11/28 授業実践報告

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今年度、研究してきた「労働教育」の授業実践について報告いたします。

【授業実践】

日時:2016年11月28日(月)5校時

学年:6年生

単元:平和で豊かな暮らしを目指して

指導観:6年生社会科の歴史の後半で学習する、終戦後復興の過程の中で日本国憲法が制定された部分に関連させ、「労働者の権利」が守られるということはどのようなことか、身近な場面を想定したロールプレイを行い現在の私たちにも関わる重要な事柄として捉えられるように工夫しました。また、民主的な国家の中で「人間らしく生きる」ことにつながっていることを意識させ、日本が目指した社会とはどのようなものか考えさせました。

●授業実践の様子

本時の前時のロールプレイではファミレスで働くバイトと社員役に分かれ、ハプニング(皿を割ってしまった・遅刻・体調不良・時間外労働の強要)に対してどのようなセリフを使い対応するか、台本をもとに考え、発表しました。児童は楽しい題材だったのか、意欲的に取り組んでいました。班で考えた対応はとても良心的なものばかりでした。もちろん働く経験がないため、悩みながら対応を考える姿も見られました。

本時では、ロールプレイで各班が考えた内容にそれぞれ意見を言い合いました。その中には、不当労働にあたるものもありました。それを受けて「労働基準法」について紹介しました。その上で、前時の対応がどうだったのか検証しました。罰金、解雇通知、最低賃金、健康安全の確保、労働時間について教師側が説明しロールプレイの各ハプニングのどこに該当し、正しい対応や間違いを考えました。児童の中には知らなかった部分が多く驚いた反応をしている子もいました。授業の後半には、戦後の改革で「日本が目指した社会」について考え、発表しました。平等、安全、働きやすい、景気がよい などの意見がでました。最後に、現代の社会が「人間らしく生きる」社会になっているのかそれぞれ意見を書きました。

<前時の様子>

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<本時の様子>

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【授業検討会】

日時:2016年12月1日(木)19:00~21:00

場所:冨士見文化会館

参加者:8名

内容:授業実践報告(ビデオ上映含む)・担当者感想・参加者感想・討論「小学校での労働教育は可能か」

<担当者感想>

・社会とつなぐ用語が難しく、子どもたちの既存の知識が少ないので理解させるには、時間もかかるし伝え方に工夫が必要だ。

・まとめるところでは、抽象的なところにつなげていくことになったのだが、具体的なところを抽象的な内容をうまくつなげたかった。時間をかける、つなげ方の工夫をすれば民主的な社会を考えることにつなげていけたのではないか。

・このような労働の問題に興味関心をもっているということは分かった。また、子どもたちの中には、「ブラック企業」等の労働教育の中の一部のイメージが知識としてついているように感じた。

・ロープレでは、優しい意見が多かったが、道徳的な考え方が学校で求められる背景があるのではなないか。立場設定を工夫することにより、子どもたちから様々な意見が出たのではないか。

・日本がめざした社会とは、人間らしく生きるとは を考える前に9つの改革を押さえることで、労働問題に固執せず、すべての改革を含めて考える方向にもっていけたのではないか。

・民主的な国家を目指すために、様々な権利があることを押さえるために、最終的には広く考える流れが必要だった。

・労基法を小学校で扱う難しさを考慮して、いくつかの分かりやすい部分を抜き出したが、労基法の全体の内容が見えにくかった。

<参加者感想>

・労働教育を社会科の中で扱うのはとても有効であると感じた。特に、憲法とつなげることで労働教育の目指すものの根底の意味につながると考えられる。

・終戦後の改革の内容をきちんと学習しておくことが大切。終戦後、何を大切にしながら、どのような社会を目指して改革してきたのかしっかり学習しておくことで、今回の学習がさらに深まるのではないか。

・憲法の内容に日常から触れることが大切ではないか。様々な事例を置き換えて考えることが大切。

・社会科の中に労働教育が入り込んでいるのだが、短い時間で教えるという制約のなかで丁寧に取り扱うことが難しいと感じた。

(ロープレ)

・ロープレの準備が丁寧で、児童が意欲的に取り組むことができた。(練習・台本・教具)

・ロープレが生きていたので、3時間目に意見が出やすかった。

・ロールプレイの中にもう少し色々入れ込んでも良かったのではないか。

・バイトと社員と設定した意図が分からない。(両方、雇用される側で同じ権利を有するから)

→上下関係の関係性が言葉に重みをもつことを意識させたかった。店長→社員→バイト

・店長と社員とバイトの立場の違いをきちんと最初に押さえることが必要だった。

 

・職を失うことの重大さを実感させると、子どもたちの反応も変わるのではないか。

(労基法の扱いについて)

・労基法は生産手段を持たない立場の弱い人を守るという視点をもっても良かったのではないか。

・平等で豊かで安全 などの部分のどこが労基法につながっているのか丁寧に扱うことができたのでは。

・労基法の全文を掲示するだけでも、全体像が見えたのではないか。今回は一部を扱っているというイメージをもつことができる。

 

参加者の方たちから、たくさんの意見をいただきました。また、最後の討論では「小学校での労働教育は有効か」ということに焦点を当てて話し合いました。そこでは、労働問題にたいして子どもたちが興味をもっているため、取り組むことも可能であり、特に社会科では可能性があるということが今回の研究で見えた成果だという話が交わされました。しかし、学校は基本的に理念を教えるところであり、理念と子どもを取り巻く現実の間にはかなりの差があるため、その間にあるものを考えることが重要であるということ、また、そのために法律があることも押さえることが重要であるという話もされました。