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【2019年度 理論学習会総括】 本年度も「貧困と教育」をテーマに学習会を展開した。昨年度までの学習会で、貧困の中にいる子どもや家庭は人や制度、機関との「つながり」を持つことが難しいということがわかった。これまでは子どもへの支援に焦点をあてていたが、その課題は家庭の中の「大変さ」でもあった。その背景から、家庭を支える方法としてどのような可能性があるのか、また、学校でその機関と家庭をつなげるための知識を教員が持つことが必要なのではないかという視点から、学習会の内容をこれまでの知識と合わせ、より視野を広げる内容を設定した。4年間にわたり「貧困と教育」をテーマにしてきたが、今年度は理論としての「貧困」を捉える学習会とともに、「つながり」を意識した子ども達同士の関わり合いをつくる実践報告の形式で学習会を行った。 教育現場の今を見据える力を養うことは重要であると考え、前半の学習会では、大学講師を招いての学級集団を構造的に捉えるための学習会、授業研究会との共同開催で行った小・中学校での子どもたちの「つながり」を意識した授業の実践報告会、産休・育休・働くママパパのための学習会と共同開催したスクールソーシャルワーカーを講師に招いた学習会を開催した。目の前にいる子どもたちやその家庭に対し、教育現場からできる支援を知ることができた。これらの学習会で見えてきたことは、教員が声にならない子どもたちの声を聞こうとすることだった。そして、教員ができることは、排除される、取りこぼされようとする子どもたちが、学校の中で「人とのつながり」をつくるこということだった。 後半の学習会では、若者の奨学金問題を支援する弁護士の活動や、国の制度である社会保障にその枠を広げ、「制度や機関とつなげる」知識をつけるための内容を展開した。昨年度は生活保護に焦点を当てた学習会を設定したが、今年度は生活保護に限定しない社会保障制度について知ることや、奨学金についても取り上げた。貧困の中にいる子どもたちには「学費」も大きな壁となる。義務教育を終え、社会に出ていく子どもたちに、貧困に立ち向かう力の育成、支援の手を持つための「つながり」をつくることが貧困の連鎖を断ち切る術のひとつであることも学ぶことができた。 今年度の学習会を進めていく中で、私たち教員がつけた知識を教育現場でどのように実践していけるのかという課題も見えた。実践していくためには、社会保障・生活保護・奨学金制度の問題など社会の今を捉え続け、子どもが貧困に立ち向かうためにつける力を考えていく必要がある。また、子どもやその家庭に寄り添いながら制度や機関と「つながり」をつくることもそのひとつであるということがわかった。 【活動代表】馬場有希・根岸知世 【内容・日時・場所】 第1回:4月22日(月) 講演会「学級づくりの基本~教室での教師と子どもの関係~」 講師:清水 睦美氏(日本女子大学 教授) 場所:大和市シリウス603中会議室 第2回:5月13日(月) 授業実践報告会「クラスづくりと国語の授業」(授業研究会との共催) 実践報告:山崎 正氏(小学校教諭)・ 飯田 里沙氏(中学校教諭) 場所:大和市シリウス603中会議室 第3回:6月23日(日) 講演「SSWの視点から考える学びの環境づくり~組織的な取り組みの可能性~」(ママパパのための学習会と共催) 講師:上原 樹氏(大和市青少年相談室SSW) 場所:大和市シリウス612文化創造室・会議室 第4回:7月1日(月) 実践報告「題材から授業をつくる」(授業研究会との共同開催) 授業実践報告:馬場有希氏(小学校教諭) 場所:大和市シリウス608和室 第5回:9月2日(月) 文献講読会 テーマ:『性の多様性を考える』 場所:大和市シリウス603中会議室 第6回:10月7日(月) 講演会「奨学金問題からみえる子どもたちの学びの現状」 講師:田原 恵氏(神奈川県弁護士会 弁護士) 場所:大和市シリウス603中会議室 第7回:11月11日(月) 講演会「生活保護から社会保障制度を考える~今とこれからをどう生きるか~」 講師:今井 伸氏(十文字学園女子大学人間生活学部人間福祉学科 教授) 場所:大和市シリウス603中会議室 (全7回。のべ参加人数61名)
2020年02月25日 理論学習会 2019年度理論学習会総括
