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【報告】第1~3回授業研究会 1月から開催している新年度の授業研究会の報告です。報告が遅れてしまいましたので、第1回から第3回までをまとめて報告します。 2021年度の授業研究会は、具体的な授業実践を提案してもらい、それについて、石井先生に指導、助言して頂くことにした。そこで、清水先生の助言により、議論のベース作りとして、石井先生の文献購読が必要だということで、各月1回、3回に渡って文献購読会を実施することにした。 第1回 1月26日(火)zoom 20:00~21:45 参加人数13人 石井英真(2020)『授業づくりの深め方-「よい授業」をデザインするための5つのツボ-』ミネルヴァ書房 より「第Ⅰ部 授業の本質とロマンの追求」について、特に ・授業づくりのフレームと5つのツボ ・未来社会をよりよく生きるための新しい学力と学びの形 について報告・提案がなされた。その後、「授業の人間性、授業の芸術性」とは、具体的にどういうことか、「教師の学びは、模倣と省察の過程で理論知と実践知を統一する研究的な学びとして遂行されなければ成らない」とは、具体的にはどういうことか、「ドラマとしての授業」とは、何かといった点について議論・検討が行われた。 第2回 2月26日(金)zoom 20:00~21:45 参加人数12人 提案内容 第Ⅱ部 第3章 授業づくりのツボ①「目的、目標」を明確化する 第4章 授業づくりのツボ②「教材、学習課題」をデザインする 第5章 授業づくりのツボ③「学習の流れと場の構造」を組織化する 第6章 授業づくりのツボ④「技とテクノロジー」で巧みに働きかける 第7章 授業づくりのツボ⑤「評価」を指導や学習にいかす 内容の濃い章が多いので2章ずつ質疑をとりながらすすめた。 第4章で、アドバイザーから章全体を俯瞰して眺めてみる読み方をすることが大事であるという助言がなされ、教科書をどう使うかの前に、まず「教材研究とは、どういうことか、教材解釈と教材開発の方法」等の大事なポイントを読み深める必要を知ることとなった。 第5章では、参加者から「教科する」とはどういうことか、「真に学びを深めていく民主的な関係」「教師の指導性」について 第6章では、「本物の問い」とは何か 第7章では、「パフォーマンス評価」とは何か 以上の質問を受けてアドバイザーから助言指導があり、それに基づいて話し合われた。 最後に民主的な関係の中で学び合うということが昨今の学校現場には、失われているという意見が出され、アドバイザーから地域性という観点から、競争をより強化する環境の問題、地方と都会の関係で地方が社会構造の中で従順にならざるをえないという指摘がなされた。社会構造から子どもたちの姿を見ることの大切さを知ることができた。 第3回 3月24日(水)Zoom 20:00~21:45 参加人数 8名 提案内容 第Ⅲ部 5つのツボを生かして授業作りを深める 第8章 「教科する」授業を創る手立て 第9章 授業の構想力を磨く構内研修のデザイン 主な提案内容は、レポート参照 主な質問事項とアドバイザーからの助言は以下のとおり。 Q:創発的コミュニケーションとは? アドバイザー:正しいことを解釈して終わるのではなく、「もやもやして終わる」ような、しりすぼみにならないコミュニケーション。そもそも、コミュニケーションとは、そういうものだが、「あるべきコミュニケーション」が強調されすぎてきたので、あえてこういう言葉を創造したのかもしれない。 そして「もやもやして終わる」授業について以下のような議論があった。 ・もやもやして終わる授業は、道徳の授業で経験。そのほうが面白かった記憶がある。 アドバイザー:授業で学習したことをもう1回現実場面にもどすと、現実はそうすっきり説明できるとは限らない。そういう「もやもや感」が大事なのではないか。 Q:もやもやする授業は、学校生活の場面に戻って見つけるのか学校外で見つけるのか? ・理解するだけだと教室内に閉じ込められている。外に出て「あのことはこういうことだったのか」と思えることの学習の意味が大事。外に開いていく学習イメージ。 Q:実践記録は、主観的でいいのか、客観的なものか? アドバイザー:記録を書く段階ですでに客観性を帯びる。過去の自分への距離感は、いろいろ。その時の自分に近い位置で書くのか、違う自分として書くこともできる。何を議論してもらいたいかによっても変わる。 Q:単元すべての授業が終わってから提案するのかどうか? アドバイザー:あまり固く考えずに、「この実践どうですかね。」というスタンスでいいのではないか。 最後に参加者から次のような意見が寄せられた。 ・p.273「こんな授業になっていませんか」からp.275「教科する授業」へ、若い人の活力を期待したい。 ・現場から離れているけれど、「もやもやさせる英語の授業ができるか」考えてみたい。 ・「本質、概念の追求」を意識した授業づくりを今後考えていきたい ・実践記録に基づいて自分の授業を見つめなおすようにしたい。 アドバイザーから「実践記録」を読むことを勧められて、一同やる気が出た研究会になった。
学校支援活動
