2012
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10月20日に、拡大理論学習会が開催されました。この学習会は、大和市を中心に活動するEd.ベンチャーとして、「外国人」について考える機会を設けようということで、今年度新たな試みとして行われたものです。 今年度は、東京理科大学の清水睦美先生に、『「生きづらさ」に立ち会うものとして−外国人児童生徒の現状の理解−』というテーマで、講演していただきました。外国人児童生徒が「外国人」であるがゆえに経験する学校や家庭での生きづらさ、そして、それを支援する上での教師への提案などについてお話しいただきました。講演の後には、参加者全員で、学校の中での、日本人生徒や教師への働きかけや、国際教室の存在意義などについて、意見交換が行われました。外国籍児童生徒への支援というと、日本語指導や学力補充に目が向きがちですが、それだけでなく、日常の生活の中で彼らが直面する「生きづらさ」に向き合い、それを解消していける支援が必要であると、改めて実感した学習会でした。
2012年11月29日 理論学習会 拡大理論学習会のご報告-「『生きづらさ』に立ち会う者として:外国人児童生徒の現状の理解」
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10月理論学習会は、11月にご講演いただく渡辺雅子氏の著書「納得の構造」を読んでいきました。内容は、日米初等教育の比較、学校の授業が子どもたちの思考表現にどう影響を及ぼしているのかが書かれています。担当が内容をまとめたレジュメに沿って学習していきました。 話題に挙がったのは、特に二点です。第4章「二つの日米逆転現象」に書かれている、どこの力によって教育が変わろうとしていたかについて、以前は現場の力だったのが、今は政治や上からの指示で教育が変わってしまう現状について話し合いました。また、最終章を読み終えて、日本の教育の中にも「なぜ」が必要であり、教育の画一性からのスイッチの可能性についても話し合いました。次回、渡辺先生からは仏国の教育も比較していただき、理解の枠組みに関わる日本のことばと思考法の教育の特徴を探りつつ、思考表現法を通してどのような社会化が行われているのかをご講演いただきます。
2012年11月29日 理論学習会 10月の理論学習会の報告-渡辺雅子「納得の構造」を読む
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9月3日、帝京大学の大多和直樹氏を講師にお迎えして「中学生のメディア利用と学校生活」というテーマで学習会を開きました。子どもたちが、どのようにメディアを活用しているのか、そして、どのような影響を受けているのかについて、調査研究の報告をしていただきました。調査結果からは子どもとメディアの関係はおおむね良し、とのことでしたが、数パーセントの子どもがトラブルや悩みを抱えている事について、学校がどういった手立てをとっていけるかが議論となりました。また、昨今の学校が携帯電話やインターネットに関わる事件を受け止めきれていない現状や、大津のいじめ問題も話題に挙がり、ネット拡大に伴い、当事者性が持てない中で当事者性をどうもたせるか、学校側がどこまで踏みとどまれるかが課題となりました。
2012年09月20日 理論学習会 9月の理論学習会の報告-「中学生のメディア利用と学校生活」
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8月20日、昨年8月に橋元徹大阪府知事(当時)率いる大阪維新の会より提出された「大阪府教育基本条例案」について学習しました。条例案を読んだ後、問題点について話し合いました。議論の中で出てきたのは、社会での出来事を通じて、自分たちが権力に向かっていく武器をいかに身につけていくかということでした。今回の条例案が世に出てきた背景には、権力に従う効率の良さに流されていくといった風潮がありました。何かがおかしいと思いながらも受け入れていく国民。大阪府の学校でもどんどん上から出される政策を受け入れ苦労している現状があります。自分たちは今どうなのか考えた時、権力者に対して批判力を持っているかというと、持っていないという現状があり、ともすれば子どもたちに対して何を教えていくのかを考えさせられました。条例案に見てとれる権力者にとって都合のよい人間を育てるのか、それとも効率の悪さ(民主主義)のよさに付き合い、批判力を付けていくのか…全ては教師としてどう生きていくのかという問題を突き付けられた時間となりました。また、社会と権力とに戦っていく時の足場をどこにしていくのか、私たちは考えていなければならないと感じました。
2012年09月20日 理論学習会 8月の理論学習会の報告-「大阪府教育基本条例案」学習会
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○日時:7月2日(月) ○場所:冨士見文化会館 ○参加者:スタッフ2名、参加者13名 ○内容:事例研究「対応に悩む児童の対応」 ○提案者:吉間 里依(小学校教諭) クラスにいる外国籍児童がとっている行動についての事例で、行動は相手の言葉を繰り返して挑発する・クラスの話し合いに参加しないなどですが、その行動が原因でトラブルになり、クラスの子は「ちゃんとやってくれないから嫌だ」と、その子を疎ましく思い始めているがどうすればよいかという内容でした。参加された先生に、同じような経験があるか、どのように対応しているかなど聞いてく中で、若手の先生方からは、先生だけではなく、まわりの児童にも声をかけてもらい、集団に入れていく案などが出ましたが、そもそもなぜ外国籍児童がそのような行動をとるのかを考えないことには何も分からないという意見が出たところから議論になりました。