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11月学習会のお知らせ 講演会 『生活保護から社会保障制度を考える ~今とこれからをどう生きるか~』 講 師: 今井 伸 氏(十文字学園女子大学人間生活学部人間福祉学科教授) 日 時:2019 年11月11日(月)19:00~21:00 場 所:大和市文化創造拠点シリウス 603 号室 資料代:500円(学生無料) 予約不要 11月の学習会では、『社会保障制度』をテーマに学習会を行います。 今回は生活保護に加え、社会保障制度についてもお話いただきます。 皆さんで一緒に考えてみませんか。ぜひ、ご参加ください。 チラシもご覧ください。 11月理論研チラシ
2019年11月02日 理論学習会 11/11社会保障制度学習会
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内容 『奨学金問題からみる子ども達の学びの現状』 講師 田原 恵先生 (神奈川県弁護士会 弁護士) 日時 2019年 10月7日(月) 18:00~20:00 場所 大和文化創造拠点シリウス603号室 参加者 6名 貧困問題と教育を考える上で、奨学金をテーマに弁護士の田原先生にお話をしていただいた。 先生からお話いただいたことから明らかになったのは、いかに日本社会が子ども達に寄り添う姿勢を示していないか、学びの保障がないかということであった。「お金がないなら自力で用意して。」「返すのも自力で何とかして。借りたのは自分でしょ。」とでも言わんばかりの自己責任論の波が子ども達に覆いかぶさる。「勉強したい。」ただそれだけなのに、資源のある家庭は大型客船に乗り、資源のない家庭は丸太にしがみつかなければならない。 なぜそこまで言うのか、それは法的な立場から現状や事例を話してくださったからこそ、学びが多かった様に思う。具体的には、奨学金の返済は、平均で14年、月1.7万円である。大人の平均的な借金返済の基本ラインは5年返済、年収の3分の1を超えてはならないそうだ。月5万円の返済ならば自己破産にも当てはまる。子ども自身が奨学金を借りる時に、返済の見通しと人生設計をどれだけイメージできているだろうか。借りたお金をきちんと使うだけの能力があるのだろうか。奨学金は、本人が担保で取立ても厳しい。自覚のない「厳しい借金」であることの自覚が必要だ。日本学生支援機構の遅延損害金は10%を超えるお金を取る。「そんなに取るの?」と驚くが、これは利子とは異なるので法的にも引っかからないらしい。今や無利子を借りる方が難しいという肌感覚が学生にはあると思うが、利子つきを借りて、返済が滞ったらさらにお金が搾取される。学びを奨励するお金と書いて奨学金であるが、大変な借金と名前を変えた方が、実態が明らかになるだろう。住宅ローンの方がよっぽど安心できる借金だと、先生は言っていた。 非正規雇用が40%を超える社会で、返済義務が大変厳しい奨学金を抱え躓くことは、起き上がることができない状況になるとも言えるだろう。きちんと働ける環境が大切であり、日本の労働構造の問題についてもお話いただいた。 また、困った時は、相談窓口に相談することも大事だと教えてくださった。相談しにくいことを相談するということ自体が大きな第一歩となる、と。神奈川県弁護士会には「子ども相談」があり、3回までは無料である。有料ではあるが安い法テラスの活用や、自治体の無料相談もある。 教員の立場から、全てに踏み込むことはできなくても、少しでも長い見通しをもって、子ども達に語りかけることはできるだろう。その時に、奨学金のメリットデメリットを知識として知っているか知らないかで、かける言葉も変わってくるだろう。「関わる大人で、子どもは変わる。」と先生は最後に言ってくださった。家庭環境によって格差が生じる貧困の連鎖を、教育の現場で、さらに広げるようなことがあってはならないだろうと、強く感じた学習会であった。 参加者の感想 貸与型の奨学金は、学生自身が背負う借金であると、はっきりと説明しなければいけないと思う。中学生向けにも、奨学金の案内が来るが、まず確認するのは、それが貸与型なのか、給付型なのかである。 一方で、返金の難しさから、奨学金、ひいては進学をあきらめてしまうのであれば、それは非常に残念なことである。