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11-12月子どもたちに経験を 11-12月 子どもたちに経験を~特別授業の開催~ 前回ご報告したとおり、エステレージャ教室に通ってくる子どもたちは、多くの場合学校で様々な困難に直面しています。教室に通う中でスタッフとの関係性が出来上がってくると、だんだんとその困難を打ち明けてくれるようになります。そうした小さな声に接しながら、かれらに寄り添っていくことがこの教室の大きな役割であると考えます。 子どもたちの声を聴いていく中で浮かび上がってきたのは、子どもたち自身が経験していること、感じたこと、考えたことを、自らの言葉で表現しようとするときの難しさです。宿題の作文だけではなく、日常の学校生活の中の何気ない授業の「振り返り(記録)」ですら、子どもたちにとってはとても高いハードルになっていることが分かりました。何より、様々な「経験」そのものが少ないのではないか・・・ましてやコロナ禍となって、社会の様々な側面で分断化や個別化が進む中、子どもたちが集団で学ぶ機会も少なくなってきているのではないかと考えられます。 エステレージャ教室ではこうした懸念を少しでも軽減し、子どもたちに経験しながら学ぶ機会を、友達と同じ経験をしながら学び合う関係性を提供したいと考えました。そこで以下のような特別授業を企画し、実践してみたのです。 【特別授業 コロナウイルス】 コロナウィルスについて、学校ではコロナの話や授業があまりされていないことから、今回のタイトルの授業を行いました。黒板には、子どもたちから出たコロナに対する、予防、感染経路、コロナの名前の由来、症状など、ウェビングマップで考えをカテゴリー分けをしました。授業の途中で学校でのコロナ対応の話題になり、中学校や小学校での情報交換をする姿が見られました。難しい言葉が話題に出た時には、中学生が小学生に対して分かりやすく説明する場面も見られました。日本人に対してでさえ、正しい情報が発信されていなかったこともあり、外国人の子どもたちにはより正確な情報が伝わるよう注意しなければならないことが分かりました。 【特別授業 紙飛行機】 子どもたち同士がお互いに教え合ったり、考えを共有したりすることが少ないため、みんなで紙飛行機を作り、自然と交流ができるようにとねらいをもって行いました。山折りや谷折りなど、折り方を言葉でも説明することで、子どもたちは「なにそれわからない」とはてなマークを頭に浮かべていました。そこで小学生の高学年や中学生が分かりやすい日本語を使って説明をしていました。勉強が苦手な子どもたちも、この日は身を乗り出して話していた姿が印象的でした。エステレージャで見られるこうした姿が、かれらの通う学校でも見られるのでしょうか。学校ではかれらの周りにいるのはほとんどが日本人です。そうした中で、外国人であるかれらが、自分自身の思いや考えを主張できるよう、そのための練習の場として、このエステレージャハッピー教室があると考えています。 【集団学習 静電気】 この特別授業をすることについては以前から予告していたので、子どもたちは「何やるの?」と興味をもっていましたが、「理科をやるよ」と言うと、「理科やだー、やりたくない」や「もう習ったよ」など否定的でした。しかし、実際授業を始めてみると、子どもたちは楽しそうで、「理科やっぱり楽しい」や「ほかに面白い実験ないの?」と食い付いていて理科のイメージが変わったようでした。まずは、学習というよりも体験的にいろいろな事をやっていき、学習に対する苦手を減らしていき、興味をもったら学習と繋げていく方が学びに繋がりやすいと思いました。 【特別授業 凧あげ】 年末になり、凧づくりと凧揚げの特別授業をしました。理由としては、お正月が近い事と経験したことがないのではと感じたからです。実際、凧揚げをしたことある子どもはいませんでした。今日参加したのは、小学生6人で学年も1年生〜6年生までいましたが、みんな外に出て凧揚げをしている様子はとても楽しそうでした。また、幅広い学年で楽しめたのは、それだけその経験をしていないからではないかと感じました。今後も、遊びと学習を関連させながら、体験したことないことを取り入れていければと思います。今回の反省点としては、実際に凧を揚げた経験を踏まえて、なぜ凧が揚がるのかということを高学年の子どもたちには考えさせても良かったのではないかということがあります。経験を学びにつなげていく工夫がもう少し必要だったと考えています。 時間上の制約などもあり、決して十分とは言えませんが、これからも機会をつくって上記のような取り組みを進めていければと考えています。(BT & NS)
外国人支援・こども支援活動
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No.43総会報告 新年度開始! Ed.ベンだよりNo.43が発行されました。 コロナ禍とそれに伴う様々な事態がはじまってあっという間に1年が過ぎてしまいました。人間の目には見えない小さなツブツブに世界中が振り回され続けていることを1年前の私たちは想像できたでしょうか。ワクチンの接種が始まったとはいえ、まだまだ終息への見通しが完全に立っているわけではありません。それでも私たちは前に進んでいかなければなりません。格差と分断がますます進む中ではありますが、そうした時代だからこそ、より一層弱い立場にある子どもたちにしっかりと寄り添っていきたいと思います。2021年度もどうぞよろしくお願いいたします。 今回のEd.ベンだよりは、2月23日(火)に開催されたEd.ベンチャー総会の報告です。 Ed.ベンだよりNo.43総会報告ダウンロード 総会における武内代表の挨拶の他、総会後開催された「基金の会報告会」の報告も掲載されています。 また4月から6月前半におけるEd.ベンチャーの学習会の案内もございます。様々な学習会が開催されており、オンラインでの参加も可能ですので、ご興味に合わせてぜひご参加いただければと思います。もちろん入会も随時受け付けております!
