施設の利用状況は「みらい」はほぼ定員いっぱいまで埋まっています。「ひばり」と「ぎんが」は年齢層が上がるので、子ども同士の組み合わせの難しさがあり、利用希望のある子ども・家庭はたくさんいるのですが、定員いっぱいまで受け入れをできない状況もあるそうです。

続いて、併設する金目小・中学校五領ヶ台分校の教頭先生から、学校の説明と校内を案内していただきました。五領ヶ台分校は「ぎんが」に入所する子ども達が登校する学校です。「きらり」にあわせて開校されたので、教室の配置・設定など、一から学校を作る難しさがあったそうです。

分校では、子どもたちの特性を配慮し、学習上または生活上の困難・改善・克服するための自立活動、学び治しが必要な子どもに対する学力の獲得、読み書き障がいの子の読み書きの力の獲得など、教育課程に特徴が見られます。一方で、施設内ではありますが屋外を歩いて登校したり、修学旅行を実施するなど様々な学校行事を開催し、学校のかたちを作り出そうとする先生方の工夫が見られました。

「きらり」の支援を受けるべき子どもや家族というのは、潜在しているであろうことは、日頃接する子どもたちの様子を見れば明白です。しかし、なかなかその支援へと結びつけられていないのが、現状です。「きらり」の存在を私たちが認識し、周知していくことが必要です。もう一つの課題としては、子どもは家族の中で育つべきという考えが、私たちの根底にあるからではないかということです。そういった中で、声を上げることができない家族がいるのではないでしょうか。時には、家族と離れることが、子どもにとっても、家族にとっても、救われることがあると思います。社会全体で子どもたちを育てていくんだという方向へ、私たちが考え方を転換していかなければいけないのではと思いました。