一概には言えないが、奨学金を受ける子どもの中には、貧困層の家庭の子もいるだろう。そこから抜け出すためにも、学力をつけることは必要なことである。なんとか給付型の奨学金が増えないものですかね。(中学校教員) 奨学金は子どもたちの学びを保障するためにあるもので、必要ならば使うと良い制度だと思っていました。ですが、子どもたちに借金を背負わせるようなもので、今の将来が見えない社会、安定した給料をもらえる職につけるかわからない世の中で、子どもたちに奨学金を勧めるのは本当に良いのだろうかと考えが変わりました。学歴を残すためにも高校や大学に行った方がいいのはわかってはいるけど、奨学金を借りて一生をかけて支払う借金を背負ってまで行った方がいい進学なのか等考えなくてはいけないと思いました。(小学校教員) 先生のお話を聞いて、「貧困家庭に生まれると裕福な家庭と同じように生きていけないのか」と思ってしまいました。でも先生の「関わる大人によって子どもは変わる」という一言から勇気をもらった気がします。貧困の問題に対しても、学校の中で教師がその役割を果たせる可能性もあるのではないかと思いました。奨学金に対して、「支援をしてくれる」というプラスのイメージしかなかったのですが、奨学金を「借金」と捉えることで、教員として、大人としての支援の在り方を改めて考えさせられるお話をきかせていただきました。本日はありがとうございました。(中学校教員) お忙しい中ありがとうございました。貴重なお話を聞けて本当に良かったです。「奨学金は借金である!」ということ、「将来的な現実的なプラン」をこちらがきちんと提示することなど改めて考えさせられました。中学校教員として私ができることは限られていますが、今日勉強したことを生かしていきます。そして私もまた奨学金返済、、、がんばります。(中学校教員) 奨学金といえば大学に行くために利用できる借金制度だと思っていたが、実際は免除、給付や中・高校にもあることを知った。借りる際どのようなリスクがあるのか、何をおさえたら良いのかを借りる前に知ることができて本当に良かったです。(大学生)
2019年11月02日 理論学習会 10月報告 「奨学金問題」
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9月学習会 報告 9月の学習会は文献講読を行い、性の多様性について参加者同士で考える学習会を行いました。講読したのは、「性別に違和感がある子どもたち」~トランスジェンダー・SOGI・性の多様性~(合同出版)です。日本の性の多様性への理解の遅れは世界と比べると遅れていると言われています。学校の中では、当事者の人たちが生きづらい環境をつくっていたり、こうでなければいけないという型にはめ込もうとする教師の指導が見られたりすることがあるように感じます。そのような学校の中で正しい知識をもった教師が子どもたちや教員同士に対して情報発信できると、自分の性に違和感を持っている人たちの力になることができると考えました。 参加者からは、「少しでも声をあげて誰もが生きやすい社会になればと思います。」「自分が発信者となり、伝えていけるように考えていきます。」「もっともっと教室や職員室の中で多様性を広げていくよう努力していきたいと思いました。」などの感想があげられました。 私たち教員が正しい知識を身につけて、「知った・理解した気になっている」段階から少しでも脱却しなければいけないと考えた学習会でした。
2019年10月09日 理論学習会 9月報告「性の多様性」
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7月 理論学習会報告 実践報告「題材から授業をつくる」 報告者 馬場有希先生(小学校教諭) 7月の理論学習会は「題材から授業をつくる」というテーマで学習会を行いました。教科書だけでなく、現代の社会問題に焦点をあてた授業をつくる実践報告を、小学校教諭の馬場先生にお話していただきました。 馬場先生の授業は、社会問題に対する疑問や課題について、子どもたちが自分なりの考えを出し、感想の読み合いから友だちの考えを知り、さらにまた自分で考える・・という実践でした。「自分なりにこの問題に出会ってくれたらいいな」と授業づくりをすすめていった話をしてくださいました。 