Ed.ベンだよりPDF
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1月から開催している新年度の授業研究会の報告です。報告が遅れてしまいましたので、第1回から第3回までをまとめて報告します。 2021年度の授業研究会は、具体的な授業実践を提案してもらい、それについて、石井先生に指導、助言して頂くことにした。そこで、清水先生の助言により、議論のベース作りとして、石井先生の文献購読が必要だということで、各月1回、3回に渡って文献購読会を実施することにした。 第1回 1月26日(火)zoom 20:00~21:45 参加人数13人 石井英真(2020)『授業づくりの深め方-「よい授業」をデザインするための5つのツボ-』ミネルヴァ書房 より「第Ⅰ部 授業の本質とロマンの追求」について、特に ・授業づくりのフレームと5つのツボ ・未来社会をよりよく生きるための新しい学力と学びの形 について報告・提案がなされた。その後、「授業の人間性、授業の芸術性」とは、具体的にどういうことか、「教師の学びは、模倣と省察の過程で理論知と実践知を統一する研究的な学びとして遂行されなければ成らない」とは、具体的にはどういうことか、「ドラマとしての授業」とは、何かといった点について議論・検討が行われた。 第2回 2月26日(金)zoom 20:00~21:45 参加人数12人 提案内容 第Ⅱ部 第3章 授業づくりのツボ①「目的、目標」を明確化する 第4章 授業づくりのツボ②「教材、学習課題」をデザインする 第5章 授業づくりのツボ③「学習の流れと場の構造」を組織化する 第6章 授業づくりのツボ④「技とテクノロジー」で巧みに働きかける 第7章 授業づくりのツボ⑤「評価」を指導や学習にいかす 内容の濃い章が多いので2章ずつ質疑をとりながらすすめた。 第4章で、アドバイザーから章全体を俯瞰して眺めてみる読み方をすることが大事であるという助言がなされ、教科書をどう使うかの前に、まず「教材研究とは、どういうことか、教材解釈と教材開発の方法」等の大事なポイントを読み深める必要を知ることとなった。 第5章では、参加者から「教科する」とはどういうことか、「真に学びを深めていく民主的な関係」「教師の指導性」について 第6章では、「本物の問い」とは何か 第7章では、「パフォーマンス評価」とは何か 以上の質問を受けてアドバイザーから助言指導があり、それに基づいて話し合われた。 最後に民主的な関係の中で学び合うということが昨今の学校現場には、失われているという意見が出され、アドバイザーから地域性という観点から、競争をより強化する環境の問題、地方と都会の関係で地方が社会構造の中で従順にならざるをえないという指摘がなされた。社会構造から子どもたちの姿を見ることの大切さを知ることができた。 第3回 3月24日(水)Zoom 20:00~21:45 参加人数 8名 提案内容 第Ⅲ部 5つのツボを生かして授業作りを深める 第8章 「教科する」授業を創る手立て 第9章 授業の構想力を磨く構内研修のデザイン 主な提案内容は、レポート参照 主な質問事項とアドバイザーからの助言は以下のとおり。 Q:創発的コミュニケーションとは? アドバイザー:正しいことを解釈して終わるのではなく、「もやもやして終わる」ような、しりすぼみにならないコミュニケーション。そもそも、コミュニケーションとは、そういうものだが、「あるべきコミュニケーション」が強調されすぎてきたので、あえてこういう言葉を創造したのかもしれない。 そして「もやもやして終わる」授業について以下のような議論があった。 ・もやもやして終わる授業は、道徳の授業で経験。そのほうが面白かった記憶がある。 アドバイザー:授業で学習したことをもう1回現実場面にもどすと、現実はそうすっきり説明できるとは限らない。そういう「もやもや感」が大事なのではないか。 Q:もやもやする授業は、学校生活の場面に戻って見つけるのか学校外で見つけるのか? ・理解するだけだと教室内に閉じ込められている。外に出て「あのことはこういうことだったのか」と思えることの学習の意味が大事。外に開いていく学習イメージ。 Q:実践記録は、主観的でいいのか、客観的なものか? アドバイザー:記録を書く段階ですでに客観性を帯びる。過去の自分への距離感は、いろいろ。その時の自分に近い位置で書くのか、違う自分として書くこともできる。何を議論してもらいたいかによっても変わる。 Q:単元すべての授業が終わってから提案するのかどうか? アドバイザー:あまり固く考えずに、「この実践どうですかね。」というスタンスでいいのではないか。 最後に参加者から次のような意見が寄せられた。 ・p.273「こんな授業になっていませんか」からp.275「教科する授業」へ、若い人の活力を期待したい。 ・現場から離れているけれど、「もやもやさせる英語の授業ができるか」考えてみたい。 ・「本質、概念の追求」を意識した授業づくりを今後考えていきたい ・実践記録に基づいて自分の授業を見つめなおすようにしたい。 アドバイザーから「実践記録」を読むことを勧められて、一同やる気が出た研究会になった。
2021年04月07日 授業研究会 【報告】第1~3回授業研究会
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2021年04月02日 Ed.ベン便り No.43総会報告 新年度開始!
