4月 自宅住所と地図

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 2018年度のFriends☆Star教室が始まりました。
 3月まで関わっていたスタッフたちは、4月からは就職や学校の事情のためにその多くが入れ替わり、新たな体制で再スタートしました。年度の切り替わりということも影響したのでしょうか、当初は教室にやってくる子供の数も限られていたのですが、徐々に人数が増えてきています。新しいスタッフの顔ぶれを見ながら、子ども達もまずは様子見・・・という感じでしょう。
 今年度はスタッフの人数がとても限られているので、昨年までの学年ごとに分けて勉強を見ていくというスタイルではなく、教室に来た子どもたちの様子や学習の進み具合にあわせてグループを作り、おおらかに子どもを見ていくという形をとろうと考えています。そして、スタッフが引っ張っていくというのではなく、子どもたちに様々なことを決めさせることで、かれらの自発性を育みながら教室を作っていこうと考えています。
 初回は教室に来る子どもたち自身のプロフィールカードを作ってもらうことから始めました。自分の名前から始まって、住所、自分の似顔絵、教室でやってみたいこと、教室での目標や友だちになれそうな人など、様々なことを書いてもらいます。子どもたちはまじめに考えながら、あるいは文句を言いながら、それぞれのペースで自分の言葉で書き込んでいきます。
 そんなかれらの様子を見ていて驚かされたことがありました。自宅の住所を正確に書くことができない子どもが少なくないのです。家族が住んでいるアパートの名前と部屋番号は誰もが言えました。住所の最初に書く県や市の名称も書けるのです。しかし肝心の町名と番地が分からないのです。教室から家までの地図も描かせてみましたが、みんな自分が歩く道だけを描いていて、教室と家との位置関係を客観的に把握できる「俯瞰図」のような地図を描く子どもはほとんどいません。
 このことは、かれらの生活が、自分が地理的にどのような場所にいるのか把握する必要がないほど限定された世界の中で送られていることや、自分の家族の住む場所を他人に伝える機会も限られているということを物語っているのではないでしょうか。かれらの自立性を育むためにも自分自身の生活の場の空間的な位置関係を客観的に把握するという力は不可欠なはずです。それに今後かれらが社会生活を送る上で自宅の住所が表記できることは、まず基礎の基礎という事柄だと思います。私たちはかれらの無邪気な様子に驚かされながら、アパート名を手がかりに地図から住所を調べて自分で住所をちゃんと書けるように、子どもたちに促しました。
 確かに「勉強」をして学力を高めることも大事です。しかしそのために「勉強」だけを見ていたら、かれらの何人かは自宅住所を書けないという、むしろ勉強よりもずっと大事なことが分からずじまいだったと思います。この教室が始まって3年目にして、やっとこのことが分かりました。かれらと言葉を交わすこと、一緒に考えることで、私たちも学び、考えさせられることが少なくないのです。(TH)