ツアー報告 子ども食堂の意義

 まず何よりも感じたのは、子どもたちの元気の良さ。ただ元気なだけではなく、小学校中学年の少し年上のお兄さんお姉さんから、よちよち歩きの赤ちゃんまでが、一緒に泣き出す子もなくともに食事をとり、遊べていること。一方で、一人本読みをして母親の帰りを待つ男の子、彼のそういう過ごし方も周りの子が受け入れている。学校という同学年同士の環境とは違う、異年齢による子どもたちの関係性が作られていると思いました。

 「子ども」食堂ではあるが、子どもたちだけでなく、お母さん同士、調理されている方々、詩吟の先生、地域のおばちゃん、突然やってきた学校の先生、そしてスタッフの方々、いろいろな立場や年代の人間が集まっている。子ども食堂がある木曜日以外は、家で一人で親の帰りを待っているのかもしれない。でも、毎週1日は、みんなで食事をして笑顔になれる場、学校とは違う勉強ができる場があるのは、とても大切であると思いました。親や先生以外の大人と出会う機会というのは、今の時代、なかなかありません。その出会いは、「今」も、もちろん大事ですが、少し大きくなったとき、何か困ったことがあったとき、親以外に話ができる大人がいること、戻ってこられる場所があるというのは、今後子どもたちにとって大きな意味を持つだろうし、そんな場所になってほしいと思いました。

 今回、子どもたちの生活を「食」の視点から見直すということでツアーを企画しました。「ご飯ちゃんと食べている?」というと、食べているか、食べていないかということに目が行きがちです。しかし、子ども食堂を訪問してみて、「何を」「誰と」「いつ」「どこで」「どんな風に」食べているかが、子どもたちに大きな影響を与えるということを、子どもたちの姿・笑顔を見て、参加者は実感しました。

 子ども食堂には、食の提供だけでなく、居場所づくりという側面も求められています。今、そしてこれから先も生活の基盤となる「地域」における居場所と考えると、それは今自分が「安心していられる」居場所であると同時に、何かあったときにそこに「立ち戻れる」居場所にならなければならないと感じました。それは、子どもたちだけに必要なものではありません。しんちゃんハウスでは、子ども食堂だけでなく、高齢者や障がい者を対象とした活動まで広がりを見せていて、地域で支えるという一つのモデルを示していました。

参加者感想より抜粋

・新しい発見ばかりでした。子ども食堂というと、暗いイメージがありましたが、今回、実際に足を運んでみると違っていました。

 

・誰にとっても使いやすい場所でアットホームさを感じた。子どもたちが施設に入ればみんなで「おかえり」と声をかけ、誕生日を月末にお祝いすることや、一人ひとりにかごを渡し木曜日には整理整頓するなど、感心に思うことがあった。私が、活動している場所は自分たちの団体の他にも利用者がいるため、一部を借りて教材などを置けられないが、ずっと自分たちの好きに使える場所があることは、いつか私も目指したいと感じた。

 

・普段の家庭での食事を想像してみると、限られた関係の中で何かしらのストレスを親子ともに抱く部分があるのではないかと思います。だからこそ、子ども食堂という大人の目が多くあり、人が互いを認め合い補い合える安心感は、子育て疲れを持つであろう親にとっても、また子どもは背伸びをしながら褒められることで心地よい場なのだと思いました。

 

事前学習会   9月21日(木)19:30~21:00 シリウス603号室

        参加者 10名

スタディツアー 10月5日(木)、12日(木)、26日(木)、11月2日(木) 17:30~19:00

        NPO法人地域家族しんちゃんハウス子ども食堂「はぐく」

        参加者のべ9名

事後学習会   11月9日(木) 19;30~21:00 シリウス603号室

        参加者3名