日時:2018年5月10日19:30~21:00
参加者:3名
今回の学習会は、労働教育を学習するにあたって持っておきたい視点を探ることをねらいとして、3冊の本を担当者で選択し、文献講読会を行った。
1冊目の『資本主義の極意 明治維新から世界恐慌へ』著:佐藤優(NHK出版新書)からは、これまでの歴史を振り返ったとき、現代に広がる日本社会の資本主義に至るその背景を学んだ。2冊目の『非正規クライシス』著:北川慧一・古賀大己・澤路毅彦(朝日新聞出版)からは「ミドル世代」と呼ばれる30代から40代が非正規にはまっていく現代社会の現状と課題を見ることができた。そして、3冊目の『教育の職業的意義 ~若者、学校、社会をつなぐ~』著:本田由紀(ちくま書房)では、教育の中での「仕事の世界への準備」への必要性をみることができた。著書には「抵抗」と「適応」という言葉でその準備の内容が書かれていた。例えば、「働く者すべてが身につけておくべき、労働に関する基本的知識」=「抵抗」、「個々の職業分野に即した知識やスキル」=「適応」といったものだ。現代の学校教育では「キャリア教育」が行われているが、この著書では、その「キャリア教育」が若者に及ぼす影響として「決められないことへの不安」や「華やかで流行りだが実現しにくい『夢』」であり、「自己実現アノミー」の状態にあると述べられている。
1冊目、2冊目にある労働に対する現代社会のしくみや課題からみても、「キャリア教育」に代わる「教育の職業的意義」が今の日本には必要であるということが分かり、3冊それぞれの内容を発表した後は参加者で「教育の職業的意義」の内容について話し合いをした。
今回の学習会では、学校を卒業した後、現代の資本主義社会に入っていく子どもたちに、労働教育の必要性を改めてみることができた。次回からは「抵抗」としての労働教育をより具体的に授業として考えていきたい。