自己肯定感、持っていますか

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理事推薦本
水島広子 著『自己肯定感、持っていますか?-あなたの世界をガラリと変える、たったひとつの方法-』(大和出版 2015年)

 書店で本書を見かけた時、「自己肯定感」という言葉が引っ掛かり、手に取った。学校では、よく子どもの自己肯定感を高めよう、という言葉が聞かれるが、自己肯定感はどうしたら高まるのだろうか、そもそも自己肯定感をどのようにとらえたらよいのだろう、などと思いながら読み進めていった。
 キーワードは「リスペクト」。「リスペクト」といっても、「尊敬」とは違い、「ありのままの相手に敬意をもち、尊重すること」なのだという。よく自己肯定感を高めるには、「自分のよいところに目を向けること」が大切だと思いがちだが、本書では、「他人をリスペクトすること」がカギになるという。
 まず、自己肯定感とはどういうものだろうか。著者は、空気のようなものだという。普段はあまりにも当たり前で、その存在を意識することが少ないが、足りなくなると致命的に重要だと気付く存在。「ありのままの自分」をこれでよいと思える気持ちがあるからこそ、問題が起きた時でも前向きなとらえ方ができるのだという。確かに、自己肯定感を高くもっていると感じる子どもは、いろいろなことに対して積極的に挑戦するし、上手くいかなくても気持ちを切り替えて、次の課題に向かって努力できる、しなやかな力をもっていると感じる。
 一方、自己肯定感が低いと、どのような問題が起きるのだろうか。自分を大事にできず、無理をしてしまったり、質の良い人間関係が築けなくなってしまったりするようである。自信がなく、やる前からあきらめてしまう子、自分の意見が通らないと気が済まない子、友だちに合わせて疲れてしまう子…事例を見ていくと、子ども同士の関係にも当てはまると思い、クラスの子の顔を思い浮かべながら読んでいた。
 では、実際にどうすればいいのか。まず、無条件のリスペクト。他人の言動に対して、つい自分の物差しで決めつけたり、評価したりしてしまいがちだが、いろいろな事情があるのだと考え、条件をつけずにありのままを受け入れること。決めつけを手放して相手を見ると、多くの場合、頑張っている姿が見えてきて、自分もネガティブな感情をため込まずにいられる。そして、他人をリスペクトすることで、自分にもよい感じが抱けるようになり、自己肯定感が高まっていくそうである。
 著書の中で、「人は向上したい生き物である」という言葉が印象に残っている。「ぼくなんて…」と成功体験が少なく、自信をもちにくい子ほど、「できた」という体験を増やしてあげたいと思う。子どもたちが安心して自分を表現し、様々なことに「やってみたい」と思えるようにしたい。そのために、リスペクトの考え方をヒントにして、教師と子ども、また子ども同士のよい関係を築いていきたいと思う。(SMi)