理事推薦:『新・戦争のつくり方』

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文 りぼん・ぷろじぇくと 絵 井上ヤスミチ 原案・監修 りぼん山本 『新・戦争のつくりかた』(株式会社マガジンハウス2014年)

 「命を大切にしたい」それは誰もの願い。そんな願いの声をかき消すかのように、戦争に向かおうとする時、国はどんな手段で国家を動かしていくのか。その時、わたしたちの社会はどんな状態になるのか。
 本書は、子どもでも十分理解できるような、短い言葉と絵で、それを分かりやすく、鋭く語っている。
 「あなたは戦争がどういうものか知っていますか?」という書き出しで始まるこの絵本。それぞれのページには、お金、教育、安全保障、報道の話と一見ばらばらな話が並んでいる。しかし、普段、わたしたちが、それぞれ違う出来事として、ばらばらに受け取っていることは、すべて政治につながっている。見えない大きな力が、わたしたちの暮らしをどこへ連れていこうとしているのか、「人の命が世の中で一番大切」と言い続けるためには、自分たちの未来を他の誰かにゆだねないことだ。
 絵本の裏付けとして、後半には三つの資料が添えられている。
 まず、世界地図。そこには、1991年からの自衛隊の海外派遣地域が示されている。すごい活動量だ。
 次に1947年5月~2014年7月の年表。この絵本のエピソードに関わる法律や条例、政府の方針の説明がついている。時の総理大臣や、国内外の出来事も掲載され、法律がつくられた背景を考えることもできる。
 そして、法律集。絵本を読んで「本当かな」「おおげさじゃないか」と思ったときに開いてみると、その膨大な量の法律に「こんなきまりがもうできていたのか」と驚き、政府が着々と準備を進めていることが、ひしひしと感じられる。
 この絵本がつくられた10年前から現在にかけて、当時はまだ法案だったものが、法律として次々に成立している。絵本に描かれていることが、今を予言していたかのように現実味を帯び始めている。今、わたしたちがどこにいるのか、これからどうしたいのか、考えていくために、読みたい一冊である。