先生の「授業の中に出会いがある」という言葉に、教員として子どもたちにどのような授業をするか、子どもたちに何を考えさせるか、を考えさせられました。 授業で何を学ばせるのか、教員が何を題材として選択するかで、子どもの授業の中の「出会い」が変わること、可能性が広がっていくことを感じました。これからの授業づくりで何を題材に、どうつくっていくのか、を改めて考えることのできた学習会となりました。 参加者:4名 ≪参加者の感想≫一部抜粋 毎日追われながら授業を考えていると、子どもたちに何を伝えたいのか、学んでほしいのか、知ってほしいのかといった、とても大切なことが授業から抜け落ちてしまうような気がします。馬場先生の取り組みは、世の中で起こっていることから生まれる疑問や課題から子どもたちへ考えてほしいことを中心に授業が作られていて、常に世の中の動きにアンテナを張っているのだと思います。また、教室内にいる子どもたち一人ひとりを大切にし、ある時には一人の子のことを考えて授業を作るというお話もありました。とても大切な視点だと思いました。改めて、授業の可能性と奥深さを感じました。 「題材から授業を作る」ということで、馬場先生の授業実践を伺いました。今回教えていただいたような授業を作る際には、教師の強い「伝えたい思い」と伝えるための「確かな知識」が必要だと感じました。さらには、目の前にいる児童生徒に「このことを伝えるべきだ」と感じるアンテナを社会の課題から感じ取る感覚も大切になります。その感覚を養うためにも、今回の学習会はとても良い刺激になりました。 今回のお話を聞いて、授業で何を伝え、考えさせるのかは、教員次第であるなと改めて思いました。同じ題材でも子どもたちの発達段階に合わせ、考えさせることは変わってくるし、話し合いや感じる事のレベルに違いはあると思います。でも、教師が何を問題として考え、題材を選択していくかは、子どもたちに「今」や「これから」を考えさせるうえで、とても大事な部分だと思います。教師として、その視点は常に磨いていきたいと思いました。 教師自身が問題意識を持っていることによって、授業の質が変わると実感しました。馬場さんの授業に対する熱意が伝わり、頼もしく思いました。これからも課題からの授業づくりを実践し、報告してほしいです。
2019年10月08日 理論学習会 7月報告 「教材研究」
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5月理論学習会報告 実践報告「クラスづくりと国語の授業」 報告者 山崎正先生(小学校教諭)、飯田里沙先生(中学校教諭) 5月の学習会では、小学校・中学校の先生に「学級経営」と「国語の授業」について、「子どもたちの関わり合い」をテーマに、一人の児童とクラスの子どもたちの関わり合いと、国語の授業の中での学び合う子どもたちの関わり合いについて実践報告していただきました。 山崎先生(小学校)の実践は、大切にしてきたこととして、失敗もやらせる、自然と話し合いの中で試行錯誤する、(話し合い活動をさせるために)できるだけ教師が我慢すること、と話をしていただきました。そのために、子どもたちをどう関わらせるかという工夫が多くあり、子どもたちにたくさんの力を引き出させていました。「子どもによいと思ったことはやる」という山崎先生のこだわりが見えたお話でした。 飯田先生(中学校:国語)は3年間を見通した指導の在り方を考え、特に意識したこととして、明確な課題設定と評価規準の提示、ワークシートの工夫、ふせんの活用について話をしていただきました。教師からの言葉かけももちろんですが、子どもたち同士の関わり合いができるよう、たくさんの仕掛けづくりが授業の中に盛り込まれ、学び合いにつながっていました。「自分の教科に誇りを持つ」という飯田先生の「国語」へのこだわりがとても伝わってくるお話でした。 お二人の先生に共通することは子どものことを一番に考えていること、子どもたちの持つ力の可能性を信じていることといった、子どもたちに対する「こだわり」でした。また、子どもたちにこうなってほしいという想いの強さを感じました。 子どもたちの関わり合いからたくさんの学びがある。ことを教えていただいたようにおもいます。二人の先生の取り組みからは、多くの大切にしてきたことの共通点は、教員にとって、とても大事な視点であると改めて考えさせられる学習会となりました。 