11月24日に、今年度のスタディツアーを実施しました。今年度は、南足柄市にある自立援助ホーム「みずきの家」への訪問です。自立援助ホームとは、様々な要因により、保護者の支援を得られず、自立を強いられた中学校卒業から成人前までの年齢の子どもたちが、支援者と共同生活をしながら、学習を行ったり、就職し収入を得て、自立した生活が送られるように、準備を行う施設であり、「みずきの家」は女子対象のホームです。
10月に開催した事前学習会では、「みずきの家」を運営する「子どもセンターてんぽ」が、同じく運営する子どもシェルターと比較しながら、説明をしていただきました。利用者の多くは、保護者からの虐待を受けており、保護者からの避難や就職の手続きのため、住民票の扱いなど、行政に関わる対応も求められるとのことでした。子どもを助けていくためには、支援だけでなく、法的な対応・知識も必要であるとお話を聞いて実感しました。
ツアー当日は、まず中山ホーム長から具体的な事例に基づいたお話をしていただきました。利用者のこれまで受けた経験が、生活や就労に影響していること、また、退所後も結婚、出産、育児など女性ゆえの困難さを抱え、その拠り所がホーム以外になかなか存在しない状況を知りました。その後、施設内を見学。雄大な足柄の山々が目の前に広がるリビングや共用施設、プライベートが守られた各自の部屋、いずれもきれいに保たれた環境で、それぞれが自立に向かい努力をしながら、ときに支え合いながら生活する利用者の様子が想像できました。
このような施設は、神奈川県内に男女別に1か所しかなく、その定員は各6名となっています。(政令指定都市は除く。)ホームを利用すべき子どもたちはもっと多く存在するはずで、決してこの設置状況は、充分なものではないはずです。しかし、子どもたちの潜在するニーズを拾いきれていないことが、少ない設置数やホームの財政面にも影響を与えてしまっています。私たちそれぞれが、子どもたちと直接接する場で、家族という枠に囚われ、もがき苦しんでいる子どもたちの存在に気づくこと、そしてその子にとって、本当に適切な支援につなげることが大事であると感じました。
決して充分とは言えない財政状況の中でも、「みずきの家」は採れ立ての野菜を届けてくれる農家の方など地域の方々に支えられ、運営されています。自らの状況を変化させようとしている子、それを支える存在に社会の目がより向いて、そこに支援の手がより注がれようになる、そんな方向に社会を変えていかなくてはならないと実感した今年度のスタディツアーでした。
参加者:5名