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2021年03月31日 お薦めの書籍・文献 わたしは分断を許さない
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11-12月 子どもたちに経験を~特別授業の開催~ 前回ご報告したとおり、エステレージャ教室に通ってくる子どもたちは、多くの場合学校で様々な困難に直面しています。教室に通う中でスタッフとの関係性が出来上がってくると、だんだんとその困難を打ち明けてくれるようになります。そうした小さな声に接しながら、かれらに寄り添っていくことがこの教室の大きな役割であると考えます。 子どもたちの声を聴いていく中で浮かび上がってきたのは、子どもたち自身が経験していること、感じたこと、考えたことを、自らの言葉で表現しようとするときの難しさです。宿題の作文だけではなく、日常の学校生活の中の何気ない授業の「振り返り(記録)」ですら、子どもたちにとってはとても高いハードルになっていることが分かりました。何より、様々な「経験」そのものが少ないのではないか・・・ましてやコロナ禍となって、社会の様々な側面で分断化や個別化が進む中、子どもたちが集団で学ぶ機会も少なくなってきているのではないかと考えられます。 エステレージャ教室ではこうした懸念を少しでも軽減し、子どもたちに経験しながら学ぶ機会を、友達と同じ経験をしながら学び合う関係性を提供したいと考えました。そこで以下のような特別授業を企画し、実践してみたのです。 【特別授業 コロナウイルス】 コロナウィルスについて、学校ではコロナの話や授業があまりされていないことから、今回のタイトルの授業を行いました。黒板には、子どもたちから出たコロナに対する、予防、感染経路、コロナの名前の由来、症状など、ウェビングマップで考えをカテゴリー分けをしました。授業の途中で学校でのコロナ対応の話題になり、中学校や小学校での情報交換をする姿が見られました。難しい言葉が話題に出た時には、中学生が小学生に対して分かりやすく説明する場面も見られました。日本人に対してでさえ、正しい情報が発信されていなかったこともあり、外国人の子どもたちにはより正確な情報が伝わるよう注意しなければならないことが分かりました。 【特別授業 紙飛行機】 子どもたち同士がお互いに教え合ったり、考えを共有したりすることが少ないため、みんなで紙飛行機を作り、自然と交流ができるようにとねらいをもって行いました。山折りや谷折りなど、折り方を言葉でも説明することで、子どもたちは「なにそれわからない」とはてなマークを頭に浮かべていました。そこで小学生の高学年や中学生が分かりやすい日本語を使って説明をしていました。勉強が苦手な子どもたちも、この日は身を乗り出して話していた姿が印象的でした。エステレージャで見られるこうした姿が、かれらの通う学校でも見られるのでしょうか。学校ではかれらの周りにいるのはほとんどが日本人です。そうした中で、外国人であるかれらが、自分自身の思いや考えを主張できるよう、そのための練習の場として、このエステレージャハッピー教室があると考えています。 【集団学習 静電気】 この特別授業をすることについては以前から予告していたので、子どもたちは「何やるの?」と興味をもっていましたが、「理科をやるよ」と言うと、「理科やだー、やりたくない」や「もう習ったよ」など否定的でした。しかし、実際授業を始めてみると、子どもたちは楽しそうで、「理科やっぱり楽しい」や「ほかに面白い実験ないの?」と食い付いていて理科のイメージが変わったようでした。まずは、学習というよりも体験的にいろいろな事をやっていき、学習に対する苦手を減らしていき、興味をもったら学習と繋げていく方が学びに繋がりやすいと思いました。 【特別授業 凧あげ】 年末になり、凧づくりと凧揚げの特別授業をしました。理由としては、お正月が近い事と経験したことがないのではと感じたからです。実際、凧揚げをしたことある子どもはいませんでした。今日参加したのは、小学生6人で学年も1年生〜6年生までいましたが、みんな外に出て凧揚げをしている様子はとても楽しそうでした。また、幅広い学年で楽しめたのは、それだけその経験をしていないからではないかと感じました。今後も、遊びと学習を関連させながら、体験したことないことを取り入れていければと思います。今回の反省点としては、実際に凧を揚げた経験を踏まえて、なぜ凧が揚がるのかということを高学年の子どもたちには考えさせても良かったのではないかということがあります。経験を学びにつなげていく工夫がもう少し必要だったと考えています。 時間上の制約などもあり、決して十分とは言えませんが、これからも機会をつくって上記のような取り組みを進めていければと考えています。(BT & NS)
2021年03月18日 子どもの居場所・学習教室 11-12月子どもたちに経験を