参加者:14名 ≪参加者の感想(一部)≫ 一部抜粋 ・山崎先生、飯田先生お二人の子どもを大切にする姿勢からくる授業実践を聞き、すばらしい取り組みをされていると感じました。弱い立場の子どもに目を向け、授業や学級経営をすることが、最終的には全ての子ども達にとって、居心地のよい、互いを認め合う事の出来る集団作りにつながっていっているのだと思います。こういった視点での学級経営や授業づくりを、もっと広く伝えていくことが、大和の教育を高めていくことになるのだと思います。 ・中学校、小学校のちがいはあれ、授業に対する姿勢や子ども達との関わりについては、同じと感じられました。子ども達から何を、どう引き出せるか、それを子ども達が自ら関わりをもって進め、活動できるかは、一致していたと思いました。 ・「学び合い」という共通点で勉強になるものばかりでした。授業をする上で試してみたいこと、実践したいことが多くありましたので、授業案に取り入れて模擬授業をしてみようと思います。 ・子どもの学力を伸ばすために、どのような課題設定をしていくのか、何を大切にしていくのかを考えて、授業を構成したり、学級を作っていくことが大切だと分かりました。私は、教師が嫌いで、学校が嫌いでしたが、今日のお二人の先生の話を聞いて、このような工夫があれば私も学校が好きになれたのかもしれないと思いました。子どもの事を第一に考え、子どもが楽しめる学校をつくれる教師になりたいと改めて思いました。 ・お二人のこだわり、教育への信念のようなものを感じ、胸が熱くなりました。子どものことを具体的に丁寧に語れるのは、子どもを知ろうとする姿勢、寄り添う瞬間の多さがあるからこそだと思いました。自分を振り返って、忙しい忙しいと言いながら、私は目の前にいる子どもの事をどれだけ語れるだろうかと思いました。お二人は、弱い立場にある子どもの存在丸ごと包み込んで、教師としてどうしたらよいだろうかと悩み考えながら、学級経営や授業づくりに取り組んでおられました。今回のお話を聞いて、教師も一人の人間として試行錯誤してよいということ、子どもに寄り添う姿勢が次の一歩をつくる、ということを学びました。「こどもにとっていいと思う事はやろう。」この言葉を胸にやっていきたいです。
2019年10月08日 理論学習会 5月報告 実践報告
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4月学習会報告 4月の学習会は日本女子大学の清水睦美先生を招いての学習会を行いました。「学級づくりの基本―教室での教師と子どもの関係―」と題して、学級集団の中で子どもたちの関係をどのように捉え、教師として関わるかについてお話しいただきました。 学級の子どもたちを集団として捉えたときに、その集団には特徴があること、その内部には力関係があることや、いじめは深刻になればなるほど教師から見えにくくなることを教師が理解しなくてはならないと思いました。 参加者からは、「子どもが集団の中でどのような特徴があるのかというのを今まで考えたことがなかったが、外キャラ・内キャラの話を聞いて私自身に当てはまる部分もあったし、実際見ている子どもたちにも当てはまり、そういう見方ができるのかと思いました。」「今日の講演を聞いて、客観的にクラスを見とることで、かたよらないクラスづくりをしていきたいと思いました。」「今年度初めて担任を持つことになり、自分のクラスの生徒とどう関わるか迷っている場面がありました。『自分が何者なのか』を生徒に伝えるということをしていきたいと思いました。」などの感想がありました。 色々な個性をもつ子どもたちをみんなが受け止められるように、目の前の子どもたちを集団として捉えられるように、教師として集団を見る目を養わなければならないと感じる学習会でした。 1年間子どもたちが安心して学級で過ごすことができるように子どもたちの関係や様子を見とり、適切に応対していかなくてはならないと強く感じた学習会でした。
2019年10月07日 理論学習会 4月報告「学級づくり」