話し合っていく中で、クラスのルールや規律が誰のためにあるのか、教師がどの立場に立っているのかに焦点を当てて話し合いました。自分たちが普段当たり前のようにやっていることが、子どもたちにどのような意識をもたせているのかを考えなおす時間となりました。 【提案者の感想】 自分がクラスから少しでも違うことをしている子に対してとても厳しくしているのは、その子のためというより自分が子どものそれぞれの違いを認めない・受けとめられないといった気持ちがあるからだと気付かされました。危機的なのは、今まで立場の弱い子どもに寄り添ってクラスを作っていきたいと思っていたのに、やっていることは逆だったという事実です。私がクラスで拾っていた言葉も、マジョリティーの意見でした。議論の中でも、ルールや規律で厳しく子どもを管理して表面上まとまったクラスを作っている教師が多いという意見も出てきました。中学校では、ルールを厳しくすると、決まって教師の権威が下がり、学級崩壊に近づくということも聞きました。教師の言動が子どもたちのモデルになる可能性について知っていても、結局は立場の弱い子のための規律ではなかった。だから差異を認めない、みんなと同じことができなければダメな子であるという意識を、教師が子どもたちにつけさせてしまったことに気付きました。 これからも教師として様々な子どもたちと関わっていきますが、教師の言動が子どもの意識に影響するということ、何のための・誰のための規律なのか、いつも心に留めながらやっていかなければならないと思います。教師のキャパシティーが広げられれば、子どもを多様に支援できることを忘れずにやっていきたいです。 最後に、今回の理論学習会は、私たち教師にとって重要な議論だったと思います。学校の中で今回のような事例を相談しても、おそらく返ってくる答えは「集団からはみ出した子たちを、どうにかして集団の中に入れてあげよう」といったものだったでしょう。実際、私を含め、若い先生方から出てきた意見がそうでした。また担当者として、これから理論学習会の事例研究が、普段の言動に「待った」をかける場になるよう設定していきたいと思います。
2012年07月29日 理論学習会 7月の理論学習会の報告-「事例研究」
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6月4日に、4月の理論学習会で説明後、各校で行われた「学級集団分析」の分析報告が、東京理科大学清水睦先生より行われました。学校や学習に対して、どのような意識で子どもたちがいるのか、学校や学級ごとの傾向や、どのような傾向をもった児童がいるのかといった報告が行われ、参加した先生方は大変興味深く聞いていました。また、国語と算数の学力調査では、どこで学習のつまづきが見られるのかがわかり、今後、指導する際のポイントとなりました。今回の分析結果を、それぞれの学級指導に役立てていただければと思います。
2012年07月29日 理論学習会 6月の理論学習会の報告-「学級集団分析報告」
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5月8日に、日本体育大学の野井真吾先生をお迎えして、「子どものからだと学校生活」というテーマで学習会を行いました。学校生活の中で、どこかおかしいなと感じる子どもの様子の原因を、多くの調査結果に基づいて解説していただきました。夜型の生活習慣、塾やコンビニ、TVゲームなどの周囲の環境などが、子どもに与える影響を非常にわかりやすくお話していただきました。また、じゃれつき遊びや長期キャンプなどの実践例も紹介され、学校現場の中でいかに非日常的な要素を取り入れ、「ワクドキ」が起こるような活動ができるかが大事であると思いました。
2012年07月29日 理論学習会 5月の理論学習会の報告-「子どものからだと学校生活」
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昨年度は4月に理論学習会を行いませんでしたが、この時期は学級をどのように創りあげていくか悩まれている先生方が多いということで、今年度は学級指導に役立てるデータを収集し、考察していく学習会を設けました。「学級集団分析 調査方法について」というテーマで、東京理科大学の清水 睦美先生にガイダンスを行っていただきました。調査方法だけでなく、学力調査の歴史と背景、調査の意義についてお話いただきました。調査を各校・または各クラスで実施し、収集したデータの入力作業を4月29日に行いました。
2012年05月14日 理論学習会 4月の理論学習会の報告
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2月の理論学習会は、教育講演会に向けて、土井隆義先生の著書「キャラ化する/される子どもたち」「友達地獄」「人間失格?」を読んで意見交換を行いました。 話をしていくなかで行き着いたのは、やはり「学校とは何か、学校の意味」についてでした。現在の公教育が教育産業に負けていることや、保護者と教師の関係性の変化などが挙げられ、議論となりました。土井先生の著書でもあるように、親密性が重視され、学校の権威性が失われつつある今日、第3の関わりがあるのか、次の教育講演会で手がかりが掴めたらというところで話を閉じました。
2012年03月16日 理論学習会 2月の理論学習会の報告
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外国人の中学生女子生徒の事例について、事例研究を行いました。家庭環境や本人の身体的な問題など、複雑な状況にいる生徒に対して、学校として何ができるのか、他の機関とどのような連携ができるのかといった今後の取り組みに向けて様々な意見が交わされました。事例提示者にとっては、冬休み明けからの学校再開に向けて、課題整理ができました。
2012年03月16日 理論学習会 1月の理論学習会の報告