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9-10月 特別授業に向けて エステレージャ・ハッピー教室の報告が滞っておりました。申し訳ありません。 緊急事態宣言の解除、そして再宣言と、コロナをめぐる状況は相変わらずではありますが、その間、エステレージャ・ハッピー教室は活動を続けておりました。 今回は昨年の9月以降に取り組みの始まった特別授業についてご報告しようと思いますが、まずはその取り組みをやってみようと考えるようになったきっかけからご紹介します。 子どもたちの勉強を支援を続けていくと、次第に打ち解けて、やがてかれらが困っていることを打ち明けてくれることがあります。その中で少なくないのが「作文」に関する悩みです。「作文」なんて、簡単じゃん。と、思うのは日本人だからです。いや、日本人でも「作文?・・・ちょっと待てよ・・・」と考え込む人も、もしかしたら少なくないかもしれません。「作文」というのは簡単に見えて、実は結構難しい作業なのです。何について書こうか、分量はどうか、どういう筋道を立てればよいか、表現はどうすればいいか、漢字は間違っていないか、そのような「正解」のない一連の作業を一人で考えて一つの作文を完成させるのは、結構な「力」が必要です。ましてや、外国にルーツを持つ子どもにとって、超えなければならないハードルの高さは、日本人が考えているよりもはるかに高いと考えられます。 ある日、小学校3年生のSさんが「作文を教えてほしい。(学校の)先生に『これ(Sさんが書いた作文)は小学校1年生の文だから』って怒られて『やり直ししてきて』って言われた。でも、どこを直せばいいのかわからない。」と言ってきました。Sさんは、幼少の頃からずっと日本に住んでおり、日常生活における日本語での会話は問題なくできています。スタッフとの会話も恐らく学校での友達や先生との会話も日本語で問題なく通じています。しかし、いざ、自分の思っていることを具体的に文字として書いたり、文章として伝えることは難しいようで、文章を見てみると確かに、小学校1年生の文章と捉えられてしまうかもしれません。だからと言って、まったく日本語の文章が書けないわけではありません。そこで、作文としてどんなことを書きたいのか、一緒に考えて文章を組み立てなおしてみました。するとそれだけで、同じことを言おうとしていても全く異なる文章になりました。 このような困難は作文に限らず、体育の授業で作成する振り返りの記録でも困難を抱えているようです。授業の振り返り記録であってもSさんにとっては高い壁なのです。Sさんはいつも「1年生の文」にならないようにしないといけない、だけど、求められているような文章や記録が書けないと、悩んでいるようなのです。やはりこのことについても、作文の時と同じように丁寧に聞き取りをすることで、彼女の文章に具体性が生まれました。 このような困難が生まれる要因は、日常生活における日本語ができるが故に、学校では外国人の子ども特有の困難が見落とされてしまっているところにあると思います。さらには、「楽しかった」「つまらなかった」というある感想などについて、なぜそのように思ったのか、感じたのかということを具体的に問われる機会に乏しいためではないかと思います。それだけに、週1回ではあるものの、このエステレージャ教室でだけでも、かれらの話を聞き、かれらの抱える困難を認め、学校で困っていること、うまくいかないことを吐き出したりする場にしていくとともに、「楽しかった。」などの一言で感想などが終わらないように、どうして?、なんで?など問うことをしていきたいと思うのです。そうすることで、作文を書くときも自分で、こう思ったのはなぜかや順序立てて話すことが身についていくのではと思います。 さらには、子どもたちが「楽しい」「おもしろい」「なぜ?どうして?」「びっくりした」といった経験を、しかも個別ではなく、集団として友だちと一緒に経験する場を作りたいと考えました。自分の感じたこと、経験したことを文字として書き表そうとしても、経験そのものが少なければ、表現のしようがないからです。特に昨今のコロナ禍においては、子どもたちの生活はますます個別化されていってしまいます。そこを何とか食い止めたい、という思いもありました。私たちは「特別授業」ということで、何回かに1回の割合で教室の後半の時間を使って、実験・体験的な学びを企画することにしました。(NS)
2021年03月09日 子どもの居場所・学習教室 9-10月特別授業に向けて
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2021年03月08日 お薦めの書籍・文献 ケーキの切れない非行少年たち