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「SSW(スクールソーシャルワーカー)の視点から考える学びの環境づくり~組織的な取り組みの可能性~」 日時:2019年6月23日(日)10:00~12:00 講師:上原 樹氏(大和市青少年相談室 SSW) 参加者:11名(他 保育ボランティア1名、子ども3名) 場所:シリウス 612会議室 大和市の地域特性、SSWの仕事内容、子どものサインへの気付き、チーム支援の方法等、SSWの視点から子どもたちへの働きかけ方について学びました。 様々な支援を必要としている子どもや家庭の出すサインに気付き、「つながること」が大切なのだと分かりました。困難な状況に置かれている子どもに出会うと、どのように支援すべきかと考えてしまいがちですが、まず本人の置かれている状況をどのように理解するかが大事な視点であると分かりました。 子どものサインに気付けること、本人の置かれている状況を見立てること、意識していきたいと感じました。 「つなぐ専門家」であるSSWの方の力をお借りしながら、子ども・家庭・学校・社会がつながり、子どもたちが安心して過ごせる環境づくりをしていきたいです。 【参加者の感想】 〇SSWのお仕事内容を詳しく知ることができました。今日、お話を聞いて、もっとずうずうしく(?) SSWの方に相談させていただいてもいいのかな、と思いました。私たち学校の職員、学校のできる事(社会福祉の視点から)の可能性があるのではないかと、ずっと思っていました。なので、子どもや家庭に関われるのが学校なので、どのようにしたらよいか、と考えていました。今日のお話を聞き、「つなげること」をしていくことが大切だな、と思いました。 〇違う視点から見るということがおもしろかったですし、勉強になりました。社会とのつながりを作っていくために、SSWさん等いろいろな方に相談しつつ、子ども達が育っていけるといいなと思います。 〇子ども、家庭と「つながること」の大切さを改めて感じました。また、最後にお話しいただいたホームレスや登戸の事件などのことも、とても興味深いものでした。お恥ずかしい話なのですが、今まで何でホームレスの人達はいなくならないのだろう?と思っていました。そして、それに対してソーシャルワーカーの方たちが色々な関わりを持ちつつ、試行錯誤されているのだということを知りました。本当に勉強になりました。これから私がクラスの子ども、学年の子どもと関わり、信頼関係を築いていくときに、今日お話しいただいたことを思い出そうと思います。「つながること」子ども達が安心して過ごせるような環境づくりをしていけるよう、これからも頑張ります。本当にありがとうございました。 〇今まで、正直な話をすると「SSW」という名前だけをしっているような状態で、どのような仕事をしている人なのか中身を詳しく知りませんでした。今回、上原さんのお話を聞かせていただいて、どのように関わらせてもらえればいいか少しでも知れたと思います。「本人の置かれている状況をどのように理解するか」という視点をこれから持ち、具体的に紙にまとめることを、これからの仕事の中でやっていきたいと思います。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。 〇ソーシャルワーク的視点について、教員も理解していくことがとても重要だと感じました。教員として、そのような視点を学ぶことで、子ども達への支援がより良いものになっていくと思います。大学でもSSWについて、学ぶ機会がありましたが、今回の学習会では、より具体的に、自分自身がどのようにつながるのか、関わっていくのかイメージをもつことができ、身近に感じることができました。今後、様々な事柄と関連付けて考えていきたいと思っております。ありがとうございました。 〇SSWの機能、専門性のお話を聞き、初めて知ったことが本当にたくさんありました。視点をどのようにもつのか、どこに寄り添い考えるのか、とても参考になりました。母親になり、育児と仕事の両立をする中で、社会とのつながりを考える機会があります。社会と切り離されがちな育児という現場で一人悩み苦しんでいる母親も多いと思います。子ども達を取り巻く環境をみる時、母親への視点は重要だと思います。つながりをもてる教育、地域、社会を目指し、活動していきたいです。 〇SSWの専門性を知ることで、教育の立場からどう連携を求めていけばよいのかを考える機会となりました。大変な状況にある子どもや親御さんを目の前にすると、そのつらさを肌で感じてしまいます。状況が変わらないことに悩むこともありましたが、目に見えないものの支援は、解決しえない問題について一緒に考えていくことだというお話にとても納得しました。大和の教育は、利用できる社会資源が多いということで、SSWさんも身近にいるし、何だかとても心強く感じました。私たち教員自身が様々な立場の方とつながること、子どもや家庭とつながることが必要です。また、教育活動や授業の中で、社会福祉の視点を伝えていくことも、教育の立場からできる事ではないかと思いました。 〇今日は貴重なお話をありがとうございました。今日のお話を聞いて、これまでに家庭の困難さや課題が出ていたのに、初期の対応ができていなかったことが、悔やまれるなあと思っています。困り感を抱える子どもと社会システムをつなげられるように、アンテナを高く張っていたいと思いました。とても勉強になりました。ありがとうございました。 〇小学校で働いていて、「この家庭には、この子どもには、こんな対応をした方が良い」と考えることが多かったです。本日の学習会で話を聞き、もっと相手の現状の背景を考えたり、どう関わったりするのか等、解決策にこだわりすぎないようにしなければならないと感じました。子ども達にとって影響が大きい職種のため、言葉や行動においても気を付けていきたいと思います。本日はお忙しい中ありがとうございました。 〇どのような支援をするかという視点以上に本人の置かれている状況を理解するという視点が最も大切だというところに納得しました。答えを出さなきゃと考えてしまいがちですが、つながり共に考えることでも解決に向けて進んでいるのだなと分かりました。SSWの方に、困ったときは相談にのっていただけるということで、教員として心強いです。 〇「つながる」ときに、こども、家庭が様々な要因につながれない、つながらない状況があり、どう対処していけばよいうかと日々考えております。家庭からのヘルプの発信がなければ対応がはじまらない機関もあり悩んでいます。
2019年07月03日 理論学習会 6月報告 SSWを迎えての学習会
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貧困は教育現場でも目に見える形で子どもたちを取り巻いている。義務教育を終えた子どもたちはどのように貧困に巻き込まれていくのだろうか。若者たちが抱える貧困や生活困窮などの問題に対して、「ハウジングファースト」という理念のもとに生活の拠点である住まいを提供することで支援を行っている「一般社団法人つくろい東京ファンド」代表理事・立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授の稲葉剛氏を講師に招き、若年層にまで貧困が拡大している現状と、社会保障である生活保護を申請・利用するまでの課題をお話しいただいた。 近年、安定した住居がなくネットカフェで寝泊まりする「ネットカフェ難民」のように住居を喪失した者のうち、30代は38.6%、20代は12.3%と約半数が若者で占められていたことが分かった。住居を喪失することで、求職活動が困難になったりホームレスに対するイメージによる精神的なダメージや人間関係の喪失などの影響があるのだ。 若者が生活困窮に陥るには、二つのパターンがある。ひとつは、貧困の世代間連鎖である。親の貧困が文化的資源の少なさや学習に集中できる環境の少なさが子どもの低学力につながり、それが低学歴、非正規労働につながり結果成人後の貧困へと繋がっていく。ふたつめには、ブラック企業の過労によって生じた精神疾患をきっかけに生活困窮へ陥るというものである。その背景には医療保険や失業手当、生活保護などのセーフティネットがうまく機能していないために、失業をきっかけに路上生活や、餓死・孤立死などといった最悪の事態にまで展開してしまうのだ。 世界各国と比較して日本の公的扶助制度の利用率は低い。そして生活保護については、申請すれば利用できる人のうち実際に利用できている人の割合を示す捕捉率はとても低い。その理由は、制度を利用するときに二親等内に連絡が行くなど利用する際の課題があることや、公的扶助制度に対する偏見とスティグマが制度を必要としている人たちに負い目を感じさせ、生活保護を遠ざけてしまうためである。さらに役所の水際作戦も利用を妨げる要因の一つになっている。 そうしたなかで若者の貧困を解決するためには、生活保護を利用しやすくするとともに、生活の拠点となる住居を保障することで安定した生活を送ることが求められる。生活の拠点となる住居があることで、生活保護の利用や求職活動など自分の生活の基礎を築くことができると学んだ会であった。 参加者:23名