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事例研究会は、外国にルーツを持つ子どもたちの具体的な事例を通して、彼らの背景にある事情や問題を読み解く力をつけていくというねらいで開催しています。今回は11月、1月、2月に開催した研究会をまとめて報告をします。 2020 年11月21日(土)13:30~15:30 (オンライン開催) 参加者13名 事例提供:大野原小学校 宇津 彩加先生 「来日1年経過しても母語中心に話す児童の事例」 日本語で話しかけられても母語で応対する、国際教室では離席や母語で独り言や奇声をあげ落ち着かない、教室では友達とかかわりがない様子を見せる児童について、国際教室とクラスで支援の仕方を変えることで、児童が次第に落ち着いてきて学習への意欲を持ち始め、クラスの友達とかかわりを持てるようになったという事例が報告されました。協議では、国際教室とクラスで児童への対応が変わったことで、児童に安心感が生まれ「大事にされている」と実感するようになったのが変化につながったのではないか、「今ここに存在していいのだ」という実感を持ち、共同体に参加する意欲があるときに学習に向かうということが共有されました。 2021年1月27日(水)19:00~21:00 (オンライン開催) 参加者11名 事例提供:南林間中学校 鈴木 芳延先生 「家庭への支援が必要な生徒の事例」 家庭への支援も必要な生徒に対して、Ed.ベンチャーと連携をして、家庭の状況を把握しながら生徒の進路先の選択や生活習慣の改善をしていった事例が報告されました。協議では、支援が必要だという認識は教員によって差があること、丁寧な対応をしたいと思うとジレンマが生じること、教員が子ども本人がやりたいけれども出来ないことをどう支援するかが大切であること、そして本人の意思を尊重して子どもが分からないことを一緒に考えていく姿勢を持つことが大事であるということが共有されました。 2021年2月13日(土)13:30~15:30 (オンライン開催) 参加14名 事例提供:草柳小学校 松田 知也先生 「日本語があまり上達しない児童の事例」 日本語の上達が遅い児童に対して、国際教室で子どものペースに合わせてゆっくりと支援をし、保護者ともかかわりを持ちながら対応をしてきた結果、児童に少しずつ変化が現れるようになったという事例が報告されました。協議では、周りの大人がレッテルを張っていく傾向があるが周りの大人の見方で児童を振り回すのではなく子どもが安心できるように関わっていくことが必要であること、2つの言語環境の中にいる子どもにはどう思っているのか子どもの言葉で語らせることが必要であること、学校のペースについてくることではなく長い人生の中でベースとなるものを身に付けていくことが大切であるという考えを教員が持って対応することが必要であるということが共有されました。 3回の研究会では、外国にルーツを持つ子どもたちの教育に様々な立場で関わる方々の参加がありました。今後も、立場の異なる多くの方々と共に学習を進めていきたいと思います。(SH)
2021年03月07日 外国人の子ども理解の学習会 【報告】11~2月事例研究会
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【2020年度授業研究会 総括】 【事業総括】 2020年度は、「ひとりひとりが位置づく学習空間と時間の創出をめざす」という目標を掲げ取り組んできた。当初5回計画していたが、コロナで3回しかできなかった。 しかし、①教師自身が自分中心の授業ではなく、児童との対話や児童同士の交流が生み出されるような授業づくりが必要だということ。②同一教材でも児童の学習到達度や興味関心を勘案して教材を用意することが大切だということを共通理解できたと思う。 第1回は、「教師は伝達者ではなくいかにして媒介者たりうるか」というテーマで行った。長い自粛期間、学校は休校措置になった。勉強が遅れるのではないかというあせりから、学校現場では、今まで以上に教師が一方的に進める授業になりかねない恐れがあった。だが、学校生活が突然になくなった、しかも長い間。だからこそ「子どもたちは、自分にとって学校って何だろうか。」という問いが自覚するしないにかかわらず生起したのではないか。そのことを教師たちは、自分たちの問いにできたのか。 そこで、「久しぶりに学校で会った子どもたちから何を受け止め、何を語りあったのか。」をメインに意見交換した。子どもたちは一様に「友だちに会いたかった。」と語ったという。また、不登校気味だった児童が学校に来たという。分散登校という期間だったことから40人近い数の学級集団がいかに彼にとって息苦しいものだったのかが想像できた。すなわち、子どもたちにとって学校は「学習の場」より「友だちと一緒に過ごす場」としてかけがえのない場所であると意識されたことが分かった。教室の中に掲示板を設置してその日会えない友達に思い思いにメッセージを綴ることで全員登校日を不安なく迎えるようにしたというアイデアも紹介され、「生活の場」としての意味の大切さを再認識する話し合いになった。だが、自粛期間中にでた膨大なプリントに圧迫された子、家や塾でリモート学習に取り組んだ子など学力格差がついたことも明らかになった。だからこそ、教師は、「学校」が、「友だちの存在を意識できるような学習の場」になるように取り組むべきだということが改めて確認された。 第2回は、「同一空間の中で発達に応じた課題と自発的な学習の組織化は、可能か」というテーマで行った。これは、とりもなおさず、教室の中で、一人ひとりがきちんと位置付けられるために教師が工夫しなければならない課題であると思ったからである。 具体的には、大村はま先生の説明文の読みとりの実践と提案者の算数の時間の実践を紹介して話し合われた。黒板の前で教科書を見ながら1問1答をくりかえす平板な授業が多い。これでは、「学習に食らいつきにくい子」は救われないし、すでに塾などで教科書の内容を分かっている子にとっても魅力あるものではない。もっと、自分の目の前にいる児童の声を聴きとり、想像して「学びのおもしろさ」「知的探求の面白さ」を創出していかなければいけないということが自覚化される話し合いになった。 第3回は、「子どもたちは、発見すること、考えることが大好き!」を掘り起こす教材の工夫 ~教科書を生かしつつ教科書を乗り越えて~というテーマで行った。 かねてから、「教科書を教える教師の急増」に危惧してきた。教科書は今目の前にいる児童のために作られてはいない一般的な教材。目の前の児童を想定し、目の前の児童と対話しながら、補足したり、作り変えたり、組み替えたりしながら教材化しないかぎり子どもたちにとっては、無味乾燥な教材でしかないのではないか。教師たちの多くの授業に「子どもたちが存在していない。」そこで、子どもたちは「発見が好き、考えることがきらいではない」ということが垣間見える実践を紹介しながら議論した。 だが、話し合いの中で中心を絞り切れず深めきれなかったのも事実である。 2021年度は、1時間の授業づくりに的をしぼり、より具体的な研究会にしたい。 【活動代表】内藤順子 【日時・内容・場所】 第1回:6月18日(木) 内容:「教師は伝達者ではなくいかにして媒介者たりうるか」 場所:オンライン(Zoom) 参加者7人 第2回:8月20日(木) 内容:「同一空間の中で、発達に応じた課題と自発的な学習の組織化は可能か」 場所:オンライン(Zoom) 参加者5人 第3回:12月17日(木) 内容:「子どもたちは、発見すること、考えることが大好き!」を掘り起こす教材の工夫 ~教科書を生かしつつ教科書を乗り越えて~ 場所:オンライン(Zoom) (全3回。のべ参加人数15名)
2021年03月02日 授業研究会 2020年度授業研究会総括
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【事業総括】 今年度は、コロナの影響で学校がこれまで抱えていた課題がより目に見える形となった。現場で教員が目の前に突き付けられた課題を整理したり、多角的な視点で学校や子どもの育ちを考えたりする機会として本学習会が機能した一年であった。 緊急事態宣言下では、開催をオンラインに切り替えた。その後、より多様な参加の仕方を模索し、会場を借りてスクリーンを設置し、ライブ中継をして開催した。直接会場に来たい人も、子どもがいたり体調に不安があったりして自宅から参加したい人、他地域の人も含みこんで一つの空間で議論ができた。参加者の層が広がったので、この同時開催の有効性を感じた。機材の設置など大変に思えたが、実際やってみることでハードルが下がり、運営側としては出来ることが増えてよかった。また、コロナでそれぞれの参加者がもつ危機感が可視化され、話したいという思いをもって参加される方が多く、学校の現状について情報交換したり、悩みを話したりする場にもなっていた。多忙な中だからこそ、改めて時間をとって現状を確認し合う場の必要性を感じた。 事業目標に加えて、実践につながることを意識した全4回の学習会では、教員からの実践報告と事例報告、さらに教育学と社会福祉の専門の先生の講演を組み込んだ。理論的な話から現場の具体に落として考えたり、事例に対して専門的な知識を得てアプローチを考えたりすることができた。 参加者との議論の中で、競争的なシステムの中で過ごすことを強いられている子どもたちにとって、不利な立場にある子どもはさらに不利な立場に追いやられていく現状が見えてきた。そのことに気づいたとき、現場で教員は誰に寄り添い何をどう導くのか、どこに向かって何を発信することができるのか、という課題が立った。担任として教室を包括的にとらえる視点、子ども個人の背景を分析する視点、現在の社会構造と関連させる視点、授業の中に仕組みをつくる視点、縦割りではなく他機関とつながる視点、はざまにあるものに目を向ける視点などなど、様々な意見が出てきた。色々な立場の人と意見を交えることで、学校の特殊性が明らかになった部分もあるだろう。本学習会のベースにある「教育と貧困」の問題は、格差が広がる社会の中で容認されつつある空気すら感じる。