2019年02月13日 理論学習会 12月報告 若者の貧困
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7月の学習会に続き、学校教育の場における貧困を背景とした諸問題について、理論の側面だけでなく、実践の側面からも考えたいという趣旨から、ホームレスの状態にある人々の支援を行っている自立生活サポートセンターもやいが出版しているレクチャーブックを使い、資料を読み進めながらグループ協議を行った。 今回の学習会では、レクチャーブック中にある生活保護申請書を使い、参加者で実際に申請書を書いてみることからはじめた。 生活保護申請書からは、生活保護を受けたい理由を多く必要とすることや、親族の名前や連絡先を記載する欄があるということが分かった。特に、親族の名前と連絡先を記入することは、『溜め』が少なくなってしまった貧困を抱える人々にとっては大きな精神的負担となるのではないかということが参加者からあがり、その点から生活保護について考えることとした。 参加者からは「社会保障」・「権利」と「扶養義務」という言葉が出され、申請までの難しさが指摘された。貧困を抱え困っている人には生活保護を利用する権利がある。しかし、申請をするにあたってはその前にその家族へ扶養義務を求められる。「家族にまた迷惑をかけてしまう」そんな思いから生活保護の申請を諦めてしまう場合や、虐待やDVなどの理由から家を出て生活保護を利用したいとき、家族に連絡がいくことを恐れ、申請を諦めてしまう場合が考えられる。「自分が生活保護を利用すること」「家族に連絡がいくこと」その2つのはざまで生活保護を申請する人はどちらを選択するかを求められるのである。 また、その連絡を受けた家族はどう考えるだろうか。レクチャーブックのワークシートを進めると、今度は連絡を受けた家族の立場でも生活保護を考えさせられる。両親だったら?兄弟だったら?そして、その家族もまた貧困の中にいるとしたら?「扶養義務」という言葉の中には申請をする人、そしてその家族、それぞれの思いや背景までは含まれていない。一枚の申請書の記入は、利用したいと思う人々の葛藤や諦めを感じるとともに、私たちに申請までのその壁の高さを改めて認識させるものであった。 貧困の中で『溜め』が少なくなっている人や家族にとって、申請までたどり着くことすら難しい場合も考えられる。学習会後半では、学校や地域の中で貧困を抱える家庭を人や専門機関に『つなげる』ことができること、そして実際こういった話題を学校の中で進めていくことで、生活保護に対する認識を深めていくことができるのではないかと話された。私たちができることは何か。学校や地域から、『つながり』をつくる可能性を模索し、より実践に近づけたいと考える学習会となった。 参加者5名 参加者の感想:一部抜粋 「生活保護」という内容から、社会保障の在り方を考えることができました。正直、初めて考えさせられたので、貴重な機会でした。弱者を守る憲法が規定されているにもかかわらず、権力者が作る制度には全く反映されていない現状であると知ることができただけでも、生きる力になると感じました。(中学校教員) それぞれ違い(生活・個性)をもつ子が集まる公教育の場だからこそ、社会保障の大切さや、その権利を学ぶ意味はあると思う。いろいろな立場の人と話せてよかったです。(小学校教員) マジョリティをどう巻き込むのか教えるような授業でした。多数派の人たちにどううったえるのか、どう意識をもってもらうのか、どのような工夫が必要なのか。答えはわからないが、今日の授業でそう考えました。(大学生) 簡単に利用ができないことを改めて感じました。制度というよりは、利用したいと思う人の「心」がとても厳しい状態にさらされることを感じました。申請書を記入しながら思うようにペンが進まない自分がいました。苦しい思いをして申請をしに来ているのに、また申請で悩まなくてはならない。「当たり前に利用できる」そんな制度にしたいと思いました。(中学校教員)
2018年12月14日 理論学習会 10月報告 生活保護を「知る」