だからこそ、これをテーマに声を上げていく必要があると考えている。学んだことを他の場面で使うことができれば、教育現場においても、これまでとは異なる展開の可能性もあるはずであり、本年度は実践につながる現実的な取り組みにつなげられる機会となった。 コロナの影響で保護司の方にお話を頂くことが叶わなかったので、今後の学習会にて開催出来たらと考えている。 【活動代表】清水美希・馬場有希 【内容・日時・場所】 第1回:5月13日(水)19時~21時 学級づくり~子どもが育つ集団をつくる~ 講師:清水睦美氏(日本女子大学教授) 場所:オンライン(Zoom) 参加人数:16名 第2回:6月6日(土)13時~15時 支援が必要な子、弱い立場の子を周りの子との関わりの中で育む 報告:岡部千春氏(大和市立上和田小学校教授) 場所:オンライン(Zoom) 参加人数:17名 第3回:10月7日(水)19時~21時 報告・座談会「『今』の学校、どうなっているの?」 報告:大和市内小・中学校教員 場所:大和市シリウス610&オンライン(Zoom) 参加者:10名 第4回:11月4日(水)19時~21時 事例検討会「人と制度、機関をつなげる実践」 報告:大和市内中学校教員 講師:今井伸氏(十文字学園女子大学教授) 場所:大和市文化創造拠点シリウス610&オンライン(Zoom) 参加者:15名(会場11名、オンライン4名) (全4回。のべ参加者数58名)
2021年03月02日 理論学習会 2020年度理論学習会総括
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2021年02月18日 お薦めの書籍・文献 私たちはどんな世界を生きているか
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インクルーシブな社会を目指す学習会報告 日時:2020年12月9日(水) 19:00~21:00(Zoomによる) 参加者:8名 発表者:森尾 宙氏(綾瀬市立 城山中学校) 内容:インクルーシブなクラスづくり ~生徒の実感としてのインクルーシブ教育~ 今回の学習会は、インクルーシブなクラスの実現のためにどのような取り組みが必要なのか、教室で過ごす子ども自身がもつ“インクルーシブ”の実感について考えることを目指しました。 インクルーシブなクラスであるという実感を読み取るために、「居場所があるか」「集団の一員としての実感」といった項目でアンケートを実施しました。 参加者からは、「『集団』という表現を使うことは、『その集団以外』を生み出してしまう。そこに排除が生まれてしまう。」という指摘があり、インクルーシブな視点を持つことの難しさと、今後も学習を重ねていくことの大切さを感じる学習会となりました。 教室にいる子ども一人ひとりの課題や家庭環境、子ども同士の関係性を見取ること。また、教室の中の多様性を認める環境をどの様に創っていくのか。“子ども同士が排除をしない”インクルーシブなクラスづくりのために、教師の押しつけにならないことを、これまで以上に意識する必要性を感じました。 ~以下 参加者感想より~ ・発表者の先生が学級づくりのために色々考えて様々な取り組みをしてきた様子がよく分かりました。「自分もやっていたな」と思いつつ、これって悪しき「学校文化」にはまっていたのかなぁと今更ながら振り返り反省しました。 発表中、気になったのは、クラスにいるという長欠の子、支援級の子、外国人の子が、クラスでどんな存在なのか?誰とどんな行動をとっているのか?他の子どもたちとの関わりはどうなのか?という点です。 自分もまだまだインクルーシブという言葉の理解が十分ではありませんが、たぶん、すべての子どもが安心してそこに居ることができる環境であること、そのために助けてくれる人(大人でも子どもでも)がそこに居て「助けて」といえる関係があること、がインクルーシブの考えに近いのかなと思いました。 子どもたち同士のつながりがどうなっているのか?という視点で子どもたちの人間関係を見ていくことが重要だと思いました。学習会に参加する度にまだまだ自分は勉強が足りないなと感じます。 ・インクルーシブ教育を改めて考る機会になりました。 「集団と決めた時点で排除している」という最後の言葉はとても重いなと思いました。 学校という組織の中で、集団を一つの単位として考えることは重要なことで必要なことでもありますが、インクルーシブの視点に立った時は果たしてどうなのか。もう一度自分の中で考えていく必要があるなと感じました。また、教師になっても引き続き学習していく必要があるなとも感じました。
2021年02月16日 インクルーシブ社会を目指す学習会 【報告】12/9オンライン学習会報告
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2021年02月14日 Ed.ベン便り No.